「固定概念」とは?
さまざまな場面で「固定概念」という言葉が使われています。似たような響きの言葉が多く、間違って使用しがちです。どんな意味がある言葉なのか、見ていきましょう。
辞書に載っていない誤った日本語
「固定概念(こていがいねん)」という言葉は存在せず、辞書にも載っていません。「固定観念(こていかんねん)」と同じ意味で使っている人が多く、間違いに気付いていないことが大半です。
「概念(がいねん)」と「観念(かんねん)」は音の響きが似ているので、誤って覚えてしまったのでしょう。いつの間にか、誤った使い方が広まってしまいました。
ビジネスシーンで間違えて使ってしまうと、本当の意味や使い方を知っている人からの評価が下がってしまうため、注意が必要です。
「固定観念」との意味の違い
「固定観念」の意味を知るには、「観念」という言葉の意味について理解を深めましょう。
観念は「形としては見えない主観」「物事について抱いているイメージ」などの意味を持ちます。一つの物事に対し、人によってさまざまなイメージや考えがあることがポイントです。さまざまなバリエーションがあるにもかかわらず、一つの観念にとらわれてしまった状態を「固定観念」といいます。
一方、概には「おおむね」「大体のところ」という意味があり、概念は「ある物事に対し、共通して抱かれる考え」という意味です。つまり、多くの人々が「〇〇は、こう」と認識しているものが概念になります。そもそもが固定された状態になっているため、固定概念という言葉は日本語の意味として成り立たないのです。
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類語
「固定概念」という言葉は使用せず、「固定観念」を使うのが正解です。間違って覚えている人は、ほとんどの場合、固定観念と同じ意味で使っています。
「固定観念」と近い意味がある類語を押さえて、正しく使用しましょう。
「先入観」
物事の内面を深くとらえようとせず、「ある凝り固まった考え方」のもとに、物事を見てしまう状態のことを先入観といいます。先入観にとらわれると、誤った判断をしてしまう原因になるでしょう。
例えば、ある人と接するとき、たまたま具合が悪く元気がなかっただけなのに「あの人は暗い人」だと思い込んでしまうと、本来持っている性質を見誤ってしまいます。
(例文)
●「怖そうな見た目だと、親しみにくいという先入観を持たれやすい」
●「先入観を捨てて物事を見つめることで、ありのままの姿が見えてくる」