「臥薪嘗胆」の意味や読み⽅とは?
ふだんあまり使わない4つの漢字「臥」「薪」「嘗」「胆」が組み合さった言葉のため、一見、難しく見えますね。それでは、まず「臥薪嘗胆」の読み方と意味をチェックしましょう!
<読み⽅と意味>
「臥薪嘗胆」は「がしんしょうたん」と読みます。辞書によると
復讐を心に誓って辛苦すること。また、目的を遂げるために苦心し、努力を重ねること。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
とあります。目的のために努力を惜しまない決意や、並々ならぬ深い思いを表現したいときに使うとよいでしょう。
「臥薪嘗胆」は、ビジネス上の苦労を伴う努力に対しても使うことができます。例えば、ビジネスシーンでは経営者の「座右の銘」として目にする機会がありますね。強い思いで苦しい経験を乗り越えて、仕事に賭けて生きてきた人が多いのかもしれません。
この言葉を大切にする人に出会った時、正しく意味を理解していれば、人生の重みを感じられるのではないでしょうか。また、自分自身の経験を伝える際にも、助けてくれる言葉になるかもしれませんね。ぜひ、使えるようにしておきましょう。
<由来>
では、「臥薪嘗胆」という言葉は、いつから使われているのでしょう? その由来は中国の十八史略に書かれている故事成語にあります。「春秋時代、呉王の闔呂(こうりょ)は越王の勾践(こうせん)に敗れて戦死。闔呂の息子である夫差(ふさ)は、父の仇を討つために固い薪の上に寝て、その痛みで復讐の志を忘れないようにし、3年後に会稽山で勾践を降伏させた」とあります。戦死した父の仇を討とうとする息子の話です。
「臥薪」は「かたい薪の上で寝る」、「嘗胆」は「苦い肝をなめること」という意味。「仇を討つためには自身が過酷な状況にあろうとも、その時が来るまで苦労を重ねることをいとわない」ということを説いているのです。
一方、「臥薪嘗胆」という言葉を聞いたことがある人の中には、日本史の授業で出合っている人もいるのでは。実はこの言葉が流行した時代があるんですよ。いつだと思いますか? 答えは、明治時代。日本が日清戦争で得た清国の領土・遼東半島。この半島を日本は清国に返還するよう、ロシア・ドイツ・フランスの三国が、「三国干渉」により要求した歴史上のできごとの頃です。日本は清国に領土を返還しますが、多くの日本国民がこの三国干渉に反発。「復讐の日まで我慢しよう」という意味で、「臥薪嘗胆」のスローガンが日本国内で叫ばれ、流行することに。
なかでも、とりわけドイツへの反発が大きかったとか。その結果が、のちの日露戦争に… 。故事成語には歴史や物語がひそんでいて、知ると世界が広がりますよ! ぜひ興味を持ち、その正しい意味や由来を調べてみてくださいね。
使い⽅を例⽂でチェック
では、実際にどのように使えばよいのでしょうか。「臥薪嘗胆」を使った例文を見てみましょう。
1:臥薪嘗胆の思いで
「臥薪嘗胆の思いで」は、取り組んできたことへの思いを述べる時に使います。「思いで」と気持ちを表す言葉を重ねることで、印象深く伝わります。次のように使えるでしょう。
例文・私が、臥薪嘗胆の思いで稽古を続けてきたのはこの日のためだ。
2:臥薪嘗胆の末
「臥薪嘗胆の末」は、苦労して努力した結果をいうときに使います。成功者が自身の人生や仕事を振り返るときや、政治家や経営者が苦境を乗り切った経験を話すときなど。例えば、「◯◯の末」といった次のような言い回しをすると、より効果的に感じられますね。
(例文)無理難題を突きつけられながら、臥薪嘗胆の末、大口の顧客からの受注に至った。
3:臥薪嘗胆の日々
「臥薪嘗胆の日々」と、「臥薪嘗胆」という言葉に「日々」をつけて使うことで、目的に向かって苦心し、努力を重ねてきた厳しい日々の積み重ねを感じられますね。例えば、次のような例文です。
(例文)社運をかけたプロジェクトの成功を信じて、臥薪嘗胆の日々だった。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
「臥薪嘗胆」の類語の意味と使い方、「臥薪嘗胆」の代わりに言い換えて使うことができる言葉について、例文を交えて解説します。