「お渡しする」の意味とは?
ビジネスシーンだけでなく、日常でも頻出の「お渡しする」という言葉ですが、時々語尾の「する」「いたします」などの表現を迷われる方もおられるのではないでしょうか。言い換えの表現・類語・英語など含めて紹介します。
意味
「渡す」とは「自分の手から相手の手に渡す」「持ち物や権利を、相手に与える」という意味があります。その敬語表現として「お渡しする」を使いますが、接頭語「お」を「渡す」につけた言葉です。この「お」をつけることで、「渡す」という自分の行為をへりくだって相手に敬意を表現するので、謙譲語となります。
使い⽅を例⽂でチェック
それでは、「渡す」の敬語の使い方を3種類、例文にして紹介しますので一緒に確認してみましょう。
「資料は後ほど、お渡しします」
こちらの例文では「渡す」に謙譲語の「お」と丁寧語の「します」を組み合わせています。謙譲語は自分の行為を自分よりも立場が上の人にへりくだる時に使い、丁寧語と似た表現になることも。上司や目上の人に対して使うことが可能です。
「お帰りの際に、記念品をお渡しいたします」
「お渡しいたします」は謙譲語の「お」と、「する」の丁重な表現である「いたす」を使用しています。丁重語は謙譲語の一種ではありますが、種類の違う敬語なので、二重敬語にはなりません。ですので、安心して使えます。
「あらかじめお渡し申し上げた札と、引き換えとなります」
「渡します」とより丁寧な敬語表現すると「お渡し申し上げる」となります。謙譲語「お」と補助動詞「申し上げる」を活用しています。補助動詞は謙譲語ではないので、二重敬語にはなりません。けれども、「言う」の謙譲語も「申し上げる」を使うので、誤解を招かないために使用を控える方もいるようです。
「渡す」の間違った使い方
「お渡しさせていただく」は正しいように見えて、二重敬語で間違った使い方となります。接頭語の「お」も「させていただく」も、どちらも謙譲語なので気をつけましょう。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
「お渡しする」の他にも言い換えることのできる敬語があります。3つ紹介しますので、参考にしてみてください。
提出する
「渡す」は書類や資料を相手に差し出すことを指しますので、「提出する」に言い換えることが可能です。「提出」に接頭語「ご」を付けることで敬語になります。
例文:添付書類を記入の上、期限までにご提出をお願いいたします。
送る/送付
今は手渡しするのではなく、資料や画像をメールや郵便を使って、渡すことも多いですね。この場合は「送る」「送付」を活用します。「送る」「送付」を敬語にする場合は、「~せていただく」という相手を立てる謙譲表現をつけます。もしくは「お送りする」「ご送付いたします」など接頭語をつけて表します。また「送付」の方が「送る」よりも固い表現のため、取引先や目上の人に使用する場合には適切といえるでしょう。
例文1:先日、お送りした資料をご覧ください。
例文2:履歴書を、送付させていただきます。
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届ける
先方へ何かを渡すことの表現に「届ける」があります。こちらを丁寧にする場合、接頭語「お」をつけて「お届けする」となります。または謙譲語「いたします」と合わせて「お届けいたします」と使用します。
例文:お中元をお届けする。
郵送する
何かを郵便で送って渡す場合には、「郵送する」に言い換えられます。こちらも頭に「ご」を付けることで、尊敬語・謙譲語となります。
例文:貴重な資料を、ご郵送くださりありがとうございました。
お譲りする/譲渡する
「渡す」の中には、物を単純に渡すという意味以外にも、譲渡を意味する「受け渡す」も含まれています。尊敬語にする場合「譲られる」「お譲りになる」となります。また、熟語「譲渡」を使用する場合は「譲渡いたします」となります。
例文1:社長が次期社長に、席をお譲りになる。
例文2:権利を譲渡いたします。