部下や後輩への伝え方はどこまで丁寧にするか?
部下や後輩には、かしこまりすぎず、親しみやすさを残しながら敬意を払うバランスが大切です。たとえば、「明日の会議に来てほしいんだけど、大丈夫?」や「〇〇さん、明日おいでいただけますか?」など、相手の状況を考えて語調を調整します。業務指示が強くなりすぎないよう配慮しつつ、必要な敬意は示しましょう。
フォーマルな場面ではどう書き換えるべきか?
招待状や案内状、社外文書などかしこまった書面なら、「○月○日、弊社にご来訪賜りますようお願い申し上げます」や「ご多用中誠に恐縮ではございますが、ご足労賜りますようお願い申し上げます」といった敬語を使います。硬すぎず、しかし丁寧さを崩さない文体に整え、相手に負担をかけることへの配慮も忘れないようにします。
「来てもらった後」の表現も見直したい
依頼は、相手に来てもらうことで終わりではありません。来てくれたことへの感謝を丁寧に伝えることで、相手との良好な関係はさらに深まります。ここでは、「来てくれてありがとう」をスマートに伝える言葉選びを紹介します。
「来てくれてありがとう」は敬語でどう言う?
来訪後のお礼は相手への感謝を丁寧に伝えるチャンスです。
「ご足労いただき、誠にありがとうございます」
「お忙しい中、わざわざお越しいただき感謝申し上げます」
「本日はご来社いただき、ありがとうございました」
といった表現が場面を問わず使えます。社内外で適切に使い分けましょう。

お礼とフォローのひと言で印象が変わる
さらに「お越しいただいた際にご説明いただいた内容を参考に、早速検討を進めております」など、感謝と次に生かす意欲を示すと好印象です。次回の連絡や再会への期待を添えるのも関係継続につながるポイントです。
後輩指導やチーム共有のための視点
自分自身が正しく敬語を使えることはもちろん重要ですが、キャリアを重ねるにつれて、後輩に教えたり、チーム全体の言葉遣いをよりよくしたりする役割も求められます。ここでは、効果的な伝え方と共有の工夫を取り上げます。
「来てもらう」の言い換えをどう説明する?
敬語表現や言い換えの背景を説明するときは、「相手に敬意を払うための言葉の工夫」と伝えましょう。たとえば、「『お越しいただく』は『来てもらう』より丁寧で、特に目上の方に使う」など、場面や相手別の具体例を示すと分かりやすいです。
ミスを指摘するときの伝え方の工夫
敬語の誤用を指摘するときは、「こうするともっと自然で伝わりやすくなりますよ」と前向きに伝えるのが効果的です。間違いだけを強調せず、正しい例文や理由もセットで教えることで、信頼関係を保ちながら指導できます。
最後に
POINT
- 「来てもらう」は敬語化して相手に敬意を示す。「お越しいただく」「ご足労いただく」などが代表例
- メール依頼はクッション言葉と仮定形で柔らかく
- 依頼後は「ご足労いただきありがとうございます」と感謝を伝える
「来てもらう」という依頼は日常的でも、敬語の選び方で相手の受け取り方や関係性が大きく変わります。自分が心地よく伝えられる言葉を持っておくことで、会話もメールもスムーズに進みます。今回紹介した言い回しや考え方を参考に、状況に応じた表現を選べる実務力を育てていきましょう。
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執筆
武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
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