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LIFESTYLE インタビュー

2023.03.18

料理家SHIORIさん流・仕事と子育ての両立法/完璧じゃなくて当たり前。できないことを手放し「自分らしい」生き方を

 

料理本『作ってあげたい 彼ごはん』シリーズが累計417万部の大ヒット。料理ビギナーや若い女性から絶大な人気を集めてきた料理家SHIORIさんの最新著書は、「仕事術」がテーマ。本でも語られている、仕事との向き合い方について、子育てとの両立について。Domani読者に向けてパワフルかつ温かいメッセージをお届けします!

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料理は好きでも、片付け・掃除は大の苦手(笑)。自分と家族がハッピーなら、それでいい

仕事と育児の間で迷ったら、「自分がイキイキできる」方法を選ぶ

22歳で出版したレシピ本『作ってあげたい 彼ごはん』は、シリーズ累計で417万部のメガヒット。結婚・出産を経て、現在は約1万人の生徒数をもつオンライン料理教室『L’atelier de SHIORI Online』を主宰するSHIORIさん。料理だけでない、ライフスタイルやSDGsへの意識なども含めて発信し、幅広い女性から支持を得ています。

まずは、迷いの大きかった20代後半のころの話から――。

「人からは順調に見えたかもしれませんが、私自身は結婚・出産を考えたとき、不安でいっぱいでした。『作ってあげたい 彼ごはん』シリーズは、独身で若い女性から支持されてヒットしました。でも、自分が結婚して主婦になったら、母親になったら、“若い女性向き”という自分の武器がなくなってしまうんじゃないか。『彼ごはん』のイメージから脱却しなければ生き残れない。20代後半の私は、不安と焦りでいっぱいでした。

その上、3年前に生まれた息子は先天性の難聴で、病院通いと療育を考えると、これまでのペースで仕事をすることは難しい…。考えた結果、今のようなオンラインレッスンを中心とした活動にたどり着きました。振り返ってみれば、その過程は“どんな選択が、自分らしくいられるか”を考える時間でもありました。私らしく、元気に明るく。いちばん大事なのは息子の療育だけれど、仕事のやりがいもあってこそ、自分がイキイキしていれらる。だから、“どっちも”取ることにしました」

キッチン前に立つSHIORIさん

仕事も家事も「やらない」ことを洗い出して手放そう

仕事も育児も「どっちも」取ると決めたSHIORIさんですが、それまでと同じペースで仕事を続けることが難しいのは、明らかでした。そこで実践したのが、「やらないことを決める」。これが、思いのほか好循環を生んだといいます。

「仕事でいえば、時間的拘束が長い出版などの仕事、稼働の負担が多いキッチンスタジオは手放し、YouTube配信やその後の自宅からのオンラインレッスンにシフト。毎日の仕事のなかでも、<やる><やらない><人に託す>を細かく洗い出して、<やること>以外は手放していきました。

プライベートでも同じです。掃除をプロに任せる機会をつくる、買い物をネットスーパーにする…と、苦手なことや時間を取られていることは、手放すことを検討しましょう。初期投資はかかるけれど、思い切って洗い物は食洗機を使う、お掃除ロボットに替える、といったことも一案です。投資したぶんだけ、時間が生まれて、仕事のアイディアを生むことに使えるなら、ムダにはならないと思います。

まだできていないこと、やらなきゃいけないこと…。そんなことに頭の中を占領されるより、新しいことを生み出すほうが、ずっと前向きですよね。手放すのは勇気がいるけれど、好循環を生み出して、よい方向に向かうきっかけになるんです」

笑顔のSHIORIさん

完璧じゃなくて当たり前。
料理ができない日も、罪悪感はもたないで

好循環を生み出すまでには、うまくいかないことも、回り道もあったりするもの。そんなときのための、SHIORIさんのアドバイスは――。

「“完璧を目指さない”ということです。私自身は、仕事以外の場面では自他共に認めるポンコツです。家事はどれも苦手だし、草花は枯らしてしまうし(笑)。でも、完璧な人なんてそういなくて、できないことがあるからこそ人と助け合って社会が成り立つ。だから、人を助けるのと同じくらい、助けてもらいたいと声を上げることも大事。そこから、助ける側の新しい役割、新しい仕事も生まれるのですから」

完璧を求めないのは料理においても同じこと。下手でも苦手でも、「無理しない」「罪悪感をもたない」、そして「他人と比べない」ことをすすめます。

「料理が苦手でも、自分や家族がハッピーならば、それでいい。私なら料理は好きでも掃除・選択は苦手で、部屋は散らかっているけど、まあいいか!って(笑)。SNS で見るキラキラ理想的な生活の他人と比べるから、苦しくなってしまうだけで、自分がOKならそれで花丸です。

忙しくて時間がないなら、お惣菜を買っても冷凍食品を使っても、全然いいと思います。手作りできないことに罪悪感をもったり、毎日手の込んだものを作る必要もありません。必要なときには最低限の料理ができて、作れない日には手抜きをして、どちらも自分が「それを選んだ」と言えれば、いいんです。自分の選択を肯定して、認めて、そうすれば自分への自信につながります。私が料理教室をとおして伝えたいのも、選択肢を広げるということ。だから手の込んだものばかりでなく、簡単に作れるもの、時短で作る方法なども、紹介しているんです。

それでも、料理そのものが苦手でつらいという人がいたら、旬を取り入れることを試してみてください。春なら菜の花やホタルイカなど、旬の食材にはおいしさも栄養価もぎっしりつまっています。難しい方法はいりません。そのまま茹でたり、焼いたりして、シンプルに塩味だけでいただく。これこそ究極の簡単料理であり時短料理。おいしさをダイレクトに感じられるし、舌もリセットされますよ」

いつも笑いであふれているSHIORIさんのオンラインレッスンは、自身の「楽しく」「自分らしく」を体現している場所。ちょっとくらい失敗しても、それさえも生徒たちと一緒に楽しみます。SHIORIさんが教えているのは、料理だけでなく、ハッピーな生き方そのものといえそうです。

『料理で幸せを届け続けてたどり着いた おいしい仕事術』(小学館)

コロナ禍、子育てなどを経て、生き方・働き方を変えるタイミングで、SHIORIさんが迷いながらも実践してきた、「幸せに働く」ためのルールをわかりやすく書いたお仕事エッセイ。SHIORIさんならではのコミュニケーション術や仕事の作り方はもちろん、オンライン料理教室『L’atelier de SHIORI Online』の活動をとおして得た、コンテンツ作り、SNS術など、実践的なノウハウもたっぷり。

SHIORI(料理家、L’atelier de SHIORI主宰)

1984年生まれ、埼玉県出身。22歳でレシピ本『作ってあげたい 彼ごはん』を出版。以後同シリーズがベストセラーとなり、現在までの著書累計は417万部を超える。フランス・イタリア・タイ・ベトナム・台湾・香港・ポルトガル・スペインでの料理修行経験があり、世界各国の家庭料理を得意とする。結婚・出産を経て、現在は約1万人の生徒数を誇るオンライン料理教室『L’atelier de SHIORI Online』を主宰。 YouTubeでのレシピ発信、InstagramやNoteなどでの料理だけではないライフスタイルの発信を積極的に行い、同世代の女性を中心に高い支持を得る。
Instagram:@shiorikaregohan
Twitter:@shiorikaregohan
YouTube:SHIORI KAREGOHAN(@shiorikaregohan5667)
Note:shiorikaregohan

撮影/廣江雅美  取材・文/南 ゆかり

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