そもそも煮物とはどんなものをいう?
「煮物」と聞くと、「難しそう」「時間がかかりそう」と思う方もいるかもしれません。しかしコツを掴めば、簡単に美味しくできる料理です。
改めて「煮物」とは、食材を出汁をベースに、醤油やみりん、酒などで味付けした料理のこと。ひと口に煮物といっても、煮る方法や味付けの仕方によって、さらに細かく分類することができます。煮物の種類をみていきましょう。
「煮込み」
たっぷりの煮汁で、食材を長時間弱火でじっくり煮込む料理が「煮込み」。時間をかけてゆっくり煮込むため、食材は大きく切られていることが多いのが特徴。野菜は甘味が増し、お肉はやわらかくなります。「煮込み」の代表的な料理を挙げると、「肉じゃが」「豚の角煮」「味噌煮込みうどん」。洋食では、「ブイヤベース」や「ポトフ」などが煮込み料理に分類されます。
「煮付け」
初めから煮汁が少なく、濃い味付けで煮るのが「煮付け」です。強火で短時間で煮るため、煮崩れしにくくなります。「煮付け」は主に、鯛やカレイなどの魚を煮る際に用いられる調理方法です。また、煮汁が少し残るぐらいまで煮あげることから、「煮あげ」ともいわれます。
「含め煮」
たっぷりの煮汁で食材を弱火で煮るのが「含め煮」です。煮汁の味は薄く、食材に煮汁の旨味を十分に染み込ませます。素材の味や色味を生かした調理方法で、「煮含め」とも。野菜や芋類のほか、高野豆腐や干し椎茸、切り干し大根など、乾物などを煮る際に多く使われるのが特徴です。
「煮しめ」
「煮しめ」は濃い煮汁で時間をかけてじっくり煮込んだものをいいます。汁気がなくなるまで煮つめるため、日持ちするのが特徴。お正月に食べるお節の中の1品としても有名です。主に根菜類、芋類、こんにゃく、乾物などが使われることが多いでしょう。
「煮浸し」
「煮浸し」は、食材を薄い味付けの煮汁で煮て、煮汁の中で冷やすことで、味を染み込ませる調理方法です。食材にかぶるくらいの煮汁を入れて中火で煮ます。あっさりとした味わいが特徴で、代表的な料理に「なすの煮浸し」や「水菜と油揚げの煮浸し」などが挙げられます。
煮物をつくる際の調味料の黄金比とは?
難しいと思いがちな煮物の味付け。しかし、調味料の黄金比さえ覚えておけば、いつでも安定して美味しい煮物をつくることができます。煮物の黄金比をチェックしていきましょう。
黄金比1【 出汁10:醤油1:みりん1 】
出汁が10に対して、醤油とみりんが1。この数字をみると薄味になってしまいそうな印象を抱くかもしれませんが、しっかりと煮込んでいくため、ちょうどよいバランスの味付けになります。またこの調味料の比率は煮物の基本的な味付け。素材の味を生かした味に仕上がり、「筑前煮」や「肉じゃが」、「大根の煮物」などさまざまな料理に使うことができます。
黄金比2【 砂糖1:醤油1:酒1:みりん1 】
砂糖、醤油、酒、みりんを同量入れるこの黄金比は、「かぼちゃの煮物」や「ブリの照り焼き」など、甘く優しい味に仕上げたいときにおすすめです。みりんを入れることで、食材の臭みを消したり、照りやツヤを出すことができます。