Summary
- 「物言えば唇寒し秋の風」は、不用意な発言が災いを招く戒めの言葉。
- 俳人・松尾芭蕉の句に由来し、後にことわざとして広まった。
- 発言後に残る「後味の悪さ」や「気まずさ」を秋風の冷たさにたとえている。
「物言えば唇寒し秋の風」という言葉を耳にして、「なんとなく寂しい雰囲気だな」と感じる人も多いはず。でも、実際の意味や背景、どんな場面で使うべきかまで考えたことはあるでしょうか?
この記事では、意味や由来に加え、現代のコミュニケーションに生かすための使い方までわかりやすく解説します。
「物言えば唇寒し秋の風」の意味や由来とは?
「物言えば唇寒し秋の風」を見かけたとき、「俳句かな?」「ことわざ?」と感じる人も少なくありません。まずは意味や由来を押さえ、言葉の持つ本質を正しく理解しておきましょう。
「物言えば唇寒し秋の風」の意味
「物言えば唇寒し秋の風」とは、発言によって自らに災いがふりかかるおそれがあることを表す句です。思ったことをそのまま口にすると、後悔や気まずさが残るという場面に通じる表現でもあります。
辞書では次のように説明されていますよ。
物(もの)言(い)えば唇(くちびる)寒(さむ)し秋(あき)の風(かぜ)
《芭蕉の句から》人の短所を言ったあとは、後味が悪く、寂しい気持ちがする。転じて、何事につけても余計なことを言うと、災いを招くということ。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

由来は、芭蕉の句
「物言えば唇寒し秋の風」は、俳人・松尾芭蕉によって詠まれたものです。芭蕉はこの句に「座右の銘」と題して前書きを添え、しばしば門人たちに書き与えたと伝えられています。
のちに「秋の風」の語が省かれ、ことわざのような形式となって広く世に知られるようになりました。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
この言葉が響く瞬間とは?|現代の人間関係にも通じる気配り
発する言葉ひとつで空気が変わることは、家庭でも職場でもよくあります。「物言えば唇寒し秋の風」という表現には、思わず口にしたあとに残る気まずさや、沈黙を選ぶことで守られる関係性が映し出されているかのようです。
日常のさまざまな場面で、この言葉が持つ感覚に共感できるでしょう。
言葉に敏感になる場面でこそ使いたい|家族・職場・SNSでの共通感覚
家庭では、親しい相手に対して余計な一言が空気を冷やしてしまうことがあります。職場でも、立場の違いや上下関係の中で不用意な発言をすれば後悔につながります。SNSでは短い言葉が思わぬ誤解を招き、心に冷たい風が吹くように感じられることもあるでしょう。
そうなる前に「物言えば唇寒し秋の風」を自戒の言葉にすれば、慎重さや気配りの大切さを思い出させてくれるでしょう。

類語「口は禍(わざわい)のもと」
「口は禍の元」とは、不用意な発言が自らに災いを招くことを表すことわざです。言葉は慎むべきだという戒めの意味もあります。「口は禍の門」ともいいますよ。
「物言えば唇寒し秋の風」の類語だといえますね。
最後に
POINT
- 「物言えば唇寒し秋の風」は、不用意な発言を戒める芭蕉の句。
- 意味は「発言のあとに後悔や寂しさが残る」こと。
- 「口は禍の元」と同様に、言葉選びが信頼を生むことを示す句。
「物言えば唇寒し秋の風」は、慎みや配慮の心をそっと伝える言葉です。何気ない発言が人間関係を左右する現代において、あえて言葉を選ぶ姿勢が信頼をつくるものですよね。
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Domani編集部
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