出産のときだけ優しくなるモラハラ夫
結婚前から交際相手に精神的DVを受けていたけれど、流されるままそのまま結婚してしまったというみちるさん。
前回のお話▶︎離婚後も恋人が途切れない!22歳年下の彼と再婚予定の44歳女社長
彼女の話を聞いていると、だいぶ、ふわふわと感覚的に生きている女性なんだなあと感じるのですが、その理由のひとつが子どもの話。
結婚後、生理不順で病院に行ったら「赤ちゃんのこととか考えてる?」と訊かれ、そこで初めて、「そっか、私、結婚してるから子どもを産んでもいいんだ」と気がついたそう。
みちるさん:それまで、子宮に右と左があって交互に排卵することも知らなかったんです。先生に「たまごの日を調べよう」って言われて、排卵日チェックをして。その話を彼にしたら、すごくうれしそうで、優しかったから、幸せを感じられました。結婚した直後にはもう彼のモラハラがしんどくて「離婚しよう」って思ったこともあったのに……。
結局、一度目のトライでみちるさんは長男を妊娠。ナチュラル志向のみちるさんは、助産院での出産を決め、ずっと子どもを欲しがっていた夫も出産に協力的に。
助産院での出産でお産の楽しさや自然派の育児に目覚めたみちるさんは、2人目が生まれる前に郊外に引っ越し、長女も次女も自宅のプールで出産。さらには子どもたちにワクチンも打たなない、食べ物もオーガニックをできるだけ選ぶ、と徹底したこだわりよう。
いつもはみちるさんに冷たい夫が、出産のときだけは優しくなり、夫婦としてタッグを組めた。―みちるさんが子どもを3人も産んで、なおかつ、さらに40歳を前に4人目をつくるか悩んだのも、夫との繋がりを感じたかったからなのかもしれません。
目も合わせてくれない夫からのマインドコントロール
みちるさん:夫は子ども好きで、子どおもが生まれたら、子どもに夢中。私のことなんて全く見なくなりました。
出産後もモラハラは相変わらずで、子どもたちにも「ママってトト(お父さんのこと)にお話してもらえないよね」「トトってママに優しくないよね」と言われるほど。
さかい:そういう夫婦関係で、お子さんたちに悪影響はなかったんですか?
みちるさん:子どもたちの前でしょっちゅういがみ合ってるとか、そういうんじゃないんですよ。ただ、みんなでご飯に行っても私とは目も合わせてくれない。子どもたちには優しいから、子どもたちはトトが大好き。
たまに用事があって電話をかけても「はあ」というツンケンした受け答えをするし、とにかく辛く当たってくる。そんな夫の態度が怖くて常にビクビクしていたみちるさんですが、ごく稀に夫が普通の受け答えをしてくれただけで「うれしい」と感じてホッとして、「私たち夫婦はもう少し頑張れるかもしれない」と思ってしまっていたのです。
―これって、完全にモラハラ夫のマインドコントロールじゃないですか(涙)。
歪んだ愛情に苦しみ続け、結婚16年目に離婚を決意した理由
さかい:そういう夫って、経済DVもありそうだけど、その辺はどうだったんですか?
みちるさん:それがね、クレジットカードはくれるんだけど、現金は5万円しか渡してくれないんですよ。子どもにも私にもお金は出してくれるんだけど、現金がないから困る場面も結構ありました。
だけど謎なのが、この夫、次女が生まれてすぐにみちるさんが「ブティックをやりたい」と言ったら、「俺の会社でやるから他所でお金を借りたりしないで」と、出資してくれてるんですよね。
モラハラ夫って、自分が主導権を握っておくために、奥さんには専業主婦でいることを求めることが多いのですが、みちるさんの元夫は、みちるさんがやりたかったことを支援してくれている。だから、もしかしたらすごく歪んだ愛し方しかできない人だけど、みちるさんのことは愛していたんじゃないかな、と、お話を聞いていて思いました。
みちるさん:それは私も感じていたことなんです。「この人、すごい闇を抱えていて、私に対して歪んだ愛を持っているな」って。
辛くて何度も「死んでしまいたい」と思ったこともあったけれど、「いつか見返してやる!」と思って耐えていたみちるさん。そんな彼女が離婚を決意したのは、40歳を目前にした、ある日のこと。
みちるさん:4人目が欲しいなって思ったんです。だけど、もし産んだらもう絶対に別れられなくなる。もうひとり産んで、それを幸せとして自由をあきらめるか。それともここで、彼との結婚生活から解放されるか。
最終的には、夫とのセックスで覚悟が決まったとか。
みちるさん:夫婦ってセックスがあれば頑張れるって思ってたんです。それで、離婚する前に一度試してみたら、やっぱり彼は自己中心的なセックスしかしてくれなかった。それで一気に「もうこの人とは二度としたくない!」と心が決まりました。
その後の自由な元夫婦の家族スタイルと、22歳年下の彼との関係については次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。