毛布は家庭用洗濯機で洗えるものの、容量や正しい手順を知らないと、縮みや傷みが生じてしまいます。本記事では、洗濯機を使った毛布の洗い方について、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんにお聞きしました。
容量や洗剤の選び方から乾燥の工夫まで、初心者でも簡単に実践できる具体的な方法をお届けします。
毛布を洗濯機で洗う前に知っておきたい基本知識
まずは毛布を洗うための基本的なポイントを詳しく見ていきましょう。

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毛布を洗うのに必要な洗濯機の容量とは?
洗濯機の容量は、毛布を洗う際の重要な基準です。一般的なシングルサイズの毛布であれば7kg以上、ダブルサイズの毛布であれば9kg以上の容量が推奨されます。毛布は吸水性が高く、洗濯時には乾いた状態の数倍の重さになります。そのため、洗濯機の容量が不足すると、洗濯槽内で回転が不十分になり、汚れが落ちにくくなるだけでなく、洗濯機本体への負担が増す可能性があります。
また、タグに記載された洗濯可能な条件を確認することも忘れずに。
シングルやダブルの毛布は洗える? 容量別のポイント
シングル毛布は多くの家庭用洗濯機で洗うことができますが、厚手の毛布やダブルサイズの毛布は注意が必要です。ダブルサイズの場合、洗濯槽が十分に回転できないことがあるため、容量が不足していると洗濯ムラが発生しやすくなります。
特に冬用の分厚い毛布の場合、洗濯機の容量を確認するだけでなく、毛布を洗濯槽に入れてみて余裕があるかどうかをチェックするのがおすすめです。
容量不足が疑われる場合には、コインランドリーの大型洗濯機を利用すると効率的です。家庭用洗濯機で無理に洗おうとせず、適切な環境を選ぶことが毛布の品質を保つ秘訣です。
毛布専用コースがない洗濯機の場合の工夫
最近の洗濯機には毛布専用コースが搭載されているモデルが増えていますが、すべての家庭用洗濯機にその機能があるわけではありません。そのような場合には、以下のような工夫で対応できます。
まず「手洗いモード」や「ドライコース」を選択し、水流を穏やかにする設定に切り替えましょう。これは、毛布の生地を傷めずに汚れを落とすのに効果的です。また、水量を最大に設定し、毛布が洗濯槽内で十分に動けるように調整することが大切です。
この際、毛布をきれいに丸めて入れることで、水流が均等に行き渡り、効率よく洗浄できます。さらに、毛布専用の中性洗剤を使用することで、縮みや色落ちを防ぎ、ふんわりとした仕上がりが期待できますよ。
洗濯機で毛布を洗う正しい方法と注意点
毛布を洗濯機で洗う際は、正しい手順を守ることで、汚れがしっかり落ちるだけでなく、生地を傷めずに済みます。また、トラブルを防ぐために事前準備を徹底することが重要です。以下に具体的な方法と注意点を解説します。
「ぎゅうぎゅう詰め」にしないための工夫
洗濯槽に毛布を無理やり押し込むのは絶対に避けましょう。ぎゅうぎゅう詰めにすると、水流が十分に行き渡らず、汚れが残りやすくなります。また、洗濯槽に負荷がかかり、洗濯機の故障につながるリスクもあるので注意が必要です。毛布を入れる前に洗濯槽の7〜8割程度のスペースが確保されているか確認してください。
毛布が大きすぎる場合は、家庭用洗濯機ではなく、コインランドリーの大型洗濯機を使用するのが賢明です。
使用する洗剤の選び方と適切な使用量
毛布を洗う際、中性洗剤は毛布の繊維を傷めにくいため、多くの毛布に適しています。また、柔軟剤を加えることで仕上がりがふんわりし、肌触りがよくなりますよ。ただし、洗剤の量は適切であることが重要です。多すぎるとすすぎ残しが発生し、毛布がべたつく原因になることも…。
目安としては、毛布1枚につき約50mlの液体洗剤が適量です。洗剤ボトルの指示を確認しながら、適切な量を守るよう心がけてください。
乾燥のコツ|自宅とコインランドリーの使い分け
毛布をきれいに洗った後は、適切な乾燥方法を選ぶことで仕上がりが格段によくなります。自宅での乾燥は手軽さが魅力ですが、コインランドリーの大型乾燥機は短時間で効率よく仕上げられるのがメリットです。ここでは、それぞれの方法の特徴や注意点を解説します。

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自宅で毛布を乾燥させる方法と注意点
自宅での乾燥では、風通しのいい場所を選び、毛布をできるだけ広げて干すことがポイントです。理想的な干し方は、物干し竿を2本使い、毛布をM字型にかける方法です。この形状にすることで、風が通りやすくなり、乾燥時間を短縮できます。
また、重みで毛布が変形しないよう、均等に重さを分散させることが大切です。さらに、乾燥中は定期的に毛布の向きを変え、全体を均等に乾かしましょう。特に冬場や雨天時には、扇風機やサーキュレーターを併用すると効果的。縮みや臭いの原因となる「乾き残し」を防ぐため、完全に乾かすことが大切ですよ。