モルモットのかわいさが炸裂!新感覚のストップモーションアニメ
テレビ東京系「きんだーてれび」で毎週火曜、朝7時30分から放送中の『PUI PUI モルカー』をご存知ですか?物語の主役はモルモットのクルマたち。クルマなんだけど、生き物のモルモットとして表現されているので、その表情はとっても豊か。モフモフしながら感情をむき出しにしてくる、さりげない仕草のすべてがまさにリアルすぎるモルモットなのです。と、文章で説明するの、超ムズイ。ちょっと何を言っているかわからないという人は、とりあえずこちらのPVをご覧ください。
2021年1月から3月にかけて全12話を放送予定なので、まだまだキャッチアップしていくのに余裕で間に合いますよ。今回は「モルカーのこと、もっと知りたい!」という人のために、キャラクターマニアの筆者が、『PUI PUI モルカー』のおもしろさの秘密を徹底分析してみたいと思います。
■セリフはないけど、名前はあるモルカーたち
パトカーや救急車など、実際に街中で働いている多彩なクルマにも、くりっくりな目と大きな丸いお尻、トコトコ走る短い手足があります。一般車として街を走る、物語の主要モルカーにはしっかり名前もあるんですよ。
のんびり屋だけど、助けを求める者がいたら、どんな状況であっても行動を起こす勇敢さを持ち合わせる「ポテト」、心優しい運転手に甘えたりもするが、いろいろなトラブルに巻き込まれがちで、モルカーのなかでも特に臆病な「シロモ」、初心者マークを付けているが、いつか卒業できる日を夢見ている真面目で好奇心旺盛な「アビー」、いつかNo1の高級モルカーになることが夢の「チョコ」、とんでもない行動をするトラブルメーカーで、周りからは恐れられている「テディ」。
…ほらね、こういうモルモット、本当にいそうでしょ。
■仕草も鳴き声も、妙にリアルでかわいいパペットキャラ
ストーリーのなかには“モルモットあるある”もふんだんに盛り込まれています。やるべきことを忘れて、うっかり目の前のニンジンを追いかけてしまう、ちょっとドジっぽいところとか、キュンキュンした小鳥のようなかわいい鳴き声だけで周囲とコミュニケーションがとれちゃうところとか、モルモットの生活感がそのまま等身大で表現されているのも見どころ。声優を担当しているのは、本物のモルモットというくらいですからね。凄まじいこだわりを感じるポイント。
CGアニメと違い、羊毛フェルトでできたモルモットのキャラクターたちが綿密に計算された動きでコマ撮りされるストップモーションアニメならではの存在感が、モルモット好きにも、ぬいぐるみ好きにも、どっちにも興味がない人にも、たまらない胸キュンを届けてくれるのであります。
かわいいモルカーと愚かな人間が織りなすコントラスト
『PUI PUI モルカー』の世界では、モルモットがクルマであるという設定なので、人間がモルカーに乗っているシーンもたびたび登場します。が、かわいいモルカーたちと対比するように、人間の醜さがまた、妙にシュールなんですよ…。
爆音で音楽を聴いていて、青信号に気づかず大渋滞を誘発する人間、銀行強盗したあげくモルカーを乗っ取る人間、真夏にネコを車内に置き去りにして熱中症の危機にさらしてしまう人間、モルカーの車内からゴミをポイ捨てする人間…。
自分のことしか考えられない滑稽で愚かな人間の姿に、現実社会が抱える問題が垣間見えたりもします。一方で、命の危機にさらされた患者を乗せた救急車に直面し、涙を流してしまったりする純粋なモルカーを見ていると、「人間なんか滅んでしまえ~!」と憤りを感じたり、「もしも世界がモルカーだけだったらどんなに平和なんだろう」と想像してしまったりも。ホント、人間、しっかりしろよ‥。
■ピクシレーションが見事にとりいれられたモルカー車内の様子
そんなモルカーと人間との光と闇にも似たコントラストが、どうしてこんなにも胸に迫ってくるかというと、モルカーの車内の様子が描かれているシーンに秘密があります。なんとパペットのみならず、人間のことまでわざわざ1コマずつ動かして撮影するピクシレーションという手法がとりいれられているから。
モルモットが車になった不思議な世界のなかに、リアルな人間が、ちゃんと等身大の姿で存在しているので、自然にどんどん引き込まれて行ってしまうんですよね。
セリフがないから想像が広がる♡モルカーの世界はまだはじまったばかり…
かわいいとなんでも許せちゃう!ペットたちとは、話が通じない分、表情を読み取りながら、想像を膨らませてコミュニケーションをとっていくじゃないですか。モルカーの世界観はまさにあの感じ。常にとぼけた顔で走り回るモルカーの世界は癒しがいっぱい。
やたらトラブルに巻き込まれるから、少しハラハラもさせられるんだけど、最後はいつも癒されるんです。かわいいって最強。
■見里 朝希氏がTVアニメシリーズ初監督
ちなみに、この『PUI PUI モルカー』を作られた、見里 朝希(みさと ともき)監督って、東京藝術大学大学院の修了制作作品としてパペットアニメ『マイリトルゴート』を作ったスゴイ人でもあります。国内外で数多くの賞を受賞しました。内容は、オオカミに食べられてしまった子ヤギ達を胃袋から助け出すお母さんヤギの話なんですが、けっこう恐ろしくて、そして裏に隠れた意味をまた考えさせられる…。
友情あり、冒険あり、アクションあり、癒しありの『PUI PUI モルカー』にハマってこっちを見ると、そのギャップにびっくりするかもしれません。そのふり幅の広さが逆にいいのかもしれませんが。
子どもはもちろん、大人も目が離せなくなる火曜朝の3分間。『PUI PUI モルカー』のかわいさに、おもいっきり悶絶していきましょう。
©見里朝希JGH・シンエイ動画/モルカーズ
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朝岡真梨
世界50か国200都市を超える海外旅行の経験をもとに、各地のグルメや観光スポットの魅力を紹介している。最新のIT機器に関する取材も多く、女性目線からの分析が得意。キャラクターや英語にも明るく、コピーライティングの分野では多業種に関わっている。 旅行先ですったもんだした体験や主婦業をラクして乗り切るヒントを綴っている「遊んでばかりのスナフキン」が人気。 Instagram:@yans_publisher Twitter:@Yans_Publisher
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