ライバルだけど喜び合える。不思議な絆がタカラヅカにはある
テレビ東京のカラオケ採点番組『THEカラオケ☆バトル』で6度の優勝を誇り、歌うまアーティストとして人気を博したRiRiKAさん。番組内でも紹介されていましたが、実は元タカラジェンヌ。花組の娘役「花咲りりか」として宝塚歌劇団に4年在籍していました。
前回ご登場いただいた、元星組トップスターの紅 ゆずるさんとは意外なつながりが…!? RiRiKAさんご自身は退団されて14年になりますが、今でも深い絆を感じるというタカラヅカについて語っていただきました。
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「面白さの塊」紅 ゆずるさんとの心温まるエピソード
ご紹介いただきました紅 ゆずるさんからは、タカラヅカ受験前からの関係だとうかがっています。同じバレエ教室に通われていた、日向 燦(ひなた・さん)さん、紅さん、RiRiKAさん、梅咲衣舞(うめさき・いぶ)さんの4人で仲良しだったと。
RiRiKAさん(以下敬称略):そうです。紅さんの退団公演も、日向さんと梅咲さん、あとバレエの先生の4人で観に行きました。その日、夜遅かったのですが公演のあとにさゆみ(紅)さんが時間を作ってくれました。わざわざ「みんなまだいるなら、今から会いに行く」って。公演中で忙しいのに駆けつけてくれて、久しぶりに一緒にご飯を食べて。本当に情に厚い方なんです。
久しぶりに会っても、すぐに昔の関係性に戻れるんですね。
RiRiKA:そう。さゆみさんがとっても気さくな方なので、トップになられてからもなんにも変わらなかったですね。ずっと出会った時のまま。そんな関係性が保てるのは、さゆみちゃんだからだと思うんです。
紅さんから(次につなげる方の)お名前をうかがったときに、期も組も違って意外なつながりだなと思いました。そんな楽くて素敵なエピソードがあったのですね。
RiRiKA:あははは。さゆみちゃんに「株を上げといて」と言われたのですが、全部本当のことなんですよ。なにせ、“面白い”の塊のような人ですから、さゆみちゃんは(笑)。
音楽の魅力に取りつかれて突き詰めたくなり、退団を決意
RiRiKAさんは宝塚歌劇団を、入団4年目というわりと早い時期に退団されましたが、なぜそのタイミングで退団しようと思ったのですか?
RiRiKA:歌うことが楽しくなっちゃったんです。もちろん、タカラヅカに憧れて入りたくて入ったんですけど、それまで歌を本格的に習ったことがなかったんですね。もともと歌うことが好きだった上に、タカラヅカで本格的な歌のお稽古を受けたら突き詰めたくなってしまって。歌を集中的に学び出したんですよね。いろいろな音楽を聴くようになり、歌の練習ばかりしていました。そうこうしているうちに、自分で曲を作り始めたんです。研3(入団3年目)くらいになったときはもう、音楽のことがやりたいなと気持ちが固まってきて、研4で退団を決意しました。
(宝塚音楽学校)受験前にも、通っていた高校の近くにあった街の声楽教室のような所に9か月くらい通ったのですが、音楽学校に入ると、声楽だけでなくポップスやポピュラーの授業があり、また新しい感覚で学ぶことができたんです。しかも毎日のように何かしらの歌の授業があり、自分の中で歌の知識が増えいていったのは音楽学校に入ってからです。
宝塚歌劇団に入団してから、深く思い出に残っていることを教えてください。
RiRiKA:私はなかなか役がつかなかったんですよ。舞台にちょっと出て歌う…という場面をいただくことはありましたが、お芝居で役名がつくということは全くなくて。最後の大劇場公演の『ファントム』(2006年花組公演)で初めて役をいただいた時に、周りのみんながすごく祝福してくれたことが…なんていうか…言ってみればみんなライバルじゃないですか。ライバルだけど、誰かの喜ばしいことを一緒に喜び合えるんです。私も同期の望海風斗(雪組トップスター、4/11退団)が『天使の季節』(2004年花組公演)という作品の新人公演で、初めて目立つ役をいただいた時に号泣したのを覚えていて。なんだろう…とても不思議な関係ですよね。みんな戦っていて、自分だって目立つ役に就きたいはずなのに、心から「おめでとう」って言えるのってすごくいいことだなと思います。だから今でもずっと続く、いい仲間になれるんだなという気がします。