「スポーツマンシップに反すると言う人もいるが、敬遠することは勝利のための戦略ともいえる」
野球用語である「敬遠」を使った文です。「敬遠」は、強打者との戦いを避ける=逃げることだという考えから、「スポーツマンとしてどうなのか?」と捉える人もいるようです。一方、「そもそも試合なんだから勝利することが一番だ!」という人も。
「敬遠」の言葉の意味をしっかり理解している人からは、「『敬遠』はもともと『敬う』と言う意味も込められているから、スポーツマンシップに則っている」という意見も出るようですね。
類語や言い換え表現とは?
「敬遠」の類語には、「忌避」「逃避」「回避」などがあります。すべてに「避(ける)」という漢字が含まれていますが、それぞれ意味が若干異なりますので、一つひとつチェックしていきましょう。
忌避
「忌避」の読み方は「きひ」、意味は「そのものごとを嫌って、避けること」です。日常会話ではあまり使われず、ビジネス文書などで使われることが多い言葉です。法律用語として「忌避」が用いられることもあり、その場合は、公平な判決をおびやかす恐れのある人(裁判官や鑑定人など)を除外できる行為のことを指します。
逃避
日常的によく使われる「逃避」。意味は、「嫌なことから逃げること」です。「敬遠」には、かかわりを持つことを嫌ってその物事を避けることという意味があるため、似たような言葉といえます。困難なことに直面した時に使われることが多く、「現実から逃避する」などと使われます。
回避
「回避」は、「好ましくない物事を避けること」という意味。「責任を回避する」や「障害物を回避する」といった表現で使いましょう。ちなみに、「回避」も法律用語としても使われ、裁判官が自身に忌避の原因があると気づいた場合に、自分から担当を外れることを意味します。
英語表現とは?
「敬遠」の英語表現には何があるのか見ていきましょう。まず「距離を置く」という意味で使えるのは、「give a wide berth to」です。「berth」とは、もとは船と船の間の距離のことなどを表し、この定型表現では、「十分な距離」という意味になります。「They seem to be giving me a wide berth.(彼らから避けられているようだ)」が文章例です。
そのほか、野球用語の「敬遠」は、「an intentional walk」です。文章では、「That pitcher will give the next batter an intentional walk.(あのピッチャーは次のバッターを敬遠するだろう)」などとあらわせます。
最後に
「敬遠」は、大まかにいうと「避ける」という意味ですが、「敬うふりして避ける」「嫌って避ける」「打者との勝負を避ける」と、それぞれにニュアンスの違いがあります。「敬遠」の意味をしっかり理解して、日常生活で正しく使えるようになりましょう。
▼あわせて読みたい