飲み会ができなくなって…
今回はまず、私が最近ハマったふたつの漫画をご紹介します。ひとつは、『酒と恋には酔って然るべき』で、日本酒が大好きな32歳の松子が主人公。会社のクールな年下男子にやきもきしたりするのが面白いのですが、本格的な日本酒の知識も散りばめられているのも、楽しめます。
もうひとつが、『美人が婚活してみたら』。これは出会って以来、何度も読み返しているもので、昨年は映画にもなりました。こちらも主人公は32歳の女性・タカコで、日々のモチベーションを上げるタイミングや思考は、痛いほどよく理解できます。
どうしてこんなに引き込まれるのかというと、漫画に出てくる「心情トーク」が、本当にリアルで、実生活ではなかなか触れることのない人の深い思いも文章化されているから。さらに、登場人物と一緒になって喜怒哀楽を味わい、そうした感情を自分で客観的に見たり。
リアルな生活では、お酒を飲みながらワイワイ集うことはできなくなり、自分の心の中の言葉を吐き出したり、迷っていたことに「それでいいんだよ」と背中を押されたりすることが、ずいぶん減ってしまいました。
「感想をもつ」ことで思考は広がる
リアルトークが長い間できなかったときにふと気がついたのですが、アウトプットをしなくなると、ついグチやマイナス思考が出たり、ものごとと深く向き合うことをあきらめてしまいがちです。それが続くと、自己肯定感も低くなり、先のことを前向きに考えられなくなかったり、という悪循環に。
これではいけない、と思い立ち、先日は久しぶりに友人と日帰り旅に出かけました。朝5時に都内を出発して、パワースポットといわれる秩父の三峰神社へ。子どもたちのお迎えに間に合うように、午後2時には帰宅したので、短時間の旅行でしたが、移動中の時間も含め、たっぷり友人との会話を楽しみました(もちろんマスクをして距離をとった上で)。
ドラマのこと、漫画のこと、人からしたらたわいもない会話かもしれないけれど、自分を前向きな気持ちにさせるには、やっぱり欠かせないことだと、改めて感じました。
▲パワースポットといわれる秩父の三峰神社へ。こんなふうに、大人だけでサクっと行く日帰り旅行が、もっとできるようになったらいいな。
以前のように、頻繁にワイワイ話すことができなくても、読んだ本の感想や考えを自分で見つめたり、人と交換してみるだけでも、十分に前向きにシフトチェンジできます。
ブランドプロデューサーの柴田陽子さんの本『勝者の思考回路』には、「勝者の思考回路は『感想』をもつことから始まる」と書いてあります。それがなくては、いざ人に伝えるとき、説得力をもつことはできないし、深く考えることもできません。
もしかしたら、自分の人生やビジネスを考えるときのように、スタート地点は「感想をもつこと」、なのかもしれません。さらにそれを人に伝えたり、自分で客観的に見ることができていい循環がつくれたら、めぐりめぐって、人生は豊かなものになるのではないでしょうか。
▲たくさん線を引きながら読んだ柴田陽子さんの『勝者の思考回路』。
モデル
牧野紗弥
愛知県出身。小学館『Domani』を始め、数々のファッション誌で人気モデルとして抜群のセンスを発揮しながら、多方面で活躍中。キャンプやスキー、シュノーケリングなど、季節に合わせたイベントを企画し、3人の子供とアクティブに楽しむ一面も。今年は登山に挑戦する予定。自身の育児の経験や周囲の女性との交流の中で、どうしても女性の負担が大きくなってしまう状況について考えを深めつつ、家庭におけるジェンダー意識の改革のため、身を持って夫婦の在り方を模索中。