【目次】
・日本の祝日、休日とは
・祝日ではないが休日になる日がある
・日本の祝日一覧
日本の祝日、休日とは
カレンダーに赤字で記される一般的な祝日は、「国民の祝日」と「国民の休日」の2パターンあるのをご存知ですか?

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混同されがちなこの二つはどのような違いがあるのでしょうか。日本の祝日、休日について考えてみましょう。
国民の祝日は祝い感謝するための休日
「国民の祝日」は、「国民の祝日に関する法律」によって定められています。
その法律の第一条には
自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名付ける。
と記載されています。つまり、日本の文化や風習、歴史を祝い感謝するための祝日であることがわかります。
ただし注意したいのが、ここにあるのは「国民の祝日」のみで、「国民の休日」という文言は登場しない点です。国民の祝日はすべて「休日」と定められていますが、ここで言及されているのは「国民の祝日のみ」です。
ちなみに国民の祝日が日曜日に当たった場合は、祝日後の直近の平日が休日となります。いわゆる「振替休日」です。
出典:国民の祝日に関する法律(昭和23年7月20日 法律第178号)
学校、公務員は基本的に休日となる
国民の祝日は国が定める休日のため、公的機関は基本的に休日となります。公立の学校、役所などはお休みです。
ただし公務員でも、「交代制」の職種については勤務を要する場合もあります。また、公的機関に該当しない私立学校では、休業日をどのように定めるかは学校側の判断に委ねられています。そのため、国民の祝日が必ずしも休日とならないケースもあります。
祝日に会社が休みになるのは企業努力
国民の祝日を休日とするかどうかは会社の努力次第です。「うちの会社は休みじゃない」という人もいるかもしれませんが、会社は法律違反をしているわけではありません。国民の祝日は休日と定められてはいるものの、それを強制する法律はないためです。
会社の業種や経営状況によっては、国民の祝日でも出勤となるケースは多々あります。
祝日ではないが休日になる日がある
国民の祝日として定められた日以外にも、ある条件で平日が休日となることがあります。

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これによって国民の休日に連休が増え、少し遠くへのお出かけもしやすくなりました。平日が休日になるパターンについて紹介します。
平日が連続せず祝日に挟まれた場合は休日に
国民の祝日に関する法律では、国民の祝日に前後を挟まれた平日を休日とすることが定められています。「そんなケースあり得る?」と思う人もいるかもしれませんが、確かに頻繁に発生するパターンではありません。
このパターンが起こり得るのは、「9月の第3月曜日」と定められている「敬老の日」と、年によって日が変わる「秋分の日」の間にある平日です。
まず敬老の日は、9月15~21日のいずれかの日となります。一方秋分の日は、9月22か23日のどちらかです。ここがうまく飛び石になれば敬老の日と秋分の日の間の平日が休日となり、うれしい3連休となります。
3連休になるハッピーマンデー制度
「土、日が休みで火曜日が祝日」という休みのパターンだと、「祝日があと1日前にずれてくれれば…」と思う人も多いと思います。このもどかしさを解消してくれたのが「ハッピーマンデー制度」です。
この制度の実施により以下の祝日が月曜日に移動され、3連休となりました。
・成人の日(1月第2月曜)
・海の日(7月第3月曜)
・敬老の日(9月第3月曜)
・スポーツの日(10月第2月曜)
特に敬老の日周辺は「シルバーウィーク」とも呼ばれる大型連休になる可能性があります。敬老の日と秋分の日、さらに土日がうまく連なれば最大で5連休が見込めるのです。有給などをプラスすれば、1週間以上の連休にすることもできますね。
9月の終わりは暑さも一段落してきて観光にぴったりな季節。カレンダーをしっかりチェックして、家族で遠出の計画など立ててもよいかもしれません。
2019年は天皇の即位による休日があった
2019年5月1日は祝日となりました。「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」により、御即位されたこの日が「祝日」になったためです。
ここで注目したいのが、4月29日と5月3日はそれぞれ「昭和の日」と「憲法記念日」という国民の祝日だということです。
つまり4月30日と5月2日はそれぞれ前後を祝日に挟まれるかたちになりました。従って国民の祝日に関する法律が適用され、いつもは休日ではない二つの平日も休日となったのです。
これにより、2019年のゴールデンウィークはカレンダー上10連休という大連休になりました。
日本の祝日一覧
現在日本の祝日がいくつあるかご存知ですか?実は、1年間に16もあるのです。せっかくの連休を有意義に過ごせるよう、1年の祝日スケジュールをきちんと確認しておいてはいかがでしょうか。

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メジャーな祝日から比較的新しく制定された祝日まですべて紹介します。
上半期 昭和の日からの大型連休など
1~6月までの国民の祝日は9日あります。「国民の祝日に関する法律」に記載されている趣旨も紹介します。
・元日:1月1日/年のはじめを祝う。
・成人の日:1月の第2月曜日/おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝い励ます。
・建国記念の日:2月11日/日本の建国をしのび、国を愛する心を養う。
・天皇誕生日:2月23日/天皇の誕生日を祝う。
・春分の日:春分日/自然をたたえ、生物をいつくしむ。
・昭和の日:4月29日/激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
・憲法記念日:5月3日/日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。
・みどりの日:5月4日/自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
・こどもの日:5月5日/こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
このうち春分の日は官報に暦要項(れきようこう)が掲載されたあとに正式決定されるため、日にちは確定していません。毎年大きなずれはありませんが、3月20日前後が一般的です。
また数ある連休の中でもやはり気になるのは、昭和の日から始まるゴールデンウィークです。うまく調整すれば1週間以上の連休にもできるので、例年家族旅行を計画する家族も多いのではないでしょうか。
5月は気候もさわやかで、積極的にお出かけするにはぴったりな連休です。
出典:国民の祝日に関する法律(昭和23年7月20日 法律第178号)
下半期 新しい祝日の追加など改正あり
次は、下半期の国民の祝日です。
・海の日:7月の第3月曜日/海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
・山の日:8月11日/山や自然に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。
・敬老の日:9月の第3月曜日/多年にわたり社会につくしてきた老人を敬い、長寿を祝う。
・秋分の日:秋分日/祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。
・スポーツの日:10月の第2月曜日/スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう。
・文化の日:11月3日/自由と平和を愛し、文化をすすめる。
・勤労感謝の日:11月23日/勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。
このうち山の日は2016年に施行された比較的新しい祝日です。加えておなじみだった「体育の日」は、2020年より「スポーツの日」と改められました。
ただし、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の関係で、2020年の祝日が一部変更されました。延期に伴い2021年の動向に注意してください。
以下が2020年限定で変更された祝日です。
・海の日:7月23日
・スポーツの日:7月24日
・山の日:8月10日
下半期の祝日は、シルバーウィークがどのような日程になるかが気になるところです。また10~11月は気候がよく、お出かけの気分も盛り上がります。観光やアウトレジャーを楽しむのにはぴったりですね。
出典:国民の祝日に関する法律(昭和23年7月20日 法律第178号)
出典:内閣府 国民の祝日について
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和文化研究家
三浦康子
古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)ほか多数。

お正月やひな祭り、お花見、お盆、お祭りなど、季節の行事を親子でいっしょに学べる絵本。由来やしきたり、遊び方や箸の持ち方、衣服のたたみ方など、行事を子育てに役立てるためのコツが満載。