コロナ禍で目立ってきた「抜毛」とは?
皆さん「抜毛(ばつもう)」という言葉はご存知ですか? 自分の体毛(頭髪・眉毛・まつげなど)を抜いてしまう症状のことを言います。スクールカウンセラーとしても活動している、臨床心理士・吉田美智子さんによると、「コロナ2年目を迎え、子どもたちに抜毛などの症状が増えてきてる」とのこと。抜毛のメカニズムや、対処法についてお聞きしました。
「抜毛」はただの癖ではない!
思うように生活ができないコロナ禍。子どもたちもストレスを抱え、何かしら身体に支障をきたし始めています。そのひとつに最近目立ってきたのが【抜毛】。上記にもあるよう、体毛を抜いてしまう行為ですが、これも実は自傷行為に当てはまるんです。
自傷行為と聞くと自分を叩いたり、引っ掻いたり、リストカットなど傷付ける行為を連想すると思いますが、抜毛も同じで原因はストレスと考えられます。無意識に抜毛することで、イライラや不安に押しつぶされないようにしているという仕組みです。
頻繁に抜毛を見かけたらどうする?
昨年はコロナ禍でも「来年の今頃はきっといつもの生活が戻ってくる」と希望をもって生活ができました。子どもも踏ん張れたんですよね。しかし、今年はそのエネルギーも尽きそう、トンネルの出口が本当に見えないんだ、という憔悴しきった気持ちになりがちです。ですので、抜毛行為を頻繁に見るようになったら、
1.心配や不安はないか
2.プレッシャーに悩んでいないか
上記の2つをポイントに学校や塾、親子関係を振り返ってみてください。抜毛が自傷行為だとわかると、親としてはどうしてもやめさせたいと思います。しかし、決して「抜いちゃダメ」と注意しないでください。
「ずっと我慢して苦しかったのに、気づけなくてごめんね」と伝えながら、抜毛していた部分を撫でるなど労わってあげてください。一度で止むものではないので、しばらくの間はつきあう覚悟も必要です。万が一、症状が重い場合は心療内科や精神科の思春期外来で相談する、カウンセリングを受けるなど検討してくださいね。
取材・文/福島孝代
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