「魅力あふれる役者さんが揃う舞台で、観ている人にどれだけ深く印象づけられるか。それが今回の目標です」
日舞の舞台やコンサートなどへの出演はあるものの、意外にも退団後初のミュージカル出演となるそう。同じ宝塚歌劇団出身の元星組トップスター・北翔海莉さんが主役を務める『ミュージカル ふたり阿国』の見どころや舞台裏の出来事などを語っていただきました。
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▶︎「舞台は一生続けたい」元雪組男役スター・鳳翔 大さんスペシャルインタビュー vol.1
3月29日から始まる『ミュージカル ふたり阿国』の見どころを教えてください。
鳳翔大さん(以下敬称略):時代物なので和物を思い浮かべる方が多いと思いますが、踊りがメインになる完全なミュージカルです。ポスターともまったくイメージが違うかも(笑)。衣装も、袴でなくパンツだし、優雅というより土臭い感じです。私は芸人の役なので、キラキラした雅な公家や身分の高い役との対比が出るようにしています。私の役のお菊は、遊女で一座の踊り子だけど殺陣も強いぞっていうキャラクターで、実際にやってみると男役に近いものがありました。
あらすじはとってもわかりやすくて、阿国一座、笠屋舞一座、蜘蛛舞一座という3つの座が競い合いつつドラマがある感じなのですが、それぞれの一座のカラーがまったく違うんですよ。阿国一座はわりと年齢が若くて活気とエネルギーにあふれていて、笠屋舞一座は役者さんが揃っているのでお芝居がメインだったり、蜘蛛舞一座はとにかくイケメン男子がずらり。私が(タカラヅカの)現役だったら、絶対に蜘蛛舞がいいですね(笑)。魅力的な方がたくさん出てくるので、全編通して盛りだくさんの華やかな舞台になるんだろうなという印象です。その中で自分がどれだけ埋もれないようにするか、与えられた場面でどれだけ印象づけられるかということが大事かなと思っています。お稽古は、ちょうど1幕ができあがって2幕に突入するあたりなのですが(取材日は3月半ば)、1幕の最後に大立ち回りがあるんですよ。2幕のほうがお芝居の場面が多いですが、2幕も最終的に大立ち回りがあるのでものすごく盛り上がる気がします。
共演者とのエピソードはありますか?
鳳翔:とにかくみんないい方たちばかりで。北翔(海莉)さん、桜(一花)さん、羽咲まなはタカラヅカで一緒でしたし。みちこ(北翔)さんは宙組時代、一花さんは組が違ったのですがこれまた仲よくさせていただいていて、羽咲は同期で、とにかく居心地がいいです。みんなで舞台を創っているという感じがすごくあって、できないことを補い合い、支え合いながら進めているからかも。タカラヅカで殺陣はやっていましたが、今回は市瀬(秀和)さんや中村誠治郎さんという達人がいらっしゃるのでいつも勉強させていただいています。逆に私たちはミュージカルをたくさんしてきたので、踊りの振りなどをアドバイスしたり。
峯岸みなみちゃんもとっても慕ってくれて、妹みたいですごくかわいいんです。みなみちゃんの、一所懸命くらいついていく姿勢がまさに(峯岸さんの演じる役の)お丹そのもの。(阿国演じる)みちこさんの求心力や絶対的な実力。それを見るみなみちゃんの真剣な目つきがふたりの役にリンクして…、お稽古場でも熱が入っていますね。
私が演じるお菊は、阿国に拾われて最後まで阿国についていく役どころなのですが、みちこさんとは常にお稽古場で大爆笑しています。みちこさんがゲラなんですよ(笑)。現役時代の、私たちにしかわからないことを振ってきたりとか、そんな本当にくだらなくて他愛もないことなんですけど、とにかくゲラゲラ毎日笑ってます。今回は新しい方たちから刺激を受け、でも昔からの変わらない自分でいられるというのはありがたいし楽しいです。
生き生きとした表情で『ミュージカル ふたり阿国』について熱く語ってくださった鳳翔さんから、お稽古場での充実ぶりがうかがえました。歌と踊りと立ち回りの新しいミュージカル、気になります!
次回は、鳳翔さんのキレイの素に迫ります♡ お楽しみに。
立ち回りもあるミュージカル『ミュージカル ふたり阿国』がいよいよ開幕!
【STORY】
慶長5年。芸人であふれかえる四条河原で、ひときわ民衆を魅了する女・阿国と、阿国を憧れのまなざしで見つめる娘・お丹。お丹の父・笠屋犬太夫は、公家の猪熊少将の前で芸を披露するが、真の芸人となって能を舞うことを強く願うお丹の行動によって予期せぬ事態が起こる。阿国はお丹、ひとり狂言師・とっぱを一座に引き入れ、鮮烈な趣向で民衆の心を掴んで人気を博していく。しかし、ある出来事からお丹は阿国を倒すため洛中一の遊女屋・三郎左の元に身を寄せる。三郎左はそんなお丹に「佐渡島おくに」を名乗らせ、阿国からすべてを奪うことをもくろむのであった。ふたりの”おくに”が火花を散らして求める天下一の芸とは。
『ミュージカル ふたり阿国』
日程:2019年3月29日~4月15日
場所:明治座
原作:皆川博子(『二人阿国』より)
演出・脚本:田尾下 哲
脚本:中屋敷法仁
阿国役:北翔海莉
お丹役:峯岸みなみ(AKB48)
猪熊少将教利役:玉城裕規
一蔵役:グァンス(SUPERNOVA)
二蔵役:細貝 圭
松梅院役:伊藤裕一
こふめ役:雅原 慶
権蔵役:平田裕一郎
京極高次役:市瀬秀和
与八郎役:大沢 健
三九郎役:中村誠治郎
おあか役:桜 一花
お菊役:鳳翔 大
蔵人役:高岡裕貴
市十郎役:関根慶祐(K-SUKE)
満珠役:今川宇宙
織田左門役:カムイ
とっぱ役:坂元健児
三郎左役:コング桑田
笠屋犬太夫役:モト冬樹
企画・製作:明治座
後援:TOKYO MX
特別協力:洗足学園音楽大学ミュージカルコース
問い合わせ:明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00〜17:00)
公式サイト
撮影/瀬津貴裕(biswa.) 文/淡路裕子
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女優・ジュエリーデザイナー・モデル
鳳翔 大
ほうしょうだい・1月6日生まれ、兵庫県出身。愛称は「だい」。2000年に88期として宝塚歌劇団に入団、男役として星組大劇場公演『プラハの春』で初舞台を踏み、宙組に配属。2008年に大劇場公演『黎明の風/Passion 愛の旅』で新人公演初主演を務め、その後の『Paradise Prince/ダンシング・フォー・ユー』の新人公演でも主演。2012年に雪組に組替えし、2017年大劇場公演『幕末太陽傳/Dramatic “S”!』にて退団。バランスのとれた長身、さらに華のある容姿で人気を集めた。現在は日舞の舞台やコンサートなどで活躍するほか、アクセサリーブランド『Dineige』を立ち上げクリエイティブな部門にも進出。2019年3月の明治座公演『ミュージカル ふたり阿国』は、女優として退団後初のミュージカル出演となる。