ドン・ジュアンは愛されすぎている。「ドン・カルロ、お前もか!」
ドン・ジュアンの一番の理解者である友人のドン・カルロは、ダンサーとしても定評のある上口耕平さんが演じます。貴族然とした佇まいや気品、友人であるドン・ジュアンへの思い。それにしても好感度が高くてカッコいい! たぶんエルヴィラも最初からこんな相手を選んでいたら自分の思う幸せが手に入ったのかもしれないですが…、世間知らずのお嬢さまはえてしてちょっと悪い香りのする人に引き寄せられてしまうのですよね(少女マンガなどでよくあるパターン)。
エルヴィラの愛の形は「愛とは執着でもあるのだな」と感じさせる
そのエルヴィラ役には天翔 愛さん。現役音大生という若手俳優。エルヴィラの役はもしかしたら素に近い姿なのかも?と思わせてくれるほど素直で可憐な印象。ドン・ジュアンを信じていたのにあっけなく裏切られ、痛々しいけれど“女の執着”みたいなものが覗き見えて…、複雑で難しい役どころに注目です。
「愛が呪い」の言葉刻み込んだ騎士団長=亡霊はドン・ジュアンの更生案内人?
劇団四季出身でミュージカルに引っ張りだこの吉野圭吾さんは、存在感たっぷりの騎士団長役。ドン・ジュアンに鎖のように巻きつく「愛が呪いとなる」という言葉は、客席にも不穏な空気を運びます。亡霊になってからの姿がまた迫力があり、舞台の雰囲気をガラッと変えてくれます。ふと吉野さんの経歴を調べたところ、なんと真彩さんの先輩なんですね!
“アンダルシアの美女”の名に偽りなし!
アンダルシアの美女を演じたのは、バレリーナの上野水香さん。しなやかなのに力強くて、出演場面は少ないながらもトップバレリーナの踊りは圧巻。長身で手足も長い水香さん。それがまた映えること! 強い男、ドン・ジュアンが「自分のモノにしたい」と思うのも納得。そんじゃそこらの男など相手にしない、という高嶺の花感がにじみ出ていました。
イザベルのセリフでストンと腑に落ちる時がある
宝塚歌劇団元花組トップスターの春野寿美礼さんは、ドン・ジュアンのかつての相手・イザベルに。ドン・カルロ同様、ドン・ジュアンを理解しようとするひとりで彼を見守り続けている存在。落ち着いてはいるものの、酸いも甘いも数々の経験をしてきた、どこか一筋縄ではいかない大人の女性の空気感。美しさは変わらずでした!
ドン・ジュアンの育て方を聞いてみたい、ドン・ルイパパ
ドン・ジュアンの父、ドン・ルイ・テノリオは鶴見辰吾さん。鶴見さんの補正がものすごく自然で、恰幅のいい貴族の雰囲気が説得力ありすぎます! 「ドン・ジュアンをなんでこんなふうに育ててしまったの?」と問いただしたいところですが、もしかしたら彼も愛に呪われているのかも…。出番は少ないものの確実な爪痕を残していくのは、さすが鶴見さんでした。