悪いことをしている人を見て同調してしまうと、「反面教師」に当てはまらなくなります。間違った使い方には、注意が必要です。
Summary
- 反面教師とは、「悪いことをしている人を見て反省する」ことで、毛沢東の言葉に由来する
- 良い部分から学ぶことを表現する際は誤用になるので、使い方には注意が必要
- 類義語は「人のふり見て我がふり直せ」、対義語は「正面教師」などがある
Contents
「反面教師」の意味や由来とは
「反面教師」の意味や由来とは

「反面教師」の読み方と意味
「反面教師」とは「悪いことをしている人を見て反省する」ことです。読み方は「はんめんきょうし」です。辞書では以下のように解説されています。
【反面教師】
悪い見本として反省や戒めの材料となる物事。また、そのような人。
「反面教師」の「教師」は、正しいことを教えてくれる人のことを指します。「反面」は、正しくないことという意味です。あの人のように悪いことをしてはいけないと自分を戒めるニュアンスがあります。

「反面教師」の由来は毛沢東
「反面教師」の由来は、中国の偉人である毛沢東が考えた言葉です。毛沢東は、組織に在籍している間違った指導者をあえて追放しませんでした。組織に残らせて、間違った行動をしている人を見本とし孤立させていたのです。
その人物を「反面教師」と名付けて、周りへの戒めとさせました。なぜなら同じことをする人を増やさないためです。「反面教師」は、人間とは周囲にいる誰かと比較して、より良い行動をするという考え方が元になっています。

中国では、「反面教員」と表記されますが、日本で使われている「反面教師」を用いてもそのままの意味で伝わります。
「反面教師」は誤用に注意する
「反面教師」は、誤用しやすい言葉のため注意しましょう。「反面教師」を誤用する例で多いのが、良い部分を見て学ぶパターンを「反面教師」と表現してしまうことです。「反面教師」は、良い部分から学ぶことではありません。

反面教師とは、悪い部分を見本にして、そこから反省し活かしていくことです。間違ったまま使ってしまうことのないように注意しましょう。
【実際のエピソード】「反面教師」に関する成功談・失敗談
「反面教師」の体験談には、どのようなものがあるのでしょうか?ビジネスシーンにおいて、「反面教師」に関して何かしらの気づきや学びを得た実際のエピソードを紹介していきます。
【episode1】部下からの「失礼な称賛」に冷や汗をかいた話
Iさん(管理職、38)
チームの若手メンバーとの1on1でのこと。彼は私の時短勤務や効率的なタスク管理を尊敬してくれているようで、「課長の働き方は、私にとって最高の反面教師です!」と満面の笑みで言ってくれました。どうやら彼は「(良い意味で)反対側から教えてくれる貴重な存在」というニュアンスで使っていたようでした。私は驚きつつも、「その言葉は『悪い見本』という意味だから、目上の人に使うと『あなたはダメな親・上司です』と言っていることになるのよ」と冷静に指摘しました。本人は褒めているつもりでも、語彙を間違えるだけで「人格否定」になりかねない。部下のキャリアのためにも、言葉の正確さはリーダーが正してあげるべきだと痛感した出来事でした。
【episode2】「他山の石」へ。上席から学んだ言葉の昇華
Aさん(管理職、40)
ある役員会議で他社の不祥事が話題になった際、私は「他社の不祥事を反面教師として自社も引き締めるべき」と発言しました。すると、ある役員が静かにこう言い換えました。「そうだね、他山の石として、我々の体制を今一度見直そう」。「反面教師」は相手を「悪い教師」と断じるのに対し、「他山の石」は「他人のどんな言動でも自分の徳を磨く助けにする」という、一歩引いた謙虚な響きがあります。相手を批判するのではなく、あくまで自分の学びに焦点を当てる。役職が上がるほど、こうした品格のある言葉選びが、周囲に与える安心感や知的なリーダーシップに繋がるのだと深く学びました。
「反面教師」の使い方と例文
ここからは、「反面教師」の使い方と例文を見ていきましょう。「反面教師」は、基本的には名詞として用います。意味と同様に悪いことをしている人を見たときに、自分への戒めとして捉えるときに使います。

使い方と注意点
基本的には自分自身の心のなかで考えるケースが多いといえるでしょう。しかし例えば後輩などを相手にあの人のようにならないでほしいという意味を込めて「反面教師」を使う場面もあります。

相手に伝える場合は、意味を取り違えないよう慎重に伝えましょう。
シーン別の例文
以下で例文をご紹介するので、参考にしてみてください。
日常会話での「反面教師」の例文
身近な友人関係やSNS、日常生活の中での振る舞いについて語る際に使います。「自分も気をつけよう」という自戒の念がこもることが多いです。
〈例文〉
・私の失敗を【反面教師】にしてほしい。
・いつも遅刻してくる友人を【反面教師】とし、自分は同じ行動をしないようにする。
・行列で割り込みをする人を見て、自分はあんな風にマナーを忘れないようにしようと反面教師にしたよ。
・SNSで攻撃的な投稿ばかりしている人を見ると、反面教師というか、言葉選びには気をつけようって改めて思うよね。
ビジネス・職場での「反面教師」の例文
上司のマネジメントや同僚の仕事の進め方など、組織の中での振る舞いについて使われます。キャリアアップを目指す中での「理想のリーダー像」を逆説的に語る場面でよく登場します。
〈例文〉
・部下の意見を全く聞かない上司を反面教師にして、私はチームメンバーとの対話を一番大切にしています。
・感情的に怒鳴るだけの指導は逆効果だと、前の職場の先輩を反面教師にして学びました。
・情報の共有を怠ってプロジェクトを混乱させた同僚を反面教師とし、報連相の徹底を意識しています。
子育て・親子関係での「反面教師」の例文
自分が親から受けた教育や、公園・学校で見かけた他の親の言動など、教育方針を考える際によく使われる表現です。
〈例文〉
・私の両親はとても厳格で自由がなかったので、それを反面教師にして、子供の自主性を尊重するよう心がけています。
・公共の場で子供を放置している親を見て、反面教師として自分も公共マナーをしっかり教えようと思った。
・『勉強しなさい』と言われ続けて嫌だった経験を反面教師にして、子供が自分から机に向かいたくなる環境作りを意識している。
学校・教育シーンでの「反面教師」の例文
生徒同士のトラブルや、集団生活の中でのルール違反などを学びの機会に変える際に使われます。
〈例文〉
・カンニングをして停学になった先輩を反面教師にして、正々堂々と試験に臨むことの大切さを理解した。
・掃除をサボって皆に迷惑をかけた班を反面教師として、私たちの班は協力して早く終わらせよう。
・授業中に騒いで先生に怒られているクラスメイトを反面教師に、集中して話を聞くようにした。
「反面教師」の類義語
生徒同士のトラブルや、集団生活の中でのルール違反などを学びの機会に変える際に使われます
「反面教師」の類義語は、3つあります。「反面教師」とのニュアンスが微妙に違うため、使い分けに迷わないように以下を参考にしてみてください。それぞれ詳しく解説します。

他人の間違った行いも自分の糧になる「他山の石」
1つ目の類義語は、他人の間違った行いも自分の糧になる「他山の石」です。読み方は「たざんのいし」です。辞書では以下のように解説されています。
【他山の石】
自分の修養の助けとなる他人の誤った言行。
「他山の石」の由来は、中国最古の詩篇である『詩経』からです。「他山の石以て玉を攻むべし(たざんのいしもってたまをおさむべし)」という言葉が語源です。他の山に転がっている石でも、自分の玉を磨くのに役に立つことからこのような意味になりました。
〈例文〉
・他人の失敗は笑うのではなく、【他山の石】として自分を高めるための学びとしよう。


