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LIFESTYLE インタビュー

2021.05.07

「ダンボールや紙袋を捨てられない」「落ちているヒゲをコレクションする」【私たちの猫飼いあるある】|猫沢エミ×ぐっぴー飼い主・さきとも対談

猫沢エミさんの本『ねこしき』は、猫沢さん自身の今までの生き方とともに彼女の生活の一部となってきた「#猫沢飯」のレシピが一体となった1冊。猫沢さんと同じく、保護猫「ぐっぴー」の飼い主であるさきともが、「猫」をキーワードに話をうかがいました。

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幸せも、喜びも、哀しみも。「癒し」という言葉には収まりきれない猫たちとのかけがえのない毎日

今、特に猫を飼っている人の間で話題になっているのが、猫沢エミさんが上梓したエッセイ本『ねこしき』。「哀しくてもおなかは空くし、明日はちゃんとやってくる。」という副題に、猫沢さんなりの生き方が込められています。

実は猫沢さん、東京下町に保護猫だったピガくんとユピくんという2匹の猫とともに暮らしていて、『ねこしき』にも2匹+1匹(執筆当時存命だったイオちゃん)のいい写真がたくさん納められています。保護猫…とくれば、そう、『Domani』の専属モデル猫だったぐっぴー。「猫」つながりで、ぐっぴーの飼い主のさきともが猫沢さんにインタビュー。リモートで取材しました。

▲3匹+3人がご対面。ユピくんのカメラ目線はいただけませんでした。残念…!

日々のちょっとへこんだ気持ちと幸せを紡いだエッセイには、心に響く言葉がそこかしこに

さきとも:『ねこしき』読ませていただきました! 実は活字を読むのがあまり得意でないのですが、2時間で1度読み終わり、3回読み直しました。特に31ページの「元来、生真面目で完璧主義なところがある私は、できない自分を必要以上に追い詰めてしまう。そんなとき、きゅっと心が縮こまり、視野がぐんと狭くなるのがわかる」という部分にとっても共感しました。年齢的に、周りの環境が変わったり仕事が忙しくなってきて、焦りがものすごくあったんです。そんな中で読んで、ひとことひとことが自分の中に入ってくるようでした。

猫沢さん(以下敬称略):うれしいです。もともと独り言のようなものをインスタに書いているところを編集者の方が見つけて声をかけていただいたのが、この本の始まりなんです。立場や職業や年齢は違っても、例えばはたから見たら幸せそうで成功しているような人でも、意外へこむことは大差がない気がしていて。誰しもが持っている、日々生まれてくる「どうしてこうなっちゃうんだろう」という情けなさを言葉にしたんです。そういう感覚と、日々の生活に欠かせない料理をセットにして届けたいという気持ちがあって。

さきとも:これに載っている「地獄のチェリーパイ」が食べたい…。

猫沢:あれはね、中身のベースが本当にジャムだけなんで、簡単ですよ。ひと瓶買ってガッと入れるのがおすすめ。

▲焼くとき、フィリングが噴火する様子から「地獄のチェリーパイ」と名付けたそう。(写真:鈴木陽介 「ねこしき」より)

さきとも:「苺のタルティーヌ」は作りました。とってもおいしかったです。この本、開きやすくて料理を作るときにも便利でした。

猫沢:コデックスという、ハードカバーの背がない作りなんです。料理を作りながら粉のついた手で押さえたりするじゃないですか。これはページが平らに開くから押さえる必要がないし、片手でめくれるんです。日本だとあまり見かけない作りかもしれないですね。

▲ページが平らに開く「コデックス」。本のノドから全開になるので、レシピを見ながら料理を作るときもノンストレス!

猫飼いなら共感することばかり!? 猫がいる生活ってこんなことが起こる!

さきとも:猫沢さんと私たちの共通点は猫を飼っていることなので、「猫と暮らしていたらこんなことあるよね」を一緒に考えてみました。まず今回は【猫飼いの生活あるある】です。

【猫飼いの生活あるある 1】
衣類に猫毛がついていてナンボだと思っている


猫沢:
その日会う人にもよるんですけど、みんな猫飼いなら毛がついていても全然OKなんですけど、現場によってはそんなの通用しないこともあるじゃないですか。だから玄関で全身コロコロして出かけたりね。

さきとも:服に毛がついていると「今日はぐっぴーも一緒に来たんだな」という気持ちになりますけど、コロコロは必須アイテムですよね。さっきから顔にもぐっぴーの毛がついて取れないんですけど…。

猫沢:顔にもつきますよね。しかも見えない。私、毛を食べてると思うんですよね。20年くらい猫を飼い続けているから1匹分くらい食べていると思う(笑)。

さきとも:めっちゃ毛が漂いますもんね。ちなみにピガくんは黒猫ですが、毛1本1本も黒いんですか?

猫沢さん:黒猫って、抜けた毛を集めると灰色なんですよ。光の加減で黒に見えるのかもしれない。こんな色です。

▲ピガくんの毛玉。これだけ見ると、主が黒猫とは思えないほどのグレー。

さきとも:ぐっぴーみたいな茶白だと白服では目立たないんですけど、この色だと黒服でも黒い毛がついているのがわかっちゃいますね。

猫沢:そうなんですよ。私が今日着ている杢グレーみたいなのだとあまりわからないですけどね。でも猫を飼っているからこの色の服を選ばない、というのはあまりなくて、コロコロをしちゃえばいいかなと思うのと、毛がついていてなにが悪いの?、みたいな(笑)。

【猫飼いの生活あるある 2】
基本、出不精が多い


猫沢:
長い旅行などのときは面倒を見てくれる人にお願いしなきゃいけなくて、それを考えるとおっくうになって結局家にいることが多いんですよね。たまに外出しても、目的地に行く途中ですでに猫が恋しくなったり。

さきとも:私たちはルームシェアをしているので、その点はお互いに助かっていることが多いですね。でもやっぱり、長く家を空けることはあまりしないですね。

猫沢:ふたりがベストですよ。ひとり暮らしで寂しいから猫や犬を飼うのもいいと思うんですけど、留守にするときや病気になったときに絶対誰かの助けがあるほうがいいと思います。それでぐっぴーちゃんと幸せを共有できるって最高ですよね。

さきとも:猫沢さんはひとり暮らしとお聞きしましたが、出かけるときは信頼できる方にお願いしているんですか?

猫沢:インスタにもたびたび登場する「元彼」(もはや名前)が近所に住んでいるので、泊まりでケアをしに来てくれます。元彼が都合の悪い時は友達の家に連れて行くのですが、トイレとか爪研ぎとかを用意して移動となると引っ越し級になっちゃうので、サッと来てご飯をあげて遊んでくれる友達が近くにいるといいなぁと思います。

【猫飼いの生活あるある 3】
部屋でアロマオイルを焚かない

さきとも:猫にアロマがよくないということを知らない人が結構いますよね。


猫沢:
私は東京猫医療センターの服部先生が書かれた『猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑』を参考にしていますが、そこまで過敏になることはないのかなとも思います。インスタで紹介した「LO Studio Japan」という、イギリスで動物を飼っているろうそく職人さんが作っているものなど、大丈夫なものもありそうなんですよね。ただ、強すぎる香りのものや締め切った部屋での使用はしていないです。あと、わざわざ猫がいる部屋で焚くとかはないですね。

▲亡くなった愛猫・イオちゃんの月命日に焚いたLO Studio Japanの「bergamot clouds」。

さきとも:香水はつけますか?

猫沢:つけます。けど、家の中でつけるわけじゃなくて外出前にシュッとするくらいです。

【猫飼いの生活あるある 4】
常にカリカリと猫砂の残量に気をつかっている

猫沢:カリカリも猫砂もAmazonで購入しているのですが、新型コロナ感染拡大の影響で宅配が乱れたり在庫がなくなった時期があって焦りまして、最近は早く買っておくようにしました。

さきとも:使っているものによって、近所のお店で手に入らないものもありますし、うちもかなり気にしています。

猫沢:箱買いしていますか?

さきとも:安心の箱買いです。猫のための収納棚が必須になりますよね。

▲猫沢さんは「ひのきの猫砂」を愛用。猫が舐めても安心なコーンスターチが砂を固め、トイレに流せるそう。カリカリは「ロイヤルカナン」とのこと。

【猫飼いの生活あるある 5】
とにかく全てが猫優先

さきとも:寝るときによくあることなんですけど、ベッドのど真ん中で寝るので人間が端で寝ることになって翌朝体が痛いとか。

猫沢:ありますね。寝るときだけじゃなく、生活全般が猫リスペクトになるんですよね。ピガがテーブルの上でバーンと横になっていたりすると、その体のラインにそって小鉢を置くとか。

さきとも:その食事風景だと、猫1匹分の毛を食べていると思います(笑)。人間のご飯は食べようとしないですか?

猫沢:しないですね。ちょっとニオイを嗅いで逆に砂をかけようとするんです。あと、ユピがいつも一緒にお風呂に入ってきて湯船のふたの上に乗るんですけど、たまにピガも来るんですね。そうすると2匹にお湯を飛ばさないようにお風呂場の端っこの方でシャワーを浴びることになったり。なんか、猫の部屋で申し訳なさそうにお風呂に入っているみたいな。

さきとも:ふふふ、猫は濡れるの嫌いですもんね。うちもL字型ソファで広い方でぐっぴーが寝ていて、人間ふたりが狭いところにいるとかしょっちゅうです。

猫沢:猫が空間を仕切りますよね(笑)。

【猫飼いの生活あるある 6】
落ちているヒゲをコレクションする

猫沢:集めて、人の顔のオブジェの頭に刺して髪の毛みたいにしています。

▲ピガ、ユピ、イオの3匹のヒゲがミックス。なかなかシュール!(写真:鈴木陽介 「ねこしき」より)

さきとも:ホントだ! アートですね。黒いのはピガくんのですか?

猫沢:そうです、黒のヒゲがピガ、白はイオちゃんとユピのですね。イオちゃんのは細くて短く、ユピのはがっしりして長いんです。

さきとも:うちは猫の人形のヒゲの部分に刺しています。

▲ぐっぴーのヒゲを刺した人形は、さきとも家の「守り神」!?

猫沢:わー、すごい。これもいいですね! 猫のヒゲはシャキッとしていて、見つけると「お、今日もパリッとしたいいやつがとれたな」って思いますよね。

さきとも:はい、なんだか尊い感じがします(笑)。

【猫飼いの生活あるある 7】
ダンボールや紙袋を捨てられない

さきとも:ぐっぴーは新しく買ってきたものをわれ先に使います。新しい服を買ってきたらその上で寝ていたり。あと紙袋とかバッグに入るのが好きで、ショッパーとかなかなか捨てられない…。

▲袋類が大好きなぐっぴー。これはお客さんのバッグ。猫を飼っているお客さんが来ると、丹念にニオイチェックをするそう。

猫沢:あれは自分のニオイをつけるためにやっているんですかね。うちの子たちは袋類には入りませんが、ユピはヨドバシのダンボールが好きで、よく「ヨドバシ城主」になっています。ご乱心して穴を開けたりすることもありますが(笑)。

▲ヨドバシカメラのダンボールが大好きなユピくん。ボロボロになって新しい城(ダンボール)を用意してもヨドバシ城に居座るそう。

猫を飼っている人ならきっと思い当たることのある「あるある」、いかがでしたでしょうか? とはいえ猫も個性的で、いろんな性格のコがいるから同じ「あるある」でもちょっとずつ違ったり。『ねこしき』はシンプルだけど温度を感じる言葉がなんだかリズムを刻みながら心に入ってくるようで、それはミュージシャンで文筆家という猫沢さんだからこそ創ることのできたものなのではないかと思います。この不思議な読後感、ぜひ味わっていただきたいです。

取材/さきとも 構成/斉藤裕子

5/9(日)19:30~
丸善・ジュンク堂書店にて、オンラインイベント開催

書籍刊行を記念して、オンラインイベントを実施いたします。掲載レシピの中から「ねこしきベシャメルソース」作成を実演しつつ、保護猫イオちゃんとの出会いやその愛、自分の人生の輝かせ方などを語ります。

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『ねこしき 哀しくてもおなかは空くし、明日はちゃんとやってくる』
猫沢エミ/著 (TAC出版/¥1,650)

SNSでフォロワー急増人気沸騰中、業界にもファンが多い猫沢エミによる「#猫沢飯」が一冊の本になりました。同居する3猫との出会いや彼らとの暮らし、立て続けに看取った両親や家族との関係、仕事のこと恋愛のこと…etc. ドラマチックな人生の節目も平凡な日常も、どんな時だってお腹は減るし私たちは食事をする。最低どん底に凹んだときに食べたいもの、何を食べて立ち上がるのか、そして自分で自分を幸せにするためにはどうすればいいのか。ちょうど半世紀を生きて人生の後半を迎えた女性が、健やかに軽やかにより良く生きていくためにこしらえる、「生活料理人」な著者による普段の食のレシピをお伝えします。
食べることは命をいただくこと、生きること。同時に食べ物は「消えもの」、そして私たち人間だって「消えもの」。

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ミュージシャン/文筆家/映画解説者/生活料理人

猫沢エミ

1970年生まれ。2002年に渡仏。2007年より10年間、フランス文化に特化したフリーペーパー《Bonzour Japon》の編集長を務める。超実践型フランス語講座《にゃんフラ》主宰。著書に『猫と生きる。』(辰巳出版)、『東京下町時間』『フランスの更紗手帖』(ともにパイインターナショナル)など多数。
Instagram:@necozawaemi

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Domani専属モデル/インフルにゃんサー

ぐっぴー

Instagramフォロワー28.3万人を誇るインスタ猫界のスーパースター。誕生日:2012年11月2日(推定) 年齢:8歳 性別:たぶん男子(去勢済) 出身:東京都足立区 特技:人の話を聞くこと 苦手なもの:掃除機 好きなタイプ:貝殻ビキニの武田久美子 
Instagram:@gupitaro
Twitter:@Gupitaro1102
Ameba公式トップブロガー:「ぐぴログ」

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