「馬鹿みたいだからやめなさい」「みっともないよ」「恥ずかしいよ」つい口にしてませんか?
大人の常識からすると、「えっ!? 嘘でしょ」と驚くような行動をする子どもたち。その〝驚き〟と〝しつけ〟を組み合わせ、つい上記のような言葉を口にしていませんか? スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士の吉田美智子さんは、この大人の口癖には危険が含まれていると話します。
言われた子どもはどう感じてる?
「上記のような言葉は、大人相手には絶対言いませんが、子どもとなるとつい口にしがちですよね。言っているほうは、子どもを静止するためだったり、間違いに気づいて欲しくて言っているかもしれません。しかし、言われた子どものほうはどうでしょうか。上記の言葉はとても使いやすく、いろんなシーンでまるで口癖のように発せられます。何度も言われ続けた子どもは、『自分は馬鹿なんだ』『みっともない子どもなんだ』『親に恥ずかしい思いをさせる悪い子なんだ』と人格否定へと移行していきます。親はねちねち言いたくないため、上記のような簡単な言葉を使いますが、意図せず子どもを傷つけているかもしれません」
子どもの間違いを正す前に、親の間違いを正して!
「否定的な言葉は、子どもを傷つけるだけでなく、正解が分からず困惑させてしまうことも。子どもの間違いを指摘する前に、親の言葉選びを見直してみてください。例をいくつかご紹介しますね」
●「電車で騒ぐなんてみっともない」→「電車の中は静かにしよう」
「〝みっともない〟と子どもの人格を否定するのではなく、その場であるべき姿を伝えましょう。これは電車の中だけではなく、病院や、おふざけしてはいけない場所で活用してください」
●「○年生にもなって、宿題もできないなんて恥ずかしいよ!」→「宿題しようか」
「年齢を引き合いに出して、できないことを責めると、自信をなくし、本当はできることもできなくなってしまうかも。それに、できないことを責めてもできるようにはなりませんよね。〝◯◯しようか〟と行動をうながすような声がけがベスト。特に宿題は毎日あるし、子どもにとって面倒くさい存在。ただでさえブルーな気持ちに、さらに落ち込む声がけは避けたいですよね」
●「そんなことで怒るなんて、バカみたいだからやめなさい」→「落ち着いたら話を聞くね」
「まず、親が〝子どものうちは感情のコントロールがうまくいかなくて当たり前〟という心構えを常に持っているといいと思います。子どもが怒ったとき、泣いたときは『そういう気持ちなんだね。落ち着いたら話そう』とさりげなく声がけを。〝バカみたいだからやめなさい〟と言ってしまうと、感情表現を表に出すことが間違いなんだと誤った認識をしてしまい、感情をしまいこんでしまう恐れも」
●「だから言ったでしょう」→「うまくいかなくて残念だったね」
「親が注意したことを失敗した際、上記のような言葉を言ってませんか? 失敗しショックを受けているところに、上から目線で『ほらね』と畳み掛ける言葉はNGです。失敗を叱られたり、からかわれたりすると、子どもはチャレンジすることをやめてしまいます。ここは残念だった気持ちを言語化して、がっかりした気持ちを和らげてあげましょう」
「いくつか例を出してきましたが、基本的な姿勢として、子どもを叱るよりは、ありたい姿の実現に手を貸す声がけが望ましいと思います。ぜひ一度立ち止まって、日常的に口癖になっている言葉を振り返ってみてください。子どもへの当て付けのような言葉を発してないか、親とはいえ子どもを傷つけるような言葉を言ってないか再度確認してみてくださいね」
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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