「趣旨」と「主旨」の違いとは？ 意味・使い方・ビジネス例文を分かりやすく解説

「趣旨」と「主旨」、どちらも似たイメージを持つ言葉ですが、使い分けに自信がないと感じたことはありませんか？ 本記事では、それぞれの意味と具体的な使用例、誤用しやすい表現まで網羅的に整理します。今日から使える知識として生かしてください。

「趣旨」と「主旨」の意味を正しく理解するための基本知識

まずは、「趣旨」と「主旨」それぞれの意味と使い方を確認しておきましょう。一見似ているこの2語ですが、使われる場面や含まれるニュアンスが少し異なります。

「趣旨」の意味

「趣旨」という言葉は、活動などの中心となる事柄の目的や理由を指します。辞書では次のように説明されていますよ。

しゅ‐し【趣旨】
１ 事を行うにあたっての、もとにある考えや主なねらい。趣意。「会社設立の―を述べる」
２ 文章や話などで、言おうとする事柄。趣意。「話の―が伝わらない」
引用：『デジタル大辞泉』（小学館）

実務の場では、企画書・案内文・会議説明などで「行動の背景」や「意図の説明」をする際に使われることが多い言葉です。

例：「本イベントの趣旨をご理解のうえ、ご参加ください。」

「主旨」の意味

「主旨」は、発言や文章の中で最も伝えたい中心的な事柄を表す言葉です。辞書では、次のように説明されています。

しゅ‐し【主旨】
考え・文章・話などの、中心となる事柄。主意。「論文の―をつかむ」
引用：『デジタル大辞泉』（小学館）

「趣旨」と「主旨」の違い

「趣旨」と「主旨」の共通する意味としては、「文章、活動などの中心となる事柄」だということが挙げられます。ただし、「趣旨」は、目的・理由という意味を含みますが、「主旨」には、その意はなく、単に内容の中心となる事柄のみをいいます。

要旨・目的・概要との混同に注意する

「趣旨」「主旨」と似た言葉に、「要旨」「目的」「概要」があります。それぞれの意味を整理しておきましょう。

「要旨」：発表や論文の要点をまとめたもの
例：「発表の要旨を配布します」

「目的」：行動や計画が目指す到達点
例：「売上向上を目的として実施する」

「概要」：内容を大まかにまとめたもの
例：「会議の概要を共有します」

これらを混同すると、伝えたい意図がずれてしまう可能性があるので注意しましょう。

参考：『使い方の分かる 類語例解辞典』（小学館）

「趣旨」は目的・理由という意味を含む。

「趣旨」と「主旨」の違いを例文でチェック

「趣旨と主旨のどっちを使えばいいか？」はよく検索されているように、多くの人が混乱しています。ここでは、両者の違いを具体的な例文を通して確認していきましょう。

「趣旨」を使った例文と解説

「趣旨」を使う際は、「目的」や「理由」という意味を含むのが特徴です。

このイベントの趣旨をご理解のうえ、ご参加ください。

「なぜこのイベントを行うのか」という目的・背景を理解してほしいという意味。「趣旨」は行動や企画の意図を説明する際に使われます。

会議の趣旨を踏まえて、各部署の提案をまとめてください。

「会議を開く目的」や「何のための議題なのか」という意図を共有したいときに使う表現です。「趣旨を踏まえる」はビジネスでも頻出のフレーズ。

このプロジェクトは、地域活性化を目的とする趣旨で立ち上げられました。

プロジェクト設立の「根本的な目的・理念」を表しています。組織や事業の説明文に多く用いられる用法です。

「主旨」を使った例文と解説

「主旨」を使う際は、内容の中心となる事柄に焦点を当てます。

講演の主旨を短くまとめて報告してください。

講演内容の「最も伝えたかったメッセージ」を要約するという意味。報告書や議事録でよく使われる用例です。

本件メールの主旨は、日程変更のご連絡です。

メールの「伝えたい中心となる内容」を指しています。ビジネス文書では、「主旨は〜です」と明示することで誤解を防げます。

彼の発言の主旨は、現状を見直す必要があるということだった。

会話や議論の中での核心的な意見を指します。文脈を整理したりまとめる際に使う表現です。

迷ったときの判断軸と使い分けのヒント

多くのビジネスパーソンが「趣旨か主旨かで迷う」と感じています。ここでは、直感に頼らず適切に言葉を選べるよう、判断の軸や実践的なヒントを紹介します。

「意図を説明したい」なら趣旨、「要点を述べたい」なら主旨

まず意識したいのは、「趣旨＝目的・意図」「主旨＝内容・要点」という基本構造です。つまり、「なぜ行うのか」「どんな狙いで進めるのか」を説明するときは「趣旨」、「何を伝えたいのか」「どんな内容なのか」をまとめるときは「主旨」を選びます。

例えば、会議開催の案内文では、「本会議の趣旨をご確認ください」と書くのが自然です。ここで伝えたいのは、会議を開く目的だからです。

一方、議事録や報告書では、「社長の発言の主旨をまとめました」というように使います。この場合は、話の中心となる内容を整理する意図があります。

迷ったときの考え方

迷ったときは、次のように考えるとスムーズです。

・行動・企画・イベントなど「目的」を伝えたい → → 趣旨
・話・文章・説明など「内容の要点」を示したい → → 主旨

この区別を頭の片隅に置いておくと、文書作成や会話の中でも自然に使い分けられるようになります。

特にビジネスメールや企画書など、言葉の選び方ひとつで印象が変わる場面では、丁寧に使い分けたい表現です。

最後に

「趣旨」と「主旨」の違いを正しく理解し、文脈に応じた言葉を選ぶ力は、日常業務の精度を高める大きな助けとなります。ぜひこの記事を参考の一つにしてください。

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