【登場人物】
あん(私)…メーカー勤務のシングルマザー。7年前に離婚し、実家に出戻り。38歳。
息子…生意気盛りの小学生。10歳。
Hくん…学生時代からの飲み友達。あんの恋愛復活に協力し、Rさん・Sくん・Oくんの3人を紹介。
Rさん…Hくんと同じ会社に勤める42歳。結婚歴はナシ。
【前回までの話】
40歳を目前に控え、「私、このままシングルでいいの?」と、ふと我に帰った私。再度恋愛に挑もうとマッチングアプリに登録してみるも、目の前に立ちはだかる様々な現実に直面し前途多難。そんな折、学生時代からの友達HくんからBBQのお誘いが。参加した男性Rさんが気になり、再度Hくんと3人でご飯をセッティングしてもらう。後日、SくんからRさんの過去の恋愛話を聞き、それでももう一度会いたいと思いRさんにLINEを送る。「既読スルー」状態が続く中、ようやくLINEの返信があり食事へ。お互いの”譲れない家族”の存在を確認した上で付き合うことに。
こんにちは。10歳の男の子を育てるシングルマザーのあおいあんです。前回はRさんに息子の相談をし、店を出たところで家に誘われるところまでお伝えしました。
ついにRさんとひとつになれる日が…
地下鉄でRさんの最寄りの駅まで行き、そこから徒歩5分で家に着いてしまった。
Rさん「どうぞ」
Rさんが鍵を開けて部屋に入る。本当にここで生活しているの?と疑うくらい余計なものがなく、よく言えばミニマリスト、悪く言えば殺風景な部屋だった。居場所がなくぼーっと立っていると、Rさんのスマホが鳴った。
Rさん「仕事のLINEだから大丈夫。ソファー座ってね」
夜中の12時近くに仕事?と思ったけど、今はそれどころではない。緊張しすぎて喉がカラカラだ。そんな私を察してくれたのか、Rさんが飲み物を出してくれた。
Rさん「映画でも観る?」
隣に座ったRさんがいつもより近く感じて、また頷くことしかできなかった。映画の内容なんてもちろん頭に入ってこない。Rさんは私の肩に腕を回し、映画を観ているが、私の目にはRさんしか映ってなかった。無造作に置かれた手や、鍛えているであろう腹筋、これからこの身体に抱かれるかもしれないと思うと、下腹部がギュッとなった。
深夜1時を回る。いつも0時前には寝る私は、思わずあくびが出てしまった。
Rさん「もう寝ようか?」
そういうと、Rさんは寝室に消えていった。どうしていいのか分からない私は、そのままソファーで頬杖をついてウトウトしているとふわっと抱き抱えられた。この年でお姫様抱っこなんて恥ずかしくなり、照れ隠しでRさんの首に手を回し、顔と顔をくっつけた。
Rさん「着替えるよね。Tシャツでいい?」
言われるがまま、RさんのTシャツを着る。男性と同じベッドに寝るのはいつぶりなんだろう…思い出せないし、思い出したくもない。眠さと恥ずかしさで、猫の様に丸まった私をRさんが引き寄せた。指と指が絡まり、鼻と鼻がかすめ、キスをした。吸う息全てRさんの匂いがし、全身がRさんで満たされていく。久しぶりのアレは気持ちよさや幸福感より、恥ずかしさが勝り、願っていたはずなのに、どこかで早く終わってほしいと思っていた。
Rさん「あんのこと、大切にするから」
ことが終わるとRさんは私を抱きしめ、まるで自分に言い聞かせるように言った。私はシングルマザーでも女として認められたような気がして、Rさんの腕の中で静かに涙を流した。
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あおいあん
契約社員でメーカー勤務、現在38歳のシングルマザー。高学年になりちょっと生意気になった10歳の息子と実家に出戻り。40歳を前に「もう一度、女としての人生を!」と一念発起。離婚をしてから7年という恋愛ブランクを埋めるべく奮闘中。