グラニュー糖は上白糖(砂糖)で代用可。その違いは?

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レシピどおりにお菓子を作りたいと思っていたのに、グラニュー糖が手元になくて困った…なんて経験がある人も多いのではないでしょうか。
〝わざわざ買いに行くのは面倒だけれど、代用できるものがあるなら作りたい〟というときに頼れるのが、日頃から使い慣れている上白糖(砂糖)です。しかし「そもそも、このふたつって何が違うの?」 という疑問を抱く人もいるかもしれませんので、まずはグラニュー糖と上白糖の違いから確認していきましょう。
結晶の大きさと精製度
「砂糖」とはショ糖を主成分とする甘味料の総称で、原料はサトウキビやテンサイ(ビート)です。グラニュー糖も上白糖も、「分蜜糖」と呼ばれる砂糖に分類されます。分蜜糖とは、原料から取り出した液を結晶と蜜に分け、結晶だけを取り出して乾燥させた砂糖のことです。
グラニュー糖は結晶化したショ糖(スクロース)をそのまま乾燥させているため、結晶が大きくサラサラとした質感を持ちます。一方、上白糖はショ糖の結晶に転化糖をまぶして仕上げた砂糖です。粒が細かくしっとりとした手触りがあり、日本で一般的に使われています。
仕上がりへの影響
グラニュー糖はクセのないすっきりとした甘さで、お菓子の素材本来の味を引き立てるのに適します。一方上白糖は、転化糖に含まれる果糖に甘みがあることから、グラニュー糖よりも甘さを強く感じやすいのが特徴です。
また、転化糖には吸水性があり、焼き菓子に使うと生地がしっとり仕上がる効果が期待できます。さらに焼き色を付けやすい性質も持つため、上白糖で作ったお菓子はグラニュー糖で作ったときと比べて、こんがりとした色合いに仕上がります。
グラニュー糖は上白糖で代用できますが、仕上がりの味や食感・見た目には違いが出ることを覚えてきましょう。
グラニュー糖の代わりになる甘味料

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グラニュー糖がないとき、用途によっては上白糖以外にも代用できる甘味料があります。家庭にあることが多い砂糖や、手軽に入手可能な甘味料の中から、グラニュー糖の代用として使えるものを見ていきましょう。
てんさい糖
てんさい糖は、テンサイ(ビート)という根菜を原料とした砂糖で、原料に含まれるミネラルやオリゴ糖がそのまま残っているのが特徴です。オリゴ糖は整腸作用があることで知られていますので、体に優しい甘味料を使いたいときに代用するのもよいでしょう。
甘さはグラニュー糖よりもやや控えめで、まろやかでコクのある味わいです。独特の風味があるため、繊細な味に仕上げたいお菓子よりも、パウンドケーキや蒸しパンなど、しっとりした食感と優しい甘さを生かせるお菓子に向いています。
三温糖
三温糖は、サトウキビやテンサイを原料とする分蜜糖の一種です。上白糖やグラニュー糖を製造する過程で残る液糖(蜜)をさらに煮詰めて作られています。加熱によってカラメル化するため見た目は茶色で、香ばしさとコクのある甘みが特徴です。
グラニュー糖に比べて甘さがやや強く感じられるので、代用する際は少し控えめな分量を意識しましょう。また、焦げ色が付きやすい点にも注意が必要です。
キャラメル風味のお菓子や、香ばしさをアクセントにしたい焼き菓子との相性が良く、クッキーやキャラメルケーキなどに使うと深みのある仕上がりになります。
蜂蜜
蜂蜜は、グラニュー糖や上白糖の代わりとして使える自然由来の甘味料です。強い甘さと独特の香りがあり、加えるだけでコクと深みのある味わいに仕上がります。
お菓子に使うと、しっとりとした食感が出やすいのも特徴です。これは、蜂蜜に含まれるブドウ糖や果糖が吸水性に優れているためです。
また、蜂蜜にはビタミンやミネラル・アミノ酸などの栄養素が豊富に含まれており、砂糖に比べて100g当たりのカロリーが低いというメリットがあります。
グラニュー糖の代用として使うときは、蒸しパンやシフォンケーキ・ホットケーキなどのスイーツがおすすめです。ただし、蜂蜜は1歳未満の乳児に与えられないため、家族で食べる場合は注意しましょう。
メープルシロップ
メープルシロップはカエデの樹液を煮詰め、糖度を高くしたシロップです。北アメリカのサトウカエデの樹液から作られたものが大半で、日本産はほとんど流通していません。
ほのかな苦みと深いコク・独特の香りがメープルシロップの特徴です。グラニュー糖の代わりに使うと、お菓子の味に深みが出ます。甘みはやや控えめでしつこさがないため、優しい甘さに仕上がるでしょう。
お菓子作りでグラニュー糖の代わりに使うなら、マフィンやパンケーキ・パウンドケーキ・ワッフルなどがおすすめです。
グラニュー糖を別のもので代用するときの注意点

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グラニュー糖をほかの砂糖や甘味料で代用する際は、ただ入れ替えるだけでは思いどおりの仕上がりにならないことが多いでしょう。甘さの感じ方や水分量・焼き上がりの色などに違いがあるため、使う前にそれぞれの特徴を知っておくことが大切です。
甘みの強さによって分量の調節が必要
砂糖や甘味料は、それぞれ甘みの強さが異なります。代用する際は、同じ分量で置き換えると甘すぎたり、物足りなく感じる可能性があり、種類に応じて調整が必要です。
上白糖はグラニュー糖より甘みがやや強めですが、大さじ1杯当たりの重さが軽いため、大さじや小さじで計量する場合は、あまり神経質にならなくても問題ありません。
てんさい糖は甘さが控えめなので、やや多めに使うのがよいでしょう。逆に、三温糖はグラニュー糖より甘く感じやすいため、分量は少なめにして調整するのがおすすめです。
蜂蜜は強い甘みを持つ上に、水分も含まれています。レシピに書かれたグラニュー糖の量よりも少なめにして試しましょう。メープルシロップは甘みを感じにくいので、グラニュー糖より少し多めに使うとバランスが取りやすくなります。
焼き菓子やケーキは水分量の変化にも注意
液状の甘味料をグラニュー糖の代わりに使う場合は、生地の水分量に注意が必要です。たとえば、蜂蜜やメープルシロップは砂糖と違って水分を多く含んでいるため、そのまま置き換えると生地の水分量が多くなってしまいます。
水分が多すぎると、バターとほかの材料がうまく乳化しません。焼き上がりにムラが出たり、生地が油っぽくなる原因になります。
しっかりと乳化させるためには、バター・卵・液体甘味料を室温に戻しておくことが大切です。材料同士の温度差を減らし、少しずつ加えて混ぜることで、なめらかな生地に仕上がります。
特にパウンドケーキやマドレーヌなど、しっとり感とふくらみが大事な焼き菓子では、水分の調整が仕上がりに大きく影響します。液体甘味料を使う際は、生地の状態を見ながら加減しましょう。
仕上がりの色の違いも事前に想定を
お菓子作りでは味だけでなく、色も大切な要素です。グラニュー糖の代わりにほかの砂糖や甘味料を使うと、焼き色や全体の色味に違いが出ることがあります。
上白糖は転化糖の性質から焼き色が付きやすく、グラニュー糖で作った場合よりも全体がこんがりと仕上がります。てんさい糖や三温糖は茶色いため生地そのものに色が付きやすく、焼き上がりも濃い色合いです。
そのほか蜂蜜やメープルシロップも、焼き色が強く出る傾向にあります。色が濃くなりやすい砂糖・甘味料をグラニュー糖の代わりにする場合は、クッキーやパウンドケーキなど、ある程度焼き色が付いても違和感のないお菓子がおすすめです。
グラニュー糖の代用品でお菓子作りを楽しもう

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グラニュー糖が手元になくても、上白糖をはじめとする身近な甘味料を代用すれば、お菓子作りは十分に楽しめます。甘みの強さや風味・水分量・焼き色などの違いをあらかじめ知っておけば、仕上がりにも納得がいくはずです。
レシピに書かれた材料がそろっていなくても、代用できる方法を知っているだけで気持ちに余裕が生まれます。身近にある材料で、思い立ったとき気軽にお菓子作りを楽しみましょう。
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Domani編集部
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