Q.妊娠中の浮気が判明したときから心が離れ、ついに離婚を決意しました。離婚を成立させるためにはここからどういう流れになるのでしょうか?(滋賀県・病院事務・37歳・3歳男子のママ)
【離婚の基礎知識編】
A.「離婚したいと配偶者に伝え、何の問題もなく相手が応じてくれるならば円満に「協議離婚」となりますが、残念ながらそうスムーズに行かないのが世間の実情。―現在、離婚問題の10件に1件は調停か裁判での離婚となっています。
離婚には4種類あり、
1:親権や財産分与、養育費などもすべて両者の話し合いで決める「協議離婚」
2:家庭裁判所での調停(調停委員を間に交え協議する)による「調停離婚」
3:「調停離婚」が不成立の際に家庭裁判所の審判によって行なう「審判離婚」
4:「調停離婚」が不成立だった際に裁判手続きを経て行なう「裁判離婚」
ですが、3の「審判離婚」になるのはレアケースです。
1の話し合いで詳細が決められる「協議離婚」はいわゆる「円満離婚」で、離婚の中でも穏便なケース。世の中の慰謝料などの相場も関係なく両者で決められるのが特徴です。
2の「調停離婚」は、協議離婚が成立しなかったときに家庭裁判所に「申し立て」をします。そうすると、約1ヶ月から1カ月半後に期日を設定され「●月●日に家庭裁判所に来てください」と相手方に対する呼び出しが行われます。
調停当日には、家庭裁判所の選んだ「調停委員」が2人立会い、夫と妻に対して離婚原因や親権はどうしたいかなどの意見を交互に尋ねます(夫婦同席ではなく、一方の話を聞いている間は他方は別室で待たされるのが通常です)。調停は調停委員という第三者に間に入ってもらう事で冷静に話し合うことができる、というのがメリット。また離婚に関して、ある程度のアドバイスをもらうこともできます。ただし、調停委員はあくまで夫婦の話合いの「交通整理」を行うだけで、裁判官のようにどちらの言い分が正しいなどの判断を行ってくれるわけではありません。
離婚の原因や慰謝料などについて話し合いがつかなければ、次は裁判です。法律では「調停前置主義」と言って、まずは調停で話し合い、そこで諸条件がまとまれば「調停離婚」が成立し、調停不成立ならば裁判へ、というステップを踏むことになります。いきなり離婚裁判を申し立てる事は基本的には出来ません。
調停は当事者による話合いですので弁護士を立てなくても行うことは一応可能ではありますが、離婚裁判の場合には,請求が認められるために必要な要件事実が記載された「訴状」を提出する必要があり、ここで一般的には弁護士を立てることになります。その裁判離婚をするにあたっては、以下のうちどれかに離婚理由が当てはまっていることが条件です。
・浮気・不倫(不貞行為)
・悪意の遺棄(例えば夫が健康なのに働かない、生活費を払わない、など)
・3年以上の生死不明
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
・その他「婚姻を継続し難い重大な事由」
上の4つに当てはまらない離婚理由については1番最後の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する事を主張立証してゆくことになります。
●本連載では離婚に関する慰謝料や養育費など、法律的な悩みや疑問にプロの弁護士が直接回答します!ご相談ごとがあるかたは、domani2@shogakukan.co.jpまでメールでお寄せください。 件名に「離婚相談」と書いてなるべく具体的な内容をお送りください。すべてのご相談にお答えできるとは限りません。あらかじめご了承ください。
お悩みに回答してくれたのは・・・
中川裕一郎先生
弁護士。東京中川法律事務所経営。https://tokyo-nakagawa.com
商社勤務時代にバックパッカー旅行に飛び出し、世界中を回ってみつけた、弁護士となって社会的正義を守るという生涯の目標のため、紛争を未然に防止し、目の前の依頼者を笑顔にするために日々奮闘中。依頼者の親身になってアドバイスをくれる人情弁護士として、依頼者たちからの信頼も篤い。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。Web Domaniの人気連載「バツイチわらしべ長者」で様々なバツイチたちの人生を紹介している。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」では、アラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。