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キッチンの換気扇が汚れる原因
換気扇は、気づくと油などの汚れでギトギトになってしまっているものです。少し拭いたくらいでは簡単に落とせない、この汚れの原因は一体何なのでしょうか。
蓄積された油汚れとほこり
換気扇のギトギト汚れの原因は「油汚れ」と「ほこり」です。
通常、換気扇はコンロの真上に付いており、調理中に使用するものです。特に炒め物や揚げ物など油を使った料理をすると、油を含んだ水蒸気が発生し、換気扇に吸い込まれていきます。
すると、水蒸気が通過した外側のフィルターや内部のファン、モーターなどに蒸発した油が付きます。付着した油を含んだ水蒸気は時間の経過とともに空気によって冷やされ、再び油に戻って固まってしまうのです。そして、油を使って調理するたびにこれを繰り返すことで、油汚れはどんどん蓄積していきます。
さらに、この油汚れに空気中のほこりやごみがくっつくと、黒い塊となって張り付いてしまうのです。これが、換気扇の汚れの正体です。
換気扇の汚れをそのまま放置すると?
原因を知ったところで、換気扇の掃除をやはり面倒に感じ、なかなかやる気になれない人もいるのではないでしょうか。
しかし、汚れたままの換気扇を放っておいても、百害あって一利なしです。換気扇を掃除せず、そのままにすることで発生するリスクについて紹介します。
カビが発生する
火だけでなく、水も使うキッチンは家の中でも湿気が高くなりやすいところです。換気扇にたまった汚れをそのまま放置すると、効率よく換気ができなくなり、湿気が余計にたまります。
湿度の高い環境では雑菌が増えやすくなるだけでなく、汚れた換気扇には油汚れという餌も豊富にあるため、カビが発生しやすくなります。
また、そんな状態の換気扇を稼働させると、部屋中にカビや雑菌をまき散らすことにもつながります。掃除をせずに放置していると、換気扇の中だけでなく、部屋の中まで不衛生な環境になってしまうのです。
電気代が高くなる
油汚れは、フィルターや換気扇内のファンやモーターに付着します。掃除をせずにそのまま放置すると、フィルターが油汚れで詰まり、空気の通り道が限られるため、換気の効率が悪くなってしまうのです。
さらに、ファンに付いた油汚れは動作を鈍らせてしまい、その結果換気扇を稼働させても換気が十分にできなくなります。
また、汚れているファンを回転させることでモーターに余計な負担がかかり、電気代が高くなってしまうかもしれません。
故障や火事の原因になる
換気扇を汚れたまま稼働させると、モーターに余計な負担がかかります。それでも掃除をせずに使い続けると、大きすぎる負荷のために、故障に至ることもあるでしょう。
さらに、換気扇を汚れたまま使い続けると、火事の原因にもなり得ます。揚げ物をしているときなど、何かの拍子に火が大きく燃え上がってしまうと、フィルターに付着した油汚れに引火する危険性があります。
また、調理中に熱によって付着した油が液状化し、ガスコンロの上に落ちることで引火する危険性も考えられます。換気扇を掃除せず、汚れたままの状態で放っておくと、時に命の危険すらあるのです。
掃除するときの注意点
換気扇の掃除を始める前に、必ず行うべき注意点が二つあります。どちらもとても大切なことなので、なぜ必要であるかをしっかりと確認し、必ず行いましょう。
作業前にブレーカーを落とす
掃除を始める前に、必ず換気扇のブレーカーを落としましょう。
換気扇を掃除していると、意図せずしてスイッチをオンにしてしまうこともあり得ます。高速で回転するファンに触れることは非常に危険で、大怪我をする可能性もあるでしょう。
作業中の事故を防ぐためにも、換気扇はスイッチをオフにするだけでなく、ブレーカーを落としてから掃除をしなければ安全とはいえません。
もちろんブレーカーを落とすのは換気扇部分だけで問題ありません。また、コンセントで給電している場合は、コンセントを抜くだけでも十分です。
周りを汚さないように養生する
換気扇を掃除すると、油汚れが下に垂れたり、水が飛んだりして周りを汚してしまうものです。掃除を始める前に、換気扇回りを養生して汚れるのを防ぎましょう。
ガスコンロの上や壁は、新聞紙かビニールを養生テープで貼って保護します。さらに床にも新聞紙かビニールを敷いておきましょう。ガスコンロのすぐそばにシンクがある場合は、シンクもビニールや大きめのごみ袋を切り開いたもので覆っておくのがおすすめです。
面倒な作業かもしれませんが、きちんと養生しておくことで、後の片付けや掃除がずいぶん楽になります。
換気扇別のパーツの外し方
換気扇は「シロッコファン」と「プロペラファン」という大きく2種類のタイプに分類されます。
それぞれパーツの外し方が異なるので、キッチンに設置されている換気扇のタイプを確認し、正しい手順で外しましょう。
シロッコファンの場合
シロッコファンには、ボタンを押せば簡単に外せるワンタッチタイプと、ネジを外して取り出すタイプがあります。ワンタッチタイプの取り外しはボタンを押すだけと簡単なので、ここでは、ネジを外すタイプのシロッコファンを取り外す手順を紹介します。
シロッコファンがフィルターやカバーで覆われていて見えない場合は、覆っているものを取り外すことから始めましょう。ドライバーを使ってネジを外すか、ストッパーを押し上げて外し、ファンが見える状態にします。
ファンが見えたら、回りのカバーに付いているネジを外しましょう。ネジはドライバーなどの道具を使わなくても、手で取れるものが多くなっています。
続いて、ファンの中心に付いているネジを回して外します。ネジが外せたら、シロッコファンを引き出しましょう。ファンは、油汚れで滑りやすいため、必ずゴム手袋をして取り出します。外した部品はなくさないように気を付けて置いておきましょう。
プロペラファンの場合
プロペラファンは、簡単に取り外せることが多いでしょう。まずは、プロペラファンのカバーを外します。はめ込み式になっていることが多いので、手前に引っ張れば簡単に外せるはずです。
カバーが外せたら、片手でプロペラを抑えながら、中心に付いているつまみを回して緩めます。大抵の場合、プロペラに「ゆるむ」という表記があり、回す方向が分かるようになっているので、それに従って回しましょう。
プロペラに表記がない場合は、取り扱い説明書を確認するとよいでしょう。
換気扇の掃除方法
パーツを分解できたら、いよいよ換気扇の掃除を始めましょう。換気扇の掃除は、主に「重曹」を使って行います。弱アルカリ性の重曹を使えば、酸性の油汚れがするりと簡単に落とせます。
用意するもの
換気扇を掃除するのに、用意しておくべきものには、以下のようなものがあります。
・ゴム手袋
・重曹
・スポンジ、または歯ブラシ
・浸け置き用の容器
まず、手荒れや怪我を防ぐためにも、ゴム手袋は必ず用意しましょう。
換気扇の汚れは、スポンジや歯ブラシを使っても落とせますが、重曹を溶かした水に浸け置きするのが効果的です。浸け置き用に、換気扇がすっかり浸かるくらいの大きさの容器を用意しておきましょう。
適当な大きさの容器がない場合は、45lサイズのごみ袋を二重にしたものでもOK。また、重曹は、かなりの量を使うことになるので、多めに用意しておきましょう。
重曹で浸け置き洗いをする
換気扇の汚れを落とすには、重曹を溶かした水で浸け置き洗いをするのが効果的です。以下の手順で行いましょう。
1.50~60℃くらいのお湯を浸け置き用の容器にためる
2.お湯に1/2カップ分の重曹を入れて、溶かす
3.外した換気扇のパーツを、重曹を溶かしたお湯へ浸ける
4.1~2時間ほど浸け置きする
浸け置きは、水よりもお湯で行う方が汚れはよく落ちます。しかしお湯の温度が高すぎると、重曹が弱アルカリ性ではなく、強アルカリ性に変質してしまうので注意しましょう。
外せないパーツは重曹水で拭く
換気扇内部の取り外せないパーツやレンジフードなどは、重曹水で拭きましょう。重曹水とは、水100mlに対し、小さじ1杯分の重曹を溶かしたもののこと。スプレーボトルに入れて使うと便利です。
重曹水を準備したら、取り外せないパーツにスプレーし、スポンジで軽くこすって汚れを落とします。
また、レンジフードは、重曹水をスプレーした上にキッチンペーパーを貼ってパックするのがおすすめです。5~10分ほど置いておけば油汚れが落ちやすくなっているので、水をしぼった布巾などでふき取りましょう。
乾燥させてから取り付ける
重曹水に浸け置きしていた部品は、1~2時間ほど経ったら取り出して水洗いします。こびり付いていた油汚れが浮いた状態になっているので、スポンジで軽くこするだけで、残った汚れを簡単に落とせるでしょう。
汚れが落ちたら、水でしっかりすすぎます。すすぎ残しがあって重曹が残ったままだと、乾燥したときに白い粉が浮き上がってしまうので、念入りにすすいでおきましょう。
最後にしっかり乾燥させて、パーツを元の位置に取り付け、ブレーカーも戻せば掃除は完了です。
きれいな換気扇をキープするコツ
せっかく掃除をしてきれいにした換気扇は、できるだけ長くきれいな状態をキープしたいものです。換気扇の汚れは上手にアイテムを取り入れることで、ある程度は予防できます。
汚れ防止アイテムを使う
外付けフィルターやコーティング剤といった汚れ防止アイテムを使えば、簡単に換気扇を汚れにくくすることができます。
外付けフィルターは、フィルターの上にかぶせることで、換気扇に汚れが付かないよう保護してくれるものです。100円ショップなどでも手に入れることができ、汚れたら取り換えるだけなので簡単に取り入れられます。ただし、フィルターを覆ってしまうため、換気の効率が多少落ちることがデメリットです。
また、換気扇用のコーティング剤をフィルターに吹きかけるのも効果的でしょう。使い方は、換気扇を掃除した後に、15~20cmほど離したところから換気扇に吹きつけるだけです。換気扇だけでなく、壁やガスコンロにも使えるため、キッチンの汚れやすい場所を油汚れから守ってくれます。
商品名:スコッチ・ブライト™ 換気扇コーティングスプレー KPCS-280
定期的に掃除をする
換気扇をきれいな状態にキープするためには、定期的に掃除をするのが望ましいです。
理想の頻度は、1~3カ月に1回。こまめに掃除すると、換気扇に付いた油が固まりきっていないことが多いので、簡単に汚れを落とせます。
そうはいっても、換気扇掃除にかかる時間や手間を考えると、忙しい人にとってはなかなか実践しづらい頻度です。実際には、半年から1年に1回掃除できればよし、とされていることが多いでしょう。年末の大掃除と、梅雨明けごろを目安に掃除できれば十分です。
自分で掃除できない場合は業者に依頼
換気扇掃除をする時間をどうしても取れそうにない場合は、プロに依頼するのがおすすめです。業者に依頼すれば、自分で掃除するよりもきれいになります。
クリーニング料金の目安
換気扇のクリーニング料金は、換気扇のタイプによって違います。金額の目安は以下のとおりです。
・プロペラタイプの場合:7000~1万2000円ほど
・レンジフードタイプ(シロッコファン)の場合:、1万3000円~1万7000円
レンジフードの場合は、プロペラタイプに比べて部品の数が多いため、料金は少々高くなります。また、業者によって、技術や使用する洗剤が異なり、その分料金が異なります。
さらに、クリーニング料金の他に、駐車場代などの諸費用がかかることもあるので、依頼する前に見積もりを取っておくと安心です。
業者選びのポイント
業者を選ぶ際は、いくつかチェックすべきポイントがあります。
まずチェックすべきは、価格です。もちろん低料金であるほどうれしいものですが、あまりにも安く価格を設定している業者は、サービスの質が悪かったり、十分な技術がなかったりすることがあります。他社よりも大幅に安い業者は注意した方がよいでしょう。
次に、実績やスタッフの技術力も確認しておきたいところです。業者のホームページを見れば、これまでの実績や、スタッフにどんな研修を行っているかなどを紹介しているところも多いので、参考にしましょう。併せて、口コミをチェックしておくことも大切です。実際に利用した人の声を聞くことで、本当に信用できる業者かどうかの指標になります。
さらに、万が一のときに備えて、賠償責任保険に加入しているかどうかも確認しておきましょう。換気扇は機械ですので、掃除によって故障してしまうこともあります。また、作業中にスタッフが部屋のものを誤って壊してしまう可能性もゼロではありません。賠償責任保険に加入していれば、そういった場合にきちんと保証してもらえるので安心です。
特に、料金が安い業者の場合は保険に入っていないこともあるので、必ず確認するようにしましょう。
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