クラス替えの意味とメリット・デメリット
クラス替えは学校や地域によって異なりますが、小学校・中学・高校では毎年行われているところが多い傾向にあります。小学校では、2年に1回行う学校も。そもそも国や都道府県に明確な指針がなく、各学校に任されているのが現状です。
クラス替えの意味
クラス替えをする意味はおもに二つあります。
1:多くの人と関わり、視野を広げるため
さまざまな価値観や考えにふれることで自身の視野が広がります。また、多様性が叫ばれる昨今、さまざまな他者とうまく折り合いをつけていく能力が求められています。そのためには、多くの人との関わりが不可欠です。
2:不公平感を分散するため
子どもにも個性があるように、教員にも個性があります。学級運営の方針や授業の進度など、クラスによって違いが出てくるもの。保護者からすれば「うちの子のクラスだけやっていない」「隣のクラスの方がよかった」などと不公平感が生まれることも。それらを分散するための方法として、クラス替えがあります。
クラス替えのメリット
1:さまざまな友達や教員と出会える
クラス替えによって交友関係が広がり、担任も変われば、さらに子ども自身の成長につながるでしょう。
2:クラス内のトラブルが解消できる
仮にいじめなどのトラブルがあった場合、クラス替えによって解消に期待できます。
クラス替えのデメリット
1:せっかく慣れてきた環境を変えるのはストレスになる
ようやく慣れてきた環境。人見知りの子にとっては辛いものかもしれません。
2:浅い人間関係になってしまう
友情はじっくり育むものなので、一年では深い付き合いにならないまま終わることも考えられます。
クラス替えの決め方
気になるクラス替え、一体どのように決められるのでしょうか。各校種別に紹介します。
小学校の場合
小学生の間は発達段階によって個人差がありますので、全体的にクラス間で「差がなく、いろいろな個性が集まっているクラス」を目指します。ここでいう「差」とは学力だけでなく、例えば、運動が得意か、リーダーシップがとれるかなどを指し、いわゆる長所を分散させるというイメージです。
誰が決めるの?
担任教員です。例えば学年4クラスならば、旧クラスを4等分し、学年担当の教員同士で話し合いながら、各々が作ったグループを組み合わせて新しいクラスを作っていきます。最終的に管理職や、専科教員、養護教諭などの助言を得て決定します。
どうやって分けるの?
旧クラスを等分といっても、どうやって分けるのでしょうか? 前述したように、差が出ないように、長所を分散させるのが基本ですが、その他にもいろいろな配慮をしています。
〇男女数のバランス
〇特別な支援が必要な児童(発達障害・学習障害など)
〇問題のある保護者(いわゆるモンスターペアレンツなど)
〇居住地域のバランス
〇双子や親せき関係にある児童
などです。
1年生の場合は、幼稚園や保育園からの申し送り、就学時健康診断などの情報から上記のことを踏まえてクラス編成を行っています。
中学校の場合
中学校の場合も基本的には小学校と同じで、長所を分散させ、「差がなくいろいろな個性が集まっているクラス」を目指します。
誰が決めるの?
学校によって差はありますが、小学校同様、基本は担任と学年主任、学年団の教員で決めます。最終的に管理職、専科教員、養護教諭の助言を得て決定します。
どうやって分けるの?
小学校と異なる点は、成績も加味されること。クラス間の平均点に差が出ないようにするためです。模擬テストや、実力テストの成績に序列をつけ、順番に各クラスに振り分け、その後、各教員で話し合って入れ替えを行います。中学生になると自我も出てきて不安定になる時期のため、小学生より細かい配慮が必要となります。
〇成績はよくても、授業を妨害するような生徒
〇おとなしいけれど問題を起こしそうな生徒
〇友達同士で注意できる生徒
〇周囲を巻き込むリーダー的な要素のある生徒
〇相性の悪い生徒(個人では問題がないが、一緒になると悪事を働くなど)
これらに加え、合唱コンクールなどの時に伴奏者が必要なので、ピアノが弾ける生徒も分散させます。小学校と同様、支援の必要な生徒や、問題のある保護者などを考慮しながらクラス替えをしています。