イジメではないけれど、子ども同士の「いじり・いじられ」にモヤモヤ
子どもが何気なく話してくれた学校での出来事。大人からすると「イジメではないけれど、いじられていない!?」と不安に感じたことはありませんか? スクールカウンセラーとしても活動している、臨床心理士・吉田美智子さんに「いじり・いじられ」についてお話を伺いました。
難しすぎる〝イジメ〟と〝いじられ〟の境界線
いわゆる一般的な〝いじられ〟と見られるケースは、
●いじっている方に悪意はない・コミュニケーションだと思っていることが多い
●いじられている方は気にしていないこともあるが、実は嫌だと感じているが、場の雰囲気を読んで「笑っている」ことがある(ので、いじめになっていることもある)
このようなことが多く、実に〝イジメ〟と〝いじられ〟の境界線は曖昧です。そこに加え、何に対し「OK」「NG」と感じるのかは人によって違います。これらの理由から、親が子どもの話に違和感を感じても強く追求できず、モヤモヤした気持ちのまま保留状態となるのではないでしょうか。
まずは子どもが気づき、行動を起こすこと
親としては〝いじられ〟がイジメにつながってしまうのではないか、もしそうであれば早めに芽を摘みたいと感じると思います。しかし、親の出番は最後の最後です。まずは子どもに問いかけてみましょう。
〝いじられ〟を感じた場合は、本人が嫌な気持ちを持っていないか確かめてみましょう。嫌な気持ちだった場合は、どんなことが嫌で、自分はどうしたらいいか考えさせてください。考えがまとまったら、行動に移せるよう良き相談者になってあげましょう。また、嫌な気持ちを感じていない場合もあります。そんな時は、しばらく様子を見て、同じことが繰り返されてないか定期的に確認を。
反対に我が子が〝いじり〟側だと気づいた場合、叱りたくなりますがグッと堪えてください。叱ってしまうと〝怒られたのは相手のせいだ!〟と感じ、逆効果になってしまう場合もあります。自分はなぜそのような行動を取ったのか、いじられた方の気持ち、本当はどうしたらよかったのかなどを自分の力で考えさせてみましょう。
いつでも大人の目が届くわけではなく、また守れるわけでもないので、大人がコントロールできる事柄ではないと理解しておくことが必要です。しかし、いじられたことで元気がない子どもには、「親は味方である」ことと「本人のいいところ」を伝えてください。決していじられている自分はダメだ、価値がないんだ、などと感じてしまうことがないようにしてあげてくださいね。
画像/(C)Shutterstock.com
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
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