「海象」の意味や読み方とは?
では、早速「海象」の読み方と意味を見てみます。
■読み方と意味
「海象」は読み方によって、実は意味が異なる言葉なので要注意。ここでは、2通りの読み方「かいしょう」と「かいぞう」とそれぞれの意味を説明します。
まず、「海象」を「かいしょう」と読む場合です。意味を辞書で調べてみると、
海洋の自然現象の総称。(<小学館デジタル大辞泉>より)
次に、「海象」は「かいぞう」と読むこともできます。この意味を辞書で調べてみると、
1 セイウチの別名。2 ゾウアザラシの別名。(<小学館デジタル大辞泉>より)
と、海にすむ哺乳類の「海獣」の名前に! いかがでしょう? 「かいしょう」と「かいぞう」、読み方が変わると、全く違う意味になるのです。正しい意味を理解してくださいね。
また、「海象」のように「海」と生き物を表す漢字を組み合わせた言葉もたくさんあります。例えば「海豚」「海獅」「海獅子」など。こちらはいずれも海獣のこと。「海豚」はイルカ、「海獅」はアシカ、「海獅子」はアザラシです。漢字をよ〜く見て、その言葉からその動物の姿をイメージすると、不思議とぴったりしませんか? 不思議ですね。
「海象」の使い⽅
海の生き物である「海象(かいぞう)」は、動物園やテレビなどを通じて、その姿をイメージできる人も多いと思いますが、「海象(かいしょう)」は、馴染みがないという人も、少なくないのでは。本記事では「海洋の自然現象の総称」を指す「海象(かいしょう)」について見てみましょう。実際には、どのような使い方がされているか、説明します。
1:波浪等の状況を観測後直ちに知らせるオンラインの「海象情報」サービスはとても便利だ。
「海象観測」により得られたデータ「海象情報」は、地球環境変動予測や海洋上での安全な活動、海岸保全対策の実施等の資料として利用されます。
2:「海象観測」の主な観測項目は、「風」「波浪」「潮位」。
国土交通省河川局では、各地の所管観測所で気象・「海象観測」を行っています。海岸の保全にあたっては、海の現象は複雑で未知の部分が多いのが現状。そこで、海岸構造物の設計や災害時の対応などの基礎資料にすべく、国土交通省河川局では、各地の所管観測所で気象・「海象観測」を行っています。
「気象」との違いは?
「気象海象」と並べて使われることが多い「気象」と「海象」。さて、言葉の意味として、どんな違いがあるのでしょう。
■「気象」の意味
「気象」は「きしょう」と読みます。その意味を調べてみると
1 大気の状態、および雨・風・雪など大気中で起こる諸現象。2 「気性」に同じ。3 宇宙の根元的なものの作用により生じる形象。
(<小学館デジタル大辞泉>より)
自然現象という点で共通する「気象」は「海象」の類語とも言えそうです。ただし、「海獣」の意味は、ありませんね。
「気象」と「海象」の違い
「海で発生する自然現象」の総称が「海象」。「気象」は海に限らず、「大気の状態」として、雨・風・雪など大気中で起こる諸現象を表しているので、少しニュアンスが違いますね。
「海象」に注意する必要がある時は?
身近なところで、「海象」を気にする必要があります。それは、マリンスポーツのシーン。最近、人気の「SUP」でも、気をつける必要があります。他には水上オートバイや、カヌーも。また、海が好きな人は覚えておくといいでしょう。いざというときに役立ちますよ。ここではそれぞれの注意点について、説明します。
1:SUP(スタンドアップパドルボーディング)
海上に出てから急に風が強くなることも。最近人気のSUP(スタンドアップパドルボーディング)が最も苦手とするのは強い風です。予報を確認して、風が強くなる場合は無理な出航は避けましょう。常に風力と風向きの変化に気を付けて、風が強くなる前に陸へ戻ることが重要。波高・うねり・風浪などに十分に注意してください。
2:水上オートバイ
マリンレジャーとして、人気が高い「水上オートバイ」。事故の多くは、気象・「海象情報」を収集しなかったことが原因。水上オートバイが航行する陸岸付近は、陸上と海上の両方の影響を受けて変化が激しいとか。水上オートバイを楽しむ時は、その日の気象状況や、地域特有の「海象」をあらかじめ調べることをお忘れなく。気象や海象の特性を理解しないで、無理をすると事故を起こす原因に。
3:カヌー
カヤックは気象・海象の影響を大きく受けます。カヤックにとって、最も危険な状況は風の強さと、風によって生まれる波の高さが限界を超えること。海上に出てから急に風が強くなることもあるので、風の変化を敏感に感じ、風が強くなる前に陸へ戻ることが重要。
※参考サイト:海上保安庁ウォーターセーフティガイド
「海象」を知るにはどうすれば?
日本気象協会のWebサイトには、「海象」を知る手がかりがたくさんありますよ。Web情報サービスを、目的に応じて選ぶことができます。
1:気象海象情報サービス(MICOS-Ship)
船舶の運航、港湾作業等、効率的な安全管理を支援する「気象海象情報サービス」のこと。港湾天気予報は、日本全国約300港を対象に、短期(3日先まで)と週間(7日先まで)の天気、波高、風向風速予測情報を提供。海岸工事等で利用できる特定地点予測情報や、日本近海の任意ポイントの波浪予測といった独自予測情報のほか、最新の台風情報、波浪実況、海流、衛星画像を見ることができるのです。
※参考サイト:https://www.jwa.or.jp/service/transport-support/waves-05/
2:海事産業向け「気象海象データサービス POLARIS(ポラリス)」
「気象海象データ」は、船舶の運航効率の評価や設計等はもとより、安全航海・省エネ航海(CO2排出量削減)、航海の事後検証・評価、IoS(船舶のIoT)への取り組みなど、幅広い分野で必要不可欠なデータ。地球全球の詳細な「気象海象データ」を蓄積した巨大なデータベースによる情報提供とこれを用いた航海支援サービスです。
「気象海象予測データ:POLARIS Forecast」は、手持ちのPCにアプリをインストールするだけで簡単に利用できますよ。
※参考サイト:https://www.jwa.or.jp/service/transport-support/transport-support-waves-02/
「海象」の英語表現は?
英語で「海象」をどのように表現できるのでしょう。例文で説明します。
1:When you enjoy canoeing, you need to be careful about the weather and oceanographic phenomena.(カヌーを楽しむときは、気象や海象に注意する必要があります。)
「海洋」という意味の「oceanographic」と「現象」の意味「phenomena」の意味が組み合わさると「海洋の現象」。すなわち、「海象」と同様の意味に。
2:If you ski on the water, you need to have a good understanding of the marine phenomenon.(あなたは水上スキーをするなら、海象をよく理解する必要があります。)
「海象」は、「海」の「marine」と「現象」の「phenomenon」を使って、文字通り「marine phenomenon」(海の現象)と表現できます。
最後に
自然をめぐる言葉は危険から身を守ることにもつながるので、あまり馴染みがないかもしれない「海象」について説明しました。ぜひ、正しい知識を得て、自然の優しさと厳しさの両方を上手に見極める習慣を持ってくださいね。また、同じ漢字でも、読み方を間違うと人に誤解されてしまいます。2つの意味を表わす漢字「海象」について、この機会に理解してくださいね。