多くのDomani読者にとって、コーヒーは、仕事に、つかの間のほっとする時間に必要不可欠だと思いますが、実際にハンドドリップで淹れている人は、そういないのでは? 仕事に育児に、自分の時間をもつことすら難しいほど忙しいDomani世代ですが、この本を読んだら、週末に、そしてこの年末年始に、新しい趣味として、ハンドドリップコーヒーを始めたくなるかも。コーヒー芸人として人気の、コマンダンテ石井輝明さんによる著書『全人類に提唱したい世界一手軽な贅沢 おいしいコーヒーライフ入門』(KADOKAWA刊)が発売されました。
▲コマンダンテ石井輝明さん。コーヒーだけでなく、ファッションやインテリアも抜群のセンスと評判です。
写真をもっと見るちなみに石井さん、Domaniには数年前にモデルとしてご出演された過去が。身長180㎝のすらっとした体型を生かし、素敵にスーツを着こなしてくださいました。今回は、勝手に「おかえりなさい企画」として、石井さんに著書についてお話を伺います!
日々通うカフェが、コーヒーの学び場です
──本の出版おめでとうございます。以前から、石井さんはSNSなどで、コーヒーについて発信されていらっしゃいますが、もともとカフェ好きが高じて、自分でもコーヒーを淹れるようになったのでしょうか。
石井さん(以下敬称略):同じタイミングですかね。コーヒーに触れて、カフェに行ってみたら「あ、こんなにお店によって違うんだな」っていうのに気づいて。
──芸人仲間のアイロンヘッド・ナポリさんから、誕生日プレゼントにコーヒーミルをもらったのがきっかけだそうですね。ミルから始めるというのも、珍しいかと。
石井:あー、そうなんですかね。でもたぶん、彼はちょっとおしゃれなものを渡したかったのかな?って。ドリッパーとか、他は僕が買ったんですが、まあ、あれがなかったらわかんないですね、コーヒーに関わってるかどうか。本当に思いがけない出合いでした。そうするとカフェの見方も変わってきて。
▲笑顔が優しい!
写真をもっと見る──この本も、芸人さん発とは思えないほど実践的な内容ですね。コーヒーの淹れ方だけでなく、豆の種類から選び方に至るまで。石井さんご自身は、どうやって勉強されたんですか?
石井:専門書ももちろん読みましたし、あとコーヒーの講座に行ってみたり。でも基本は、実際に行ったカフェですね、ドリップの方法とか聞くのは。自分のYouTubeチャンネルがあるので、企画にすると、よりしゃべりやすいっていうのはありますけど。どういう思いでコーヒーを淹れてるのかとか、どうしてこういうブレンドになったのかとか。お店の名前もそうですしね。興味があるんで、プライベートでカフェに行ったときも、気になったことはお店の方に聞きますね。
──お店の方って、そういうことに関しては、親切に教えてくださるんですか?内容によっては企業秘密っぽい印象です。
石井:聞けば答えてくれますね。でも僕は、自分からガンガン行くタイプじゃないんで、向こう側が喋ってきてくれはる人のときは、それに乗じて、こっちから質問をいろいろさしてもらうっていう感じです。
漫才師らしく、コーヒーをわかりやすく伝えたい
──コーヒーのプロではなく、「コーヒー好きの芸人」の本として、おすすめのポイントはどこでしょう。
石井:やっぱり、コーヒーって深いんで、有識者になればなるほど、一般の人との知識のギャップが出てきちゃうと思うんですよ。僕はその間にいて、まだ一般の人側の気持ちもわかるよさがあるかなと。いきなり専門的なことをガンガン言われても、みんなはわからないので。僕は漫才師ですし、人に何かを伝えるっていう作業をずっとしてる。漫才師は、そういう努力をずっとしてるんで、何かをかみ砕いて、わかりやすく人に伝えることに対しては、たぶんコーヒーのプロの方よりは、長けてるなと思うんですよね。
▲コーヒーの淹れ方について、ジェスチャーを交えて熱弁中。
──そのあたりを意識して、本はつくられたんですか?
石井:この本を担当してくださったライターさんも、そんなにコーヒーをめっちゃ知ってるわけじゃなかったんです。でも逆にそれが、すごいいいなっていうか。僕の言うことが理解できない場合は「どういうことですか?」と質問されるので、それに気づけたのはよかったなっていうのがありました。
──確かに、すごくわかりやすかったです。
石井:あ、もう読んでくれたんですか?ありがとうございます。(注:取材時は本の発売前でした)
──はい、ひと通り。でも豆の産地のページは、専門的すぎて…。
石井:産地のページはね(笑)。僕でも、あのページはそんなに深く読まないですね。
──どこかでコーヒーを飲んで、産地が気になったら、調べるのにいいかなって思いました。
石井:そうですね。
▲インタビュー中、石井さんの手の美しさに釘付けになるDomaniスタッフでした。
写真をもっと見る──ちなみにどんな方に、読んでもらいたいですか?
石井:家でコーヒーを淹れることに興味がある方もそうですし、全然興味ないけど、芸人として僕のことを知ってくれている人がそれをきっかけに本を読んで、ちょっとコーヒー淹れてみようかな、飲んでみたいなってなるように書いた感じですね。コーヒーめっちゃ好きで、という人に向けてというよりは、導入部分になるような。
──コーヒー好きの裾野が広がるといいですね。
石井:はい、そうですね。
忙しいDomani世代がコーヒーを楽しむなら?
──あの、せっかくなので、今回は特別にDomani読者に向けて、コーヒーのアドバイスをしていただけないかなと。30~40代のワーキングマザーが主流で、正直、毎日時間がないんです。だからハンドドリップをする余裕も、なかなかないのですが、そういう人は、何から始めたらいいでしょうか。
石井:そうですね、ほんまに今って、たとえばコーヒーメーカーにしても、昔より技術は格段に上がっているので、ハンドドリップみたいなクオリティのコーヒーができあがるものもあるんですよね。僕は自分の手で丁寧に淹れるほうが、絶対いいとは思いますけど、でも味だけで言ったら、そこまで引けを取らないぐらいの機械も出ているんで、朝忙しいときは、全然使ってもいいと思うんです。あとはまあ、水出しコーヒーとか。夜にセットすれば、次の日の朝にできているものとか、ハンドドリップにこだわらずに、やってもいいかなと思いますね。
──水出しは、確かに簡単でいい方法ですね。
石井:でも豆は、やっぱりできる限り新鮮な豆を使って欲しいなっていうのはありますね。あたりまえですけど、コーヒーだって食品やから、賞味期限がちゃんとあって、豆も大体2~3週間ぐらいが、本来の賞味期限なんですよね。でもものによっては、そこに何かしらが施されて、半年なり1年なり保つようにしてるわけじゃないですか。ってことは、余計なものが加わって、そうなってる。食品としてコーヒーを見てもらえたらって思いますね。
──コーヒー豆は、野菜と同じなんですね!
石井:本当にそうですね。そのぐらいの感覚で見てもらったほうが。家の近くに1軒ぐらいは自家焙煎してるコーヒー屋さんってあると思いますし、あと今は、オンラインでいくらでも新鮮な豆って買えるから、そこはこだわってほしいですね。
▲コーヒーにはじまり、漫才や人生についてもじっくりお聞きしたので、続きは後半で!
写真をもっと見る──ちなみに、道具についてはどう思いますか? 最近は100円ショップでも、買うことができますが。
石井:全然いいと思いますけどね。コーヒーに限らずですけど、100円ショップって、どのジャンルでも「このクオリティのものがあるんや」ってなるじゃないですか。僕は買ったことがないのでわかんないですけど、ハンドドリップの入口として試す分には、それで十分。ただまあ、その「背景がない」っていうのが残念ですね。道具も「こういうこだわりがあって」みたいなものが、やっぱちょっと欲しいから……。
コーヒーを淹れるには心がこもっていないと、と語る石井さん。後編では「コーヒーで人生が変わった」とまで言い切る、コーヒーの向こう側に見えた、石井さんの人生論に触れていきます!
撮影/高木亜麗 取材・文/湯口かおり
カフェ訪問数1300店以上!人気コーヒー芸人コマンダンテ石井さんによる、コーヒーライフ入門本。知れば知るほどに面白い、奥深いコーヒーの世界へ石井さんが誘います。
お笑い芸人
コマンダンテ石井輝明(いしいてるあき)
お笑い芸人コマンダンテのツッコミ担当。1984年10月17日生まれ、大阪府出身、身長180㎝。ゆったりしたテンポと落ち着いたトーンの、独特な世界をもつ漫才に定評が。個人の活動として、SNSや動画配信などで、コーヒーにまつわる発信も、積極的に更新中。
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