Summary
- 換気扇フィルターは万能ではなく、設置場所によっては逆効果になる。
- フィルターが目詰まりすると、換気効率が下がり湿気や臭いがこもる。
- 特に浴室やトイレでは、「つけない方が清潔」な場合がある。
換気扇フィルターは掃除を助ける存在ですが、「つけない方がいい」と耳にすることもあります。実際には、環境や使い方によって適否が分かれるものです。この記事では、不要とされる理由や、場所ごとに変わる判断の目安、掃除や代用の工夫をリフォームやインテリアの提案を通して、豊かなライフスタイルを提供するアトリエボックスの堂本さんにお聞きしました。
それぞれ、わかりやすく整理していきます。
換気扇フィルターをつけない方がいい理由とは?
フィルターを取り付けると安心できるように思えますが、実際には逆効果となる場合もあります。ここでは「不要」とされる主な理由を明らかにします。
空気の通り道が狭まり換気効率が落ちる
換気扇は、室内の湿気や臭いを外に逃がす役割を担っています。ところが、フィルターを取り付けたことで空気の通り道がふさがれると、本来の換気力が弱まってしまうのです。
特に湿気の多い浴室やトイレでは、空気が循環しないことでカビが発生しやすくなります。フィルターが汚れて目詰まりを起こすと、ますます風量が減少し、換気機能の低下を招きます。
通気性を維持するには、設置するフィルターの素材や厚みにも注意が必要でしょう。

掃除や交換が増えて面倒になる
フィルターを使うと汚れを吸着してくれる分、掃除がラクになりそうですが、現実はその逆になることもあります。ホコリや油分がたまったフィルターはこまめに掃除する必要があり、定期的な交換を怠ると汚れがフィルターに固着してしまいます。
特に高い位置にある換気扇は、取り外しが手間に感じるかもしれません。掃除が負担になって続かないと、かえって不衛生な状態になりかねないでしょう。
日々の手間と清潔さのバランスを見極めたいところです。
通気性の低下や手入れの手間増がデメリット。環境により逆効果になる。
場所別にみるフィルターの要・不要
同じ換気扇でも、キッチン・浴室・トイレなどで適した使い方は変わります。環境ごとの特徴を知れば、判断がしやすくなるでしょう。
キッチンは油汚れ対策に役立つ
キッチンの換気扇は、揚げ物や炒め物をするだけでも油煙が発生し、内部に汚れがたまりやすくなります。この油をそのまま放置すると、ファンやフードの奥にまでこびりつき、掃除が大変になることも。
こうした汚れを受け止める役割として、フィルターの設置は非常に効果的です。特にフィルターは、こまめに替えることをおすすめします。そうすることで掃除の頻度を減らし、より長く使用できますよ。
近頃は、自動でレンジフード内の汚れを掃除してくれる製品も出てきています。頻繁に料理をする家庭では、フィルターが油汚れの「受け皿」として活躍してくれるかもしれません。
浴室におすすめのフィルターは?
多くの浴室換気扇はもともと湿気やホコリを吸い込みやすい構造になっていて、追加のフィルターは必要な設計になっています。とはいえ「浴室暖房乾燥機付き」のタイプはフィルターを付けることで性能が下がることもあるので注意が必要です。
ただし、脱衣所と浴室がつながっていて洗濯物のホコリが多い場合は、通気性のいい薄手の不織布タイプをつけるのがおすすめです。
トイレは通気性のいいものを
トイレの換気扇にフィルターを付ける場合は、目が細かすぎると換気量が落ちるので、通気性のいい不織布タイプの物がいいでしょう。
だたし、フィルター自体は「補助」なので、換気扇自体の定期清掃も年に1〜2回は必要です。

キッチンでは有効だが、浴室やトイレでは湿気や臭いを悪化させることも。
掃除や代用方法で解決する工夫
フィルターを使わない場合でも、清潔に保つ工夫はあります。無理なく続けられる方法を取り入れると安心です。
定期的にファンやカバーを掃除する
フィルターを取りつけていない状態では、ホコリや油分が直接ファンやカバーに付着しやすくなります。だからこそ、こまめな掃除が欠かせません。
掃除といっても、大がかりな作業にする必要はありません。週に一度、乾いた布やマイクロファイバークロスで軽く拭くだけでも十分です。汚れが気になるときは、中性洗剤を含ませた布でやさしくふき取ると、見た目も手触りも清潔になります。
気づいたときにすぐ対応できるよう、掃除道具を近くに置いておくのも一つの工夫かもしれません。

100均アイテムを工夫して使う
市販の専用フィルターを使わなくても、身近なアイテムで代用するという選択肢もあります。例えば、不織布タイプの換気口フィルターや、通気性のあるキッチンペーパーなどは100円ショップでも手に入れやすいものです。
マグネットや面ファスナーで固定できるものなら、取り外しも簡単で掃除の手間も減らせます。特に「必要なときだけ使いたい」という方には、こうした軽量タイプのアイテムが扱いやすいでしょう。
環境や季節に応じて使い分けてみると、負担を感じずに続けられるかもしれません。
定期掃除や100均アイテムの活用で、フィルターなしでも清潔に保てる。
最後に
POINT
- フィルターは汚れを防ぐが、風量や換気性能を落とすリスクもある。
- キッチンでは油対策として有効だが、定期交換が前提条件。
- 浴室は湿気を逃す構造が大切で、フィルターがあるとカビを助長する。
換気扇フィルターは「つけない方がいい」とされる場合もあれば、設置が役立つ場面もあります。大切なのは家庭環境に合わせた判断です。掃除や代用を工夫しながら、清潔で快適な空間を保ち続けることが、毎日の安心につながるでしょう。
TOP・アイキャッチ・吹き出し画像/(c) Adobe Stock

監修
堂本章弥(どうもと ふみや)
株式会社Atelier Box代表取締役。
リフォームやインテリアの提案を通して、お客様に豊かなライフスタイルを提供している。増改築相談員、インテリアデザイナー、空間ディスプレイデザイナー1級の資格を保有。趣味は建築物巡り。国内問わず毎年数回は旅行をし、旅先の建築物や町の雰囲気を満喫している。
構成・執筆/京都メディアライン
あわせて読みたい


