LIFESTYLE シングルマザー・再婚

2023.07.11

【39歳、子連れ再婚の365日vol.14】車の中から出てきたスタバのレシート。なぜそんな時間に？

車の中で見つけたレシートに心がざわつくあん。そんな中、義母に紹介してもらった家庭教師がやってくるも…。

Tags：

【登場人物】
あん（私）…メーカー勤務のシングルマザー。8年前に離婚し、実家に出戻り。39歳。
蓮…生意気盛りの小学生。11歳。
臣斗くん…あんの会社の後輩・海斗くんの大学の同級生で再婚相手。34歳
結衣…蓮の彼女。4年生からS塾に通い中受予定。
お母様…臣斗の母。英語教師で蓮の中学受験を強力プッシュ。

【前回までの話】
あんは、シングルマザーとして8年の歳月を経て、臣斗と子連れ再婚を果たした。事実婚であり、婚姻届も結婚指輪も新居もない「ないない尽くし」の状態で、新たな家族のスタートを切った。挨拶の席で、義母から蓮の中学受験を強引に推されたが、金銭的な理由や蓮の性格を考慮して、あんはそれを拒否した。しかし、息子の「結衣ちゃん（彼女）と同じ中学校へ行きたいから塾に行く」という一言がきっかけで、蓮は中学受験に挑戦することに。幸い、夫となった臣斗が塾代を支払い、勉強のフォローをすることで通塾に至れた。一方、蓮の受験を契機として、あんと臣斗は一緒に住むことを考えるが、賃貸と購入について意見が衝突した。そんな中、母親が緊急手術を要する連絡が入る。手術で癌を全て取り除いた母から3人で息抜きにと、旅行へ出かけることを提案された。ところが、旅行中に臣斗とあんは大喧嘩をして、ステップファミリーの難しさを痛感することに。旅行後、落ち着いた日々を過ごす中、あんは臣斗と3ヶ月SEXをしていないことに気づく。セックスレスなのでは？と悶々とする日々な中、臣斗のスマホに女性からきたLINEを見てしまう。その女性についてなかなか追求できないまま毎日が過ぎていく。

前回の話▶︎突然うずくまった夫。まさかの緊急手術!?【39歳、子連れ再婚の365日vol.13】

Season1『シングルマザーの恋愛』はコチラから

【目次】

想像の遥か上をいった家庭教師に息子は無の境地に！

想像の遥か上をいった家庭教師に息子は無の境地に！

こんにちは、小学6年生の息子と共に子連れ再婚をしたあおいあんです。前回は、夫・臣斗くんが急性胆嚢炎になり、緊急手術からの入院になったところまでお話ししました。

退院時の洋服を忘れた私は、再び臣斗くんの家に。ついでに車の中に取り残された飲み物を捨てるため臣斗くんの車へ行くと、カップの下から白い紙切れを発見。開いてみると臣斗くんの家の近所にあるスタバのものだった。でもなぜか、22時にコーヒーとキャラメルフラペチーノのふたつをオーダーしていた。臣斗くんは甘いものが苦手で、スタバに行ってもコーヒーしか飲まない。なのに甘いドリンクをなぜ夜に買っているの？しかも家の近くで？？頭の中に浮かんだ疑問は、時間が経つにつれ疑惑になり、不安がどんどん膨らんでいった。家に着くと、お母様から電話が。

お母様

臣斗の様子はどう？　意外と大丈夫そうでしょ？

私

はい。昨日は顔が真っ青だったんですが、さっき病院へ行ったら顔色も良くなってました。先生が3日後退院予定だって言ってました

お母様

なら大丈夫よ。それより蓮くんの家庭教師なんだけどね、知り合いの先生にお願いしたから、明後日の夕方どうかしら？

息子の入院より、蓮の受験勉強が心配なお母様に、正直唖然としたが、断ることはできず…

私

はい。その日は塾もないので大丈夫です

お母様

よかったわ。じゃあ先生にもお伝えしておくわね

お母様に流されるまま家庭教師を受け入れてしまった。お母様も相性があるって言ってたから、一度会って「合わなかった」と伝えればいいかと、この時は軽く考えていた。毎日臣斗くんのお見舞いには行ったが、スタバのレシートの話はしなかった。家庭教師の話をして、断ってもいいし、本当に相性が良ければ続けてもいいと話し合った。

その家庭教師が来る日、蓮は意外にも楽しみにしていた。

蓮

どんな先生だろう。若くて綺麗な女の先生だったら緊張しちゃうな

なんとも緩んだ発言に私は白目になりそうだった。約束の時間ピッタリにチャイムが鳴り、蓮と一緒に玄関でドアを開けてみると、2人とも一瞬息をのんでしまった。そこに立っていたのは、玄関のドアから入れますか？と聞きたくなるくらい大きな体で、額の汗をひっきりなしに拭いている、推定55歳と見られるおじさんが立っていたのだ。想像と現実のギャップにふたりでショックを受けていたが、我に返り

私

初めまして。どうぞよろしくお願い致します

と言うと、蓮を肘で突いた。

蓮

蓮です。よろしくお願いします

変な期待をしていた蓮は、すっかりやる気を失っていた。苦手な算数を見てもらう約束だったので、塾のテキストを見せると先生は流暢にと言うよりは、早口で解法やコツを話し始めた。

家庭教師の男性が説明をしている様子

先生はノートにそれを次々と書き進めるが、蓮の手は全く動いてなかった。もはやお経を聞いているかのように、蓮は無の状態をキープしていた。さすがにと思った私は、お茶を入れ替えるタイミングで

私

蓮、先生に教えていただいたことちゃんと書いておくのよ

と一旦、先生の話に割って入った。先生は「ありがとうございます」と飲み物を一気に飲み干すと、次々に問題の解説に取り組んだ。これはもう止まらないなと傍観するしかなかった。怒涛の90分が終わり、先生が帰った後、蓮はその場に崩れ落ちた。

私

お疲れ様。あの先生は頭の回転が早すぎて、蓮にはついていかれないね。お母様には申し訳ないけど断ろう

蓮もさすがにギブアップのようで、コクンと頷くとそのままソファーに突っ伏してしまった。私はお母様に早速電話をした。

私

お母様、今家庭教師の方帰られました。ありがとうございました

お母様

優秀な先生だったでしょ。どうだった蓮くん

私

先生がとても優秀で、頭の回転も早く、解法やコツなども詳しく教えてくださるのですが、それについていけるほどの理解力が蓮にはありませんでした。残念なんですが…

先生の頭の良さを披露するワンマンショーだったなんて口が滑っても言えないので、蓮がついていかれない旨を伝えやんわりと断ろうとした。

お母様

そう！そこなのよあんさん。私ね蓮くんに足りないのは理解力のスピードだと思うの。だからあの先生を選んだのよ。あの先生に食らいついていけば、合格間違いないわ

私

お母様が蓮の弱点を理解して、解決法を見つけてくださるのは本当に感謝しています。でも私は家庭教師代払えないし、蓮があの速さについていけるようになるとは思えないんです

もう一度食らいついた。

お母様

私から先生にお声がけしたので、家庭教師代は安くなるから安心して。蓮くんも回を重ねれば、先生の速さについていけるから大丈夫

もうこれ以上は無理だ。私からでなく、今度臣斗くんから言ってもらおう。私は「分かりました」と伝え電話を切った。臣斗くんのスマホに届いた謎の女・まみからのLINE、疑惑のスタバのレシート、それにセックスレス。夫婦の間で解決しなくてはならないことが山積みなのに、家庭教師如きでお母様と戦うことになってしまうなんて。蓮の受験勉強のためにも、まずは私たち夫婦が整っていないと。とはいえ何から話を切り出したらいいんだろう…。

次回に続く