海の日はいつ?
今年の「海の日」は何月何日か、パッと答えられない人は意外に多いのでは。そもそも海の日が祝日になった理由には、どのような背景があるのでしょうか。歴史を振り返りつつ、2024年の海の日についても解説します。
7月の第3月曜日
「海の日」は、法律によって定められている国民の祝日の1つです。毎年「7月の第3月曜日」で、年によって日にちが変わります。
はじまりは1941年に7月20日が「海の記念日」として定められたことです。当初は祝日ではありませんでしたが、祝日化を願う声が高まり、1995年に国民の祝日として制定されました。海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う国民の祝日「海の日」として1996年より施行され、現在に至ります。
参考:国民の祝日について – 内閣府
参考:海事:海に親しむ – 国土交通省
2024年は7月15日
2024年の海の日は、「7月15日」です。
ちなみに2021年は「7月の第3月曜日」ではなく、「7月22日 (木) 」に移動されたのを覚えているでしょうか。この祝日移動の背景には、2021年7月23日に開催されたオリンピックの開会式がありました。開会式前後を祝日にすることで、東京中心部の混雑を抑えようというわけです。この祝日移動は2021年に限った特例措置なので、2022年からは通常通り「7月の第3月曜日」に戻りました。
参考:2021年の祝日移動について | 首相官邸ホームページ
海外の海に関連する日
「海の日」は、日本に限ったものではありません。実は海外にも、海に関連する日がたくさんあります。どんな日があるのか見てみましょう。
【国際連合】世界海洋デー:6月8日
1992年の「環境と開発に関する国際会議」(通称:地球サミット)により、海洋の復興・保護の促進を目的として国際連合が制定しました。2009年から正式に国連の記念日として制定され、各国では海や毎年発表されるテーマにまつわるイベントが開催されています。
【アメリカ】国立海洋デー:5月22日
1819年5月22日に「サバンナ号」が蒸気推進による初の大西洋横断に成功したことに由来しています。海の安全や国の安全を願う日で、殉職した船員の慰霊や献花式などが行われています。
【カナダ】海の日:6月8日
国連の世界海洋デーに連動し、1992年より6月8日を「海の日」に定めています。国連の趣旨と同様に、海洋の復興や保護促進を目的としているため、講演会やダイビングイベント、ビーチの清掃など、さまざまな活動が行われています。
【イギリス】海の日:6月8日
カナダと同じ経緯で「海の日」が設けられました。各地で海にちなんだイベントが開催されています。
【スペイン】海の守護聖母カルメンの日:7月16日
ビルヘン・デル・カルメンという海の守護聖人が現れたとされる日に由来しています。漁村では船を花や旗で飾り付け、最もきれいな船にカルメン像が乗せられます。
【オーストラリア】海をいたわる日:12月の第1日曜日
「海を愛する者が、1年に1度、一緒に海洋環境の保存に協力する日」として制定され、海に関するイベントが多数開かれます。オーストラリアは南半球のため、12月は夏の気候です。
海の日ができるまでの流れ
海の日は最初から「7月の第3月曜日」ではありませんでした。この日程に定められたのはわりと最近のことなので、日にちが変わったときのことが記憶にある人も多いかもしれません。海の日が現在の形になるまでの過程を解説します。
始まりは1941年の海の記念日
海の日が祝日に定められた背景には、明治天皇にまつわるエピソードがあります。1876年7月20日、東北の巡航を無事に終えられた明治天皇は、灯台巡視船「明治丸」に乗り込み、青森から横浜に帰着されたといいます。巡航の成功によって船の安全性が証明され、日本では船旅や海運が盛んになりました。
この史実を記念して、1941年に7月20日を「海の記念日」として制定したことが「海の日」の始まりです。海の日のきっかけとなった「明治丸」は、1978年に船として初の重要文化財に指定されました。現在、修復を終えた明治丸は東京海洋大学に展示されています。子どもとの見学にもおすすめです。
参考:重要文化財明治丸:東京海洋大学 Tokyo University of Marine Science and Technology(明治丸の見学について)
ハッピーマンデー法により3連休化へ
当初は7月20日に定められていた「海の日」ですが、2001年の法改正により、現在の「7月の第3月曜日」へと変更されました。祝日の一部を月曜日に移動し3連休化する、いわゆる「ハッピーマンデー法」によるものです。2003年より施行され、「海の日」は3連休の最終日となりました。
ハッピーマンデー法は週休2日制の定着に伴い、さらに3日以上の連休を増やすことで、観光業や運輸業の活性化を目的としています。
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海の日の過ごし方
子どもと一緒に楽しめる「海の日」のおすすめの過ごし方を3つご紹介します。せっかくなので海をテーマにした過ごし方や遊びなどにトライしてみてはいかがでしょうか。
海や水族館に行く
定番は、海水浴ではないでしょうか。その昔、海水浴は健康や療養のために行われ、平安時代には「潮湯治(しおとうじ)」「潮浴み(しおゆあみ)」などと呼ばれていました。現在のように、レジャー目的で海水浴をするようになったのは明治時代からです。海水浴に行く際には、そんな話を子どもにしてみてもいいですね。
また、天気に関わらず楽しめる水族館もおすすめです。普段はなかなか目にできない海の生物について知る経験は、子どもにとってもよい思い出となるはずです。
イベントに参加する
海の日には、各地でさまざまなイベントが開催されています。海の日の本来の意味が失われることなく、イベントを通して環境問題を意識してもらいたいという意図から、国は海の日を含む7月を「海の月間」と定めています。
例年、マリンスポーツの大会が開催されたり、普段は公開していない灯台の中に入れたりと、この時期ならではのイベントがあります。
本や遊びから海を学ぶ
おでかけが難しければ、家の中で海の世界を楽しむのもおすすめです。例えば海の生き物の図鑑を親子で見ながら会話をするだけでも、想像力が広がり、子どもにとって刺激的な時間が過ごせるはず。
また、海にまつわる連想ゲームやお絵描きもおすすめです。海の幸に対する感謝の気持ちや本物の魚に触れてみたい思いが大きくなり、海への関心が増すかもしれません。
季節の行事を親子でいっしょに学べる絵本形式の実用書です。ものごとの由来やしきたり、遊び方、箸の持ち方、衣服のたたみ方など、行事を子育てに役立てるコツを豊富なイラストで楽しく紹介。文化と愛情を伝える「行事育」が手軽に実践できます。
監修/和文化研究家
三浦康子
古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)ほか多数。
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