「弁慶の泣き所」とは「唯一弱い部分のこと」
「弁慶の泣き所」は、唯一弱いところである「向う脛(ずね)」を指します。「向う脛」とは脛の前面という意味で、この言葉の由来となった弁慶だけでなく、すべての人の弱点とされています。そのため、脛を打った時は「弁慶の泣き所を打った」と表現するのです。
また、「弁慶の泣き所」はその人が持ち合わせる急所や弱点を例えるときに使われます。弱点は身体的な急所だけでなく、唯一苦手なことや他者に隠したいことも同様です。
例えば、スポーツで素晴らしい成績を持つ選手でも、他人の前で話すことが苦手という場合は「弁慶の泣き所」であるといえます。ただし、「弁慶の泣き所」で例えるのはその人の「唯一」の弱点です。複数の弱点がある場合には使えないため、注意しましょう。
「弁慶の泣き所」の由来
「弁慶の泣き所の由来」は、鎌倉時代の「我妻鏡」のなかに登場する武蔵坊弁慶の逸話です。源義経の重臣であった武蔵坊弁慶は、大きな体で刀を振り回す強い兵だったとされます。
しかし、そんな弁慶にも唯一急所があり、それが向う脛だったそうです。そのため、弁慶でも泣いてしまう弱点という意味で、「弁慶の泣き所」という言葉が生まれました。
ちなみに、向う脛は筋肉が少なく衝撃が骨に伝わりやすく、他の部位に比べて痛みを感じやすい部分といえます。ただし、実際には弁慶は架空の人物ではないかという説もあり、実際に弁慶の弱点が向う脛だったかどうかは分かっていません。
「弁慶の泣き所」は一か所ではない
前述の通り、「弁慶の泣き所」は主に万人の急所である向う脛です。しかし、ほかにも人間の急所になる場所がいくつかあります。
例えば、首の後ろにあるくぼみの「盆の窪」は、脊髄につながる延髄が近くにあるため弱点になります。また、自由が効かない場所の「中指の第一関節から先」も、「弁慶の泣き所」の一つといえるでしょう。
中指は第二間接を曲げた状態だと、その先に力を入れられなくなります。このように、「弁慶の泣き所」に相当する部位は一か所に限らないと知っておきましょう。
「弁慶の泣き所」を使った例文
「弁慶の泣き所」は、単純に身体的な弱点とその人の持つ唯一の弱点、のどちらの意味でも使えます。
日常生活でもよく使われるため、具体例をもとに正しい文章を理解しておきましょう。「弁慶の泣き所」を使った例文は、以下の通りです。