私たちの老後30年。ただ長生きしてもしょうがない!?
「100年生きる」時代が来るとはいっても、「まだまだ現実味がわかない…」という人も多いのでは。 Domani読者がセカンドキャリアについてどう考え、備えているか、Domani世代が抱えている不安や悩みを、ぶっちゃけトークでお届けします。
会社も夫もアテにならない! 起業して好きな仕事で一生稼ぐつもり
T・Sさん(38歳・製薬会社)
《DATA》 ● 家族構成/夫・子供(4歳・2歳)と4人暮らし ● 夫/40歳・製薬会社 ● 年収(額面)/妻:約1,200万円、夫:約700万円 ● 現在の貯金額/約800万円 ● 住まい/持ち家 ● 老後の不安/夫との仕事に対する価値観の違い、お金
苦労してまで働き続ける意味がわからない。お金が足りなくなったら…、その時考えればいいじゃない?
Y・Tさん(38歳・契約社員)
《DATA》 ● 家族構成/夫とふたり暮らし ● 夫の職種/40歳・金融関係 ● 年収(額面)/妻:約300万円、夫:約700万円 ● 現在の貯金額/約1,000万円 ● 住まい/持ち家 ● 老後の不安/自分の介護問題、夫に先立たれること、お金、健康
このままずっと独身かも? ずっと働き続けたいけど、もし体を壊したら…!?
M・Dさん(38歳・IT)
《DATA》 ● 家族構成/独身(離婚歴あり) ● 年収(額面)/約700万円 ● 現在の貯金額/約400万円 ● 住まい/持ち家 ● 老後の不安/健康で働き続けられるか、自分の介護
老後に向け、Domani世代もゆるやかに準備中!?
M 〝人生100年時代〞ってよく聞くけど、本当に私たち100年生きるのかな。
T 100歳までってことは、老後が30年以上もあるんですね。
Y 今の女性の平均寿命の87歳より10年以上延びるんですよ。昔のようにただのんびり過ごすにはちょっと長すぎ。 M 社会情勢がどんどん変わっていますからね。
Y 私の親世代の老後は年金で旅行ざんまい。でも私たちは年金がもらえるかもあやしい。親世代と違う生き方をしなきゃとは思うけど、ロールモデルが周りにいなさすぎて老後も働くことが想像つかないんですよね。
T 私は、老後も元気なうちはずっと働いていたいです。今は製薬会社の開発チームに勤めていますが、ふたり目の子供を産んでから、国内外の出張に対応するのが大変で、実は今の会社で長く働き続ける自信は喪失気味。でも仕事はずっと続けていきたいから、どうせなら好きな仕事で稼ごうと思って。最近は、今の会社を5年以内に辞めて起業し、日本ではまだメジャーではない幼児教育法を広めるために、子供向けの教室などを事業として展開したいと考えています。
Y 会社経営ですか。すごい!
副業もスタート(M・Dさん)
M 私は、できればゆるやかに仕事をしていきたいな。今の会社は定年前に辞めて、その後はこれまでの広報のキャリアを活かしながら、人と人をつなぐビジネスをするとか。人に関わる仕事なら将来もなくならないかな、と。今はその目標に向かって、副業も始めたところ。
Y ふたりとも元気なうちは働くつもりなんだ。老後になってまで、疲れません?
M 疲れると思いますよ(笑)。でも、働くこと自体が生活のハリになるんじゃないかな。老後することがなかったら、あっという間に老け込みそう。
Y 私は今は受付の仕事をしているんですが、じきにAIに取って代わられるだろうと思っています。かといって、ほかにやりたい仕事もないし…。となるとお金のために働く? とも思うけど、好きでもない仕事のために頑張れなそう。それだったら65歳までに頑張ってお金を貯めて、夫と一緒に花を育てたりしてのんびり暮らしたい、って思っちゃう。
老後は貯金でまかなうつもり(Y・Tさん)
T それで生活が成り立つなら…羨ましいじゃあ今から貯めとかなきゃですね。病気になったりしたら大変。
Y 備えはしていますよ。でも私たちの老後は、今のように全員が医療を受けられる時代じゃなくなる気がします。年金が減って医者にかかれない人が増えると、100歳まで生きられる人は意外と減るんじゃないかと思う。
M シビアですね〜(笑)。Tさんは、何か心配してることってありますか?
T うちはまだ子供が生まれたばかりなので、老後資金を貯める時期と教育費がダブルでかかってくるのが不安。でも子供がやりたいことをあきらめさせるのはイヤなので、お金は今も一生懸命に貯めているんですが。実は産休のとき稼げない焦りから、投資を始めてみたんです。投資なら、寝ながらスマホでできますからね。
最近、投資を始めました!(T・Sさん)
Y うちは子供がいないからかもしれないけれど、私は究極、お金は自分の葬式代ぐらいがあればいいんじゃないかなと考えています。それに…、本当に困ったら、死んじゃえばいいやと思っているので(笑)。
T あはは! これまたすごい発言。
M 私は実は33歳で離婚していて、この先ひとりで生きていく覚悟を決めたんです。だから、老後は自分の介護のことも心配。とはいっても、パートナーが現れるといいなという願望はあるので、最近購入したマンションは、売ったり貸したりしやすいよう、東京の中心地にある1LDKの物件にしました。
Y しっかりしてる…。
T 家族やパートナーの影響って、老後のことを考えるにつけても大きいですよね。うちの夫は私と正反対で、仕事が嫌いで専業主夫になりたい人。今のところは「辞めさせてあげるよ」と言っています(笑)。でも最近、仕事への考え方が真逆の人と、100歳まで一緒に暮らしていけるんだろうか? と疑問に思えてきて。
M 仕事、お金、家族…。今後考えなければいけないことって、たくさんありますね。でもなんだかんだ言って、結局は健康であることが前提ですよね? 私、最近乳がん検診に引っかかって、何度も再検査を繰り返したんです。結果的には問題ないとわかったけど、健康じゃなきゃ何もできないんだ…と再認識しました。
T 仕事をするにしても、のんびり過ごすにしても、体の自由がきかなければハッピーな老後とは言えないですもんね。
一同 うーん、不安は尽きません。
Domani2018年5月号『「人生100年時代」のセカンドキャリアを考える』より
本誌撮影時スタッフ:イラスト/船越谷 香 取材・文/田中亜希(座談会) 構成/佐々木 恵・赤木さと子・酒井亜希子(スタッフ・オン)