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「前乗り」とは
ビジネスシーンでは、出張の際に「前乗り」という言葉が使われます。今回は、前乗りの意味やどのようなシーンが前乗りにあたるかを解説。前乗りの反対の意味を持つ、「後帰り」についても把握しておきましょう。
前日に現地入りをすること
「前乗り」とは、出張や旅行の際に、予定日の前日に現地入りすることを指します。
まえ‐のり【前乗り】
[名](スル)出張などで、目的の仕事がある日の前日から現地入りすること。
出典:小学館 デジタル大辞泉
たとえば、月曜日の朝9時から会議があるケースでの前乗りは、日曜日のうちに目的地に到着することです。前乗りをすると時間に余裕が生まれ、出張時の移動の負担が軽減することに期待できます。
「後帰り」という言葉も
前乗りの対義語として挙げられるのが「後帰り」です。後帰りは、おもにイベント運営業界で使われている言葉で、イベントや会議などの催し物が終わった後すぐに帰らず、一泊してから帰ることを指す傾向にあります。
たとえば、金曜日の夕方に会議が終わった後に一泊し、土曜日に帰宅するケースが後帰りにあたるでしょう。
ビジネスで前乗りをするメリット
遠方へ出張する際に前乗りをすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。前乗りにより、時間に余裕ができることで得られると考えられるメリットを紹介します。
早朝からの仕事に間に合う
前乗りは、出張者の当日の移動時間を短縮できる点がメリットといえます。たとえば、東京から大阪への出張で朝9時からの会議に参加する場合は、6時前に出発しなければなりません。しかし、前乗りで現地入りをしておけば、時間に余裕を持って会議や打ち合わせに参加できるでしょう。
さらに、前乗りをすれば心身のコンディションを整えることにも期待できます。長距離移動の疲れを癒やし、十分な睡眠をとることで、重要な仕事に万全の状態で臨めるでしょう。
トラブルが起きても対応可能
前乗りのもう一つの大きなメリットは、予期せぬトラブルにも柔軟に対応できる可能性が高くなることです。
遠方への出張時は、電車や飛行機の運行状況を考慮しなければなりません。出張の時期や出張先によっては、台風や大雪など、交通機関の遅延や運休の恐れもあります。
前乗りをして前日に移動しておけば、出張当日に交通機関のトラブルに巻き込まれる心配が軽減されます。出張先の下見や、ホテルからの移動経路の確認など、現地の状況を前日に把握できる点もトラブル回避に有効でしょう。
前乗りの気になる疑問
前乗りは、経費がかかる上に、出張者は業務時間外に長時間の移動をしなければならないというデメリットも。
前乗りが会社から認められるのはどのようなケースなのか、前乗りの移動時間は労働に関する規定上どのような扱いになるのかを解説します。
前乗りが認められるケースとは?
基準は組織によって異なりますが、出張の際に通常の業務開始時刻と比較して負担になるほど出発時刻が早い場合に、前乗りが認められるケースが多く見られます。
たとえば、出張者が通常は8時に出社すると仮定します。3時間の移動を要する出張先で、9時から業務がスタートする場合、6時には出発しなければなりません。この場合は、通常より早い出発となるため、本人の希望があれば前乗りが認められるかもしれません。
なお、同条件の出張先で11時から業務がスタートする場合は、8時に出発すればよいことになります。その場合は、前乗りは認められない可能性もあるでしょう。
一方、後帰りについても同様の基準が適用されるといえます。通常の帰宅時間と比較して、出張からの帰路や翌日の業務への影響を考慮し、負担が大きくなる場合に認められやすい傾向が見られます。
前乗りの移動は労働時間にあたる?
休日や就業後に前乗りで移動をする際は、出張のためにプライベートの時間を使うことになりますが、移動時間は労働時間とみなされません。これは、通常の通勤時間が労働時間に含まれないのと同じ理由です。
そもそも労働時間とは、労働者が雇用主の指揮命令下にある時間を指します。移動中は指揮命令下になく、労働者は読書をしたり、スマホでゲームを楽しんだりと自由に過ごせるため、労働時間とみなされないのです。
しかし、移動中に上司の指示で資料作成などの業務を行う場合は労働時間とみなされるとされます。この場合は、会社の指揮命令下にあると判断されるためです。
前乗りの宿泊費は経費に含まれる?
前乗りの宿泊費は、会社からの指示による場合は経費として認められます。宿泊費や交通費など、会社が定めた出張旅費規定によって、支払われる費用が異なります。前乗りを会社から命じられた際の費用支給については、会社に直接確認が必要です。
ただし、注意点もあります。たとえば、高級ホテルに宿泊するなど明らかに過剰な支出は認められないことも。会社の規定に沿った適切な宿泊施設を選ぶことが重要です。
さらに、前乗りの際の食事代についても、会社の規定を確認する必要があります。朝食付きの宿泊プランを選ぶか、別途食事代を請求できるかは、会社によって方針が異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
メイン・アイキャッチ画像:(c)AdobeStock
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