「拝見いたしました」は正しい敬語表現です。
Summary
- 「拝見いたしました」は謙譲語+丁寧語の組み合わせで正しい敬語表現です。
- 二重敬語ではなく、ビジネスメールや報告で幅広く使われます。
- 「拝見させていただきました」は二重敬語になるので注意しましょう。
Contents
ビジネスの現場では、相手に敬意を示す言葉選びがとても大切です。その中でも「拝見いたしました」はよく使われる表現ですが、実は正しい敬語なのか、二重敬語にあたるのか迷う人も多いでしょう。そこで、この記事では「拝見いたしました」の意味や正しい使い方、実際のメール例文、間違えやすい点を最新のビジネスマナーに沿ってわかりやすくお伝えします。
【目次】 [hide]
「拝見いたしました」とは? 意味と正しい敬語表現をわかりやすく解説
「拝見いたしました」はよく聞く言葉ですが、正確に意味や敬語の分類を理解している人は意外と少ないものです。ここで簡潔に解説します。
「拝見いたしました」の基本的な意味
「拝見いたしました」は、謙譲語の「拝見する」(自分がへりくだって「見る」ことを表す)と、丁寧語の「いたしました」(「する」の丁寧な過去形)を組み合わせた言い回しです。つまり、自分が何かを「見る」ことを謙虚に伝えつつ、丁寧に表現しています。主に資料や情報を確認した報告などに使われ、かしこまった印象を与えます。

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「拝見いたしました」は敬語? 謙譲語? 分類を整理
敬語は大きく「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」に分けられます。「拝見」は謙譲語で、自身の動作をへりくだる言い方です。これに、丁寧語「いたしました」を付け加えて、より丁寧に伝えています。性質の異なる敬語が組み合わさるため、一見「二重敬語」に感じることがあるでしょう。この点については、次項で解説します。

「拝見いたしました」は二重敬語? 正しい使い方を検証
よく耳にする「二重敬語問題」。「拝見いたしました」は、二重敬語なのか、正しい使い方とは何か、丁寧に解説していきます。
「拝見いたしました」は二重敬語になる? ならない?
「二重敬語は間違い」とよく言われますが、そもそも二重敬語とは何でしょうか? それは、「同じ種類の敬語を、一つの言葉の中で重ねて使うこと」を指します。例えば、「ご覧になられる」は、「見る」の尊敬語「ご覧になる」と、尊敬の助動詞「~られる」を重ねた【尊敬語+尊敬語】なので、二重敬語にあたります。
一方で、「拝見いたしました」は、先ほど見たように【謙譲語+丁寧語】という、種類の異なる敬語の組み合わせです。そのため、文法的には二重敬語にはあたりません。ただし、使う人や場面によっては、やや重たい印象を与える場合もありますので、適切な場での使用が大切です。
「拝見しました」・「拝見いたしました」・「拝見させていただきました」の違い
ここでは、「拝見しました」「拝見いたしました」「拝見させていただきました」について、それぞれ見ていきましょう。
・拝見しました
謙譲語の形としてシンプルで、十分敬意を示せます。ややカジュアルな場面や社内で使われやすい表現です。
・拝見いたしました
謙譲語に丁寧語を加えた丁寧表現。フォーマルなメールや目上の人に対してよく使われる言い回しで、適切な礼儀が伝わります。
・拝見させていただきました
「拝見」と「させていただく」(謙譲語)が重なり二重敬語です。近年多用されがちですが、「相手の許可を得て、恩恵を受けながら見させてもらった」というニュアンスになります。資料送付など、相手が自分に見てほしくて送ってきている状況では、許可を求める必要はありませんよね。基本的には「拝見いたしました」を使うのが、最も洗練されていて的確です。

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「拝見いたしました」を使っていい場面・避けるべき場面
使っていい場面
・目上の人や取引先に対して、資料やメールを確認した報告をするとき
・フォーマルなビジネスメール全般
避けたほうがいい場面
・社内のカジュアルなやりとりで、過度に硬く聞こえる場合
・「拝見させていただきました」のような過剰敬語は控える

「拝見いたしました」は、二重敬語ではありません。
「拝見いたしました」を目上の人・上司・取引先に使うときの注意点
敬語表現は、相手やシチュエーションによって使い方が微妙に変わります。特に目上の人や取引先への使用時には、どんな点に注意すればいいのかを具体的にまとめました。
上司への「拝見いたしました」は適切?
丁寧で丁重な表現ですが、あまりに堅すぎると硬直した印象になることも。やり取りの内容や上司との関係性を踏まえて使いましょう。簡潔さを求められる場合は「拝見しました」も適切です。