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LIFESTYLEいつだって自分に"意識高い系"

2018.10.01

蛭田亜紗子&石田ニコルの下着や恋をめぐるハナシ

話題のラブコメディ『フィッターXの異常な愛情』の文庫本刊行を記念して開催された、著者の蛭田亜紗子さんと女優・モデルの石田ニコルさんのトークイベントの模様をお届けします!

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『フィッターXの異常な愛情』の刊行を記念して トークイベントが開催されました


Domani世代も思わず共感、感動するラブコメディ『フィッターXの異常な愛情』の文庫本刊行を記念して、著者の蛭田亜紗子さんと、巻末解説を書いた女優・モデルの石田ニコルさんによるトークイベントが開催されました。 ニコルさんは、下着ブランドとのコラボで下着のデザインをしたり、高級下着メーカーを舞台にしたドラマに出演するなど、下着関連の仕事も多く手がける“大のランジェリー好き”。小説の解説を書くのは今回がはじめてとのことですが、「ニコルさんのランジェリー愛は素晴らしい。初解説とは思えないほど、細かいところまで読み込んで書いてくださって、うれしかった」と蛭田さんも感激する内容。そんなおふたりにこの物語について、下着や恋について、ざっくばらんに語っていただきました。

『フィッターXの異常な愛情』のあらすじ

主人公の國枝颯子(くにえださつこ)は、広告代理店に勤める32歳、独身、恋人ナシ。仕事に追われる日々で、バッグや靴、アクセサリーには一応、気を配っているものの、人から見えない下着に関してはまったく無頓着。そんな颯子はあるとき、ランジェリーショップで男性のフィッター伊佐治耀(いさじよう)に出会い、いい加減な生き方を指摘される。反発心を抱きつつも、自分を見つめ直すようになっていく颯子。そして、「どんな下着を身につけるか」で、見た目のスタイルだけでなく、気分や心、生きる姿勢までも変わることに気づいた颯子が、友人や知人を伊佐治に引き合わせることで、周囲にもいい変化が広がっていく。さて、颯子は、自分にとっての最高の下着を見つけたように、最高の恋も見つけられるのか……。結末まで目が離せない胸キュンのラブコメディ。

ランジェリーフィッターが男性ってあり?


「えっ! ランジェリーフィッターが男性?と読み始めたときにはどんな話になるのかドキドキしました」とニコルさんが話すごとく、この物語でまず驚かされるのは男性のフィッターが登場すること。 この人物設定について蛭田さんは「最初から『男性のランジェリーフィッターにしよう』と思っていたわけではないんです。男性があまり就かない仕事ってなんだろうと探していくうちに、実際には男性はいないけれど、おもしろいかなと思いました」と話します。

その男性フィッターの伊佐治とは、どんな人物かというと……。女性の下着や体の話をしても一切いやらしさを感じさせないスマートさの持ち主であるものの、歯に衣着せぬ発言はなんとも辛辣。初対面の颯子のフィッティングをしながら、まるで彼女の生活を見透かしているかのように「スポーツジムに通っても三ヶ月も続かない」「十代の頃から肩こりに悩まされている」「生理不順」「主食はラーメンとビール」「夕食はいつも夜八時以降」と言い当てていくのです。このシーンを読んでいると、思わず自分のことをいわれているようでドキッ。 下着を買うときにはいつもフィッターに見てもらうというニコルさんも「最初は、『ここまでいわれたらショックかも』と思いました。でも、伊佐治って、じつはお客さんに対する深い愛情があるんですよね。伊佐治のように女性に寄り添った目線をもちつつ、男らしくストレートに真実をいってくれるのなら、性別は関係ない。私もフィッティングをお願いしたいくらい理想のフィッターだと思います」といいます。

確かに、本を読み進めていくうちに「伊佐治だったら男性フィッターもありかも」「伊佐治だったらフィッティングしてもらいたい」と思わせる魅力的な人物。そう、読者はまんまと蛭田さんの術中に陥ってしまうのです。

下着は体だけでなく、心も支えてくれる

ニコルさんが下着の魅力に目覚めたのは、2012年にミュージカル『RENT』でミミという役をやったのがきっかけだそう。

「はじめてのお芝居への挑戦で、『本当に私がこの役でいいのか』と不安でいっぱいでした。それまで下着といえば、モデルとして『服に響かないもの』を第一に考えて選んでいたのですが、ミミを演じるとき、自分に自信がもてるようなブラをつけることで、気持ちが強くなれたんです。ブラは体だけでなく心も支えてくれる。それ以来、不安なとき、自信がないときは、これぞというブラを身につけています。下着は私にとってお守りのような存在です」


下着は、いちばん素肌に近い部分で自分を支えくれるもの。ニコルさん同様、この本の登場人物たちも、そんな“下着の力”で自分に自信を持ち、輝いていきます。では、蛭田さんにとって下着はどんな存在なのでしょう。 「以前はあまり意識して下着を選んだことがなく、それこそ通販で買ったりもしていました。が、この本を書くにあたってフィッティングしてもらって買うようになって。フィッティングルームの大きな鏡の前に立ち、下着一枚で自分と対峙するのは結構、衝撃的な体験ですね。ああ、脇の肉が…とか見たくないところもいっぱい。でも、だからこそ、あえて見ることが大事なのかなと思います」

フィッティングは、“素の自分”を客観的に見るチャンスでもありますね。

「ただ、フィッティングをして『胸が盛り上がって見えていいな』と思って買ったものが、実際に長くつけていると苦しくなって、あまり使わなくなったり……といった失敗談もいろいろあります。でも、失敗することで自分に合った下着がわかっていく。失敗もまた大切な経験だと思います」

下着も人生も、トライアンドエラーで自分らしさを見つけていくものなのかもしれません。

ランジェリーはもっと自由に楽しめばいい

「思い出深い下着といえば、25、26歳のとき、すごく思い切って買ったイタリア製のシルク素材のブラ。今も専用の洗剤で手洗いをして、大切に使っています」というニコルさん。下着が大好きで60種類くらいはもっていて、ブラとショーツをあえてバラバラにコーディネートするなど楽しんでいるといいます。

「『この服には何色のバッグが合うかな』とコーディネートするように、『このピンクのブラとグレーのショーツと合わせてみよう』と選んだり。柄が特徴的だったりすると難しいかもしれませんが、私の場合、シンプルなものが多いので、素材の質感は合わせて、あとは自由に」

ニコルさんがこんなふうに「下着は上下、別々でいい」と思うようになったのは、アメリカ映画に登場する女の子が上下違うランジェリーを身につけているのを観て、かわいかったから。

「ヨーロッパのランジェリーショップではだいたい上下セットで売っていますが、アメリカでは上下を自由に選べるんです。私は水着も上下別にコーディネートしていますが、下着も水着も服感覚。一人でコーディネートをいろいろと試すのは、とびきり楽しい時間です」

なるほど、服選びをするときのように組み合わせを楽しめばいいんですね。

蛭田さんも「下着は人に見られたときに上下そろっていないと恥ずかしいと思っていたし、あえて上下バラバラにコーディネートするということを思いつかなかったので、ニコルさんの話はすごく新鮮。下着選びに正解はないんですよね」と納得。 そんな蛭田さんにも、逆にニコルさんを驚かせる下着の楽しみが……。


「私はそもそも服をつくるのが趣味なのですが、最近、下着もつくっているんです。日本だと専用の素材が入手しづらいのですが、つくること自体は意外と簡単。型紙なしで適当につくってみたり、ヨーロッパには型紙があるので、それを使ってつくってみたりもしています」

「へぇ〜、ランジェリーって自分でつくれるんですね」とニコルさんも感心しきりですが、ブラなら1時間、ショーツなら30分でつくれるそう。

コーディネートを楽しんだり、つくるのを楽しんだり。下着には底知れぬ楽しみがありそうです。

元カレから結婚披露宴の招待状が来たら?

この本には、恋愛、結婚、妊娠、出産など、Domani世代も気になる話題が満載されています。

そんなエピソードのひとつが、颯子のところに元カレから結婚披露宴の招待状が届く、という話。颯子はさんざん迷った挙句に出席を決心し、下着の力を借りて万全にドレスアップをして出かけるのですが……。こんなとき、おふたりならどうするでしょう。

「私だったら行かないかな」とニコルさん。「でも、もし行くとしたら、身だしなみはきちんと整えるけれど、100パーセントの力は注がない。悔しいから70パーセントくらいで、興味なさげな感じで行くと思います(笑)」 一方、蛭田さんは「私は弱みを見せたくないから、結構、がんばりそう。でも、がんばったけれど残念な感じになっちゃうかもしれません(笑)」

また、読みながらドキドキするのが颯子の恋バナ。一見、やさしげな星壱太郎(ほしいちたろう)という男性との恋が進展するのですが、じつはこの男性、颯子のネイルの色から下着の形にまでうるさい“束縛男”。さて、こういう男性との恋愛については、どう思いますか?

「私は嫌ですね。恋人に自分の好みを押しつけるなんて恋愛じゃなくて、ただの自己満足。それに、たとえ彼の好みに合わせて無理して一緒にいても、それは本当の自分ではない。昔の私は無理をしてがんばる恋愛ばかりしていたけれど、無理は続かない。嘘のない恋愛がいいです」と話すニコルさん。理想の夫婦はご両親だそうです。 「性格は正反対でちょっとずつ、ずれているけれど、バチバチッとパズルのようにかみ合っていて、すごく仲がいいんです。いまでも何曜日には一緒に映画を観にいくとか、何曜日にはお父さんがお母さんのためにごはんをつくるとか、そういうのがすごくいいなと思っています」

すでに結婚をしている蛭田さんは「恋愛の世界からは離れてしまっていますが、自分らしさを隠して恋愛関係を保っても、結局はうまくいかない。小説の中にも『相手の好みに合わせることに喜びを感じる人間もいるだろうけれど、颯子はそうではない』と書きましたが、私もまさにそういうタイプです」といいます。 颯子が星とのデートを「どれも愉しかった」と回想しつつ、思わず「ふっざけるなよ、あの男」と本音がポロリともれるシーン。読んでいて、なんだか胸がスッキリします。

下着は束縛するものではなく、自分を解放してくれるもの

この小説には、随所、随所に素敵な言葉や、思わずうなずく文章が散りばめられています。 ニコルさんが大好きだというのは、下着のフィッティングをして自分に合うブラをつけて喜ぶ颯子に、伊佐治が贈る『悩んだり立ち止まることがあったら、自分の胸に手を当てて考えてみてください。答えは、バストとブラが知っています』というセリフ。「とても説得力があって、下着がお守りの私も、悩んだときにはよく胸に手を当てます」といいます。

そのほかにも、妊娠、出産によって体型が変わったことで自信を失っている颯子の友人、美鈴に対して、伊佐治が勤めるランジェリーショップの華江店長が「顔が一人ひとり違うように、胸のかたちもそれぞれ違うのに。なのに理想とされるのは、ゆたかでうえを向いていてハリのあるバストだけ」と、暗に「それでいいのか」と問いかけるようにいう言葉にもハッとさせられます。自分もそんな画一的な価値観にとらわれていなかったかと。 そして、読み進むにつれて「どんな下着を選ぶか」は「どんなふうに生きたいか」とイコールだと気づかされるのです。


蛭田さんは「女性にはいろいろな呪縛があると思うんです。この小説のなかでも書きましたが、独身のときには『結婚はまだ?』と聞かれ、結婚したら『そろそろお子さんは?』と聞かれ、産んだら産んだで『ふたりめは?』と聞かれ、そうしなければならないという強迫観念をもったりする。下着は自分を締め付けるもの、束縛するものというイメージがありますが、下着の力でそんないろいろの呪縛から自分を解放していく話が書きたかった。ニコルさんにとって下着がお守りのように、この本が女性たちのお守りになってくれたらいいなと思っています」といいます。

下着は自分を束縛するものではなく、自分を解放するもの。この本を読んだ後には、ブラ選びが今までと変わりそう。女性の幸せも、理想のバストの形も、人それぞれ。自由でいい。

作家

蛭田亜紗子

●ひるたあさこ 1979年北海道生まれ。広告代理店勤務を経て、2008年、『自縄自縛の二乗』で新潮社第7回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2010年、『自縄自縛の私』を刊行し、デビュー。同作は2013年に竹中直人監督で映画化された。著書に『人肌ショコラリキュール』『愛を振り込む』『凛』『エンディングドレス』などがある。

女優・モデル

石田ニコル

●いしだにこる 1990年、山口県出身。 ハワイ州観光局親善大使。様々なファッション誌やランウェイでモデルとして活躍。現在TBS系「王様のブランチ」にてレギュラー出演中。女優としての出演作品にはミュージカル「RENT」、ドラマ「ファーストクラス」「サムライせんせい」「アンダーウェア」「勇者ヨシヒコ」「模倣犯」「悦ちゃん」「サバイバル・ウェディング」などがある。

 

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