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LIFESTYLE 飲み物

2022.01.17

今、飲みたい1本は新年の華やかな雰囲気のなか味わいたいシャンパーニュ

新年会、そしてまだ華やぎの気分の残る家飲みにも、ぴったりの注目シャンパーニュをご紹介します。生産者のワインづくりの思想とエピソードを語りながら、ぜひみなさんで楽しんでくださいね。

Text:
鳥海 美奈子
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シャンパーニュ注目生産者の物語

まだ続くコロナ禍で制限はあるけれど、友人や会社の同僚たちとの新年会の時間を、久しぶりに楽しんでいる人もいるかもしれません。

日常の食卓でも新年の華やかな雰囲気の残り香を、味わい気分ですね。そんなときにぜひ選んでほしいのが、シャルトーニュ・タイエの「キュヴェ・サンタンヌ ブリュット」です。

▲ ワイン名「サンタンヌ」はシャルトーニュ・タイエが位置するメルフィという街の守護聖アンヌにちなんだもの。

私たちがワインを飲むとき、香りや味わいはもちろんとても大切な要素です。でも、そこにストーリーが加味されれば、そのワインへの親近感はより増すことでしょう。

それは絵画や音楽も一緒で、たとえばゴッホの絵を見るとき、そこに私たちは苦悩とともに生きたひとりの画家の人生を重ね合わせます。

ぶどう畑の 土壌と根に情熱を注ぐ

シャルトーニュ・タイエの名を一躍、世界的に押し上げたのは2006年に家業を継いだアレクサンドル・シャルトーニュです。

家族経営のこのワイナリーのぶどう栽培農家としての起源は1683年にまで遡ることができます。その頃には、すでにぶどうを栽培していた記録があるからです。

醸造学校へと進学したアレクサンドルが、卒業にあたり修業先に選んだのがシャンパーニュ界の有名生産者ジャック・セロスでした。その理由を、アレクサンドルはこう語ります。

「ジャック・セロスはシャンパーニュ界に革命を起こした人物だと、僕の母は常々話していました。母にとってジャック・セロスはスター的存在だったのです。だから僕が、そこを修業先に選んだのはきわめて自然な流れでした」

▲ アレクサンドル・シャルトーニュは39歳。これからまだ進化するのが楽しみ。

大手のメゾンばかりが名を馳せていたシャンパーニュ界のなかで、小さい生産者ながらクオリティの高いシャンパーニュを造り、1990年代にセンセーションを巻き起こしたジャック・セロス。

その革命的精神から、アメリカでは「ロックスター」にもたとえられるジャック・セロスのもとで、思慮深く、情熱的なアレクサンドルの資質は鮮やかに開花しました。

彼はこう話します。「ぶどうを栽培するとき、一般的には樹や葉、果実といった視覚的にわかる部分を重視します。でも、ジャック・セロスに学んだのは、目に見えない土のなかを意識する
ことでした。土壌は、太陽光や空気よりも多くのことをぶどうの樹にもたらすのです」

自らが向きあうぶどう畑は、どのような土壌組成か。ぶどうは、その土壌のなかどのように根を張り巡らせていくのか。それを知りたいと、かのロマネ・コンティやジャック・セロスと同じく、アレクサンドルもフランスの専門家クロード・ブルギニヨンに土壌分析を依頼します。

▲ 閑静なシャンパーニュの北西部に佇むワイナリーの外観。

過去の文献もひもとく研究熱心な姿勢

彼のシャンパーニュの高級銘柄は、裏ラベルに土壌と根の様子を示したイラストが記載されています。そんなラベルはシャンパーニュのみならず、ワイン業界広しといえども、他に例がありません。アレクサンドルがいかに、土壌に対する考察を深めているかの証といっていいでしょう。

▲ 上級銘柄の裏ラベルには土壌により根がどう張るかをイラスト化。

その研究熱心な姿勢は、過去の記録にも向かいます。18世紀初めから、ぶどう栽培やその年の特徴について代々にわたり絶えず綴られてきたシャルトーニュ・タイエ家の日記をひも解くと、この地では昔は、ぶどうの木に4房までしか実をつけさせていなかった事実を知ります。

現在のシャンパーニュでは、一般的にひとつの樹から20房ほどを収穫するので、それと比べると大変に少ない収穫量です。

▲ 収穫量を抑えて栽培するピノ・ノワールのぶどう。

繊細ながらエネルギーも感じられる味わい

彼は現在、収穫量をなるべく押さえて質を上げる努力を続けています。

そんなシャルトーニュ・タイエの畑は、シャンパーニュ最北西のメルフィという地にあります。ここはじつは、18世紀には最高ランクのグランクリュ村と同等の価値を持っていたことも明らかになっています。戦争により畑は一度荒廃してしまいましたが、アレクサンドルの挑戦は、その価値を再び取り戻し、世に問う試みといってもいいでしょう。

▲ 有機栽培農法を取り入れて、昔ながらに馬を使って畑を耕作する。

そのひとつの清華である「キュヴェ・サンタンヌ ブリュット」を飲んでみます。ドライフルーツやスパイス、リンゴの蜜を思わせる香り。

ドライで繊細な味わいで、後味にはやや塩気を感じるミネラルもあり、ビオディナミというヨーロッパの有機栽培で育てたぶどうならではのエネルギーを感じ取ることができます。

▲ シャンパーニュのメルフィという村にある自らの畑の地図。

シャンパーニュの土壌の多くはチョーク質で構成されていますが、メルフィは砂質主体。その土壌ならではの軽やかな華やぎと繊細な魅力を、ぜひ存分に味わってください。

Chartogne Taillet シャルトーニュ・タイエ「キュヴェ・サンタンヌ ブリュット」¥7,260 (税込・希望小売価格)
問 フィラディス 045・222・8871
輸入元直販サイトから購入可能

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ライター

鳥海 美奈子

共著にガン終末期の夫婦の形を描いた『去り逝くひとへの最期の手紙』(集英社)。2004年からフランス・ブルゴーニュ地方やパリに滞在、ワイン記事を執筆。著書にフランス料理とワインのマリアージュを題材にした『フランス郷土料理の発想と組み立て』(誠文堂新光社)がある。雑誌『サライ』(小学館)のWEBで「日本ワイン生産者の肖像」連載中。ワインホームパーティも大好き。

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