あだち充さんの物語に出てくる女の子って「ズルいな」って思いました(笑)
–––– 今作はあだち充さん原作の『ゆく春』を実写化した作品で、久保田さんが演じる〝友見〟とJO1の鶴房汐恩さんが演じる〝謙司〟の学生時代の恋や友情を描いた作品となります。最初に台本を読んだときの感想を教えてください。
久保田さん(以下敬称略):シンプルに見えて、実は複雑に入り組んでいるストーリーで、はじめて台本を読んだときにその世界観にグッと引き込まれました。だからこそ、この友見の役を、原作の世界観のまま表現するにはどう演じたらよいのかと悩みました。
写真をもっと見る––––友見は凛としていながら、一方でかわいらしさもある女の子ですよね。
久保田:セリフもとってもかわいいんですよ。聡明でありながら、17歳の可憐さもきちんとあるんです。誰もが好きになってしまう要素がたっぷりなんですよ。あらためて、あだち充さんの物語に出てくる女の子って〝ズルいな〟って思いました(笑)。
––––どんなセリフにかわいらしさを感じましたか?
久保田:「女の子には、嘘でもかわいいって言ってあげるべきだと思うけど」というセリフがかわいいなって思いました。実際に言えるかと言われたら……難しいです(笑)。
––––鶴房さんが演じた〝謙司〟は、あまのじゃくなところもありますが、素敵な一面もたくさんありましたよね。
久保田:鶴房さん自身、どこか掴めない感じが謙司と似ているなと思いました。ドラマの中で、いろんな感情を抱えながらラップをするシーンがあるのですが、演技が初めてとは思えないくらいすごく印象的だったんです。そこでしっかりと謙司の意思の強さを感じました。
––––謙司は、女の子が気にしていることをズバッと言ったり、すごく正直ですよね。
久保田:あの正直さは、謙司なりの優しさだと思いました。そう言ってくれる人の方が少ないからこそ、謙司のような存在はすごく素敵ですよね。
––––現場での鶴房さんは、どんな雰囲気でしたか?
久保田:最初に「緊張している」と言っていたのですが、いざ撮影となると堂々とされていて、緊張しているようには見えなかったですね。その雰囲気から、最初は私よりも年上だと思っていたんです。話しているうちに、1歳年下だと知り、なおさらすごいなって思いました。あと、音楽をやっている方だからこそ、感情を表現する力がすごくあるなと感じました。ラップのシーンはとても感動しました。そうそう、鶴房さんのマネージャーさんが、そのシーンを見て泣いていたんです。JO1のチームはすごくいいチームなんだなって思いました。
––––鶴房さんは、ドラマの撮影で本物の涙が1度しか出せなくて悔しい思いをしたと言っていましたが…。
久保田:私もお芝居を始めた頃に、大先輩から「感情が伴っていれば、涙が流れるか流れないかは関係ない」と言っていただいたことがあるんです。それから気負わずにやった方がいいなと思えているんですよね。鶴房さんが演じていたシーンを見て、本当に気持ちがあれば伝わるんだということを実感しました。
––––今作は、男同士の友情が深く描かれています。この友情に対して、羨ましさも感じたのではないでしょうか。
久保田:そうですね。この物語に描かれている友情は、正々堂々とぶつかっていて、かっこいいなって思ったんです。女の子は、思っていることを伝える時も、言葉を選ぶことがありますよね。でも、この物語の2人は、まっすぐにぶつかっているので、すごく羨ましさを感じました。
––––久保田さんは、学生時代に、このような友情関係はありましたか?
久保田:私は芸能コースがある高校に通っていたので、みんながお仕事をすごく頑張っていたんです。学校で見る姿と、フィルターを通して見る姿はまったく違うからこそ、リスペクトがありましたね。それに、ほとんど女の子ばかりのクラスだったので、すごくサバサバしていていい関係でした。
写真をもっと見る––––オーディションも一緒だったり…?
久保田:ありましたね。そこでのライバル心はありましたが、それ以上にリスペクトする心があったからこそ、友情が成り立っていたんです。そう考えると、このふたりの関係性と、ちょっと似ていたのかもしれません。
––––実際に完成したドラマを観てみて、いかがでしたか?
久保田:すごく切ないんですが、あだち充さんが原作ということもあり、瑞々しく、清々しい作品になっているように感じました。それがまた一層切なさを感じさせるのですが、すごく素敵なドラマになったと思います。