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WORK 雑学

2025.11.19

「故郷へ錦を飾る」の意味と使い方|言葉の背景と生かし方

「立派になって帰ってきたね」―… そんな言葉にぴったりなのが「故郷へ錦を飾る」。 ただの「出世」ではなく、育ててもらった土地や人への感謝を込めて帰るという、 温かく誇らしい意味を持つ表現です。この記事では、この言葉の意味・由来・使い方・似た言葉との違いを丁寧に解説し、現代でも自然に使えるシーンを紹介します。

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Summary

  • 「故郷へ錦を飾る」は、出世して立派に故郷へ帰ることを意味する言葉。
  • 由来は中国古典にある。
  • 「出世」や「成功」との違いは、「故郷入りする」「故郷へ帰る」という行動が伴う点。

「立派になって帰ってきたね!」と声をかけられるような場面で使われる「故郷へ錦を飾る」という言葉。知っているつもりでも、語源や本来の意味、使い方に自信が持てないという人も多いのではないでしょうか?

「故郷へ錦を飾る」が持つ背景と実用的な生かし方を整理し、表現の幅を広げていきましょう。

「故郷へ錦を飾る」とはどんな言葉?

まずは、「故郷へ錦を飾る」の意味と背景から見ていきましょう。

「故郷へ錦を飾る」とはどんな言葉?
  1. 「故郷へ錦を飾る」の意味
  2. 語源は?

「故郷へ錦を飾る」の意味

「故郷へ錦を飾る」は「こきょうへにしきをかざる」と読み、故郷を離れていた人が出世を遂げ、晴れがましい姿で地元に戻ることを表す言葉です。辞書では次のように説明されています。

故郷(こきょう)へ錦(にしき)を飾(かざ)・る
故郷を離れていた者が、立身出世して晴れがましく故郷へ帰る。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「故郷へ錦を飾る」には、単に「成功した」という事実だけでなく、「自分を見守ってくれた人に成果を見せたい」「育ててもらった土地に恥じない姿で帰りたい」といった、誇りと感謝の気持ちが込められているともいえます。

紹介する男性
(c)Adobe Stock

語源は?

語源としては、『史記‐項羽本紀』『漢書‐朱買臣伝』に「富貴不帰故郷、如衣繍夜行」とあったり、『南史‐劉之遴伝』には「故令卿衣錦帰郷、盡栄養之理」とあります。

日本でも古くは「錦を着て帰る」という表現が使われており、江戸中期以降に「飾る」という形に変化しました。

参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

「錦を着て帰る」は出世後に立派な姿で故郷へ帰る、誇りを込めた言葉。

使いどころを考える|この言葉が生きる場面

どのような状況で「錦を着て帰る」がしっくりくるのかを知ることで、語彙として定着しやすくなります。実際の使い方や、自然な取り入れ方のヒントを具体的に見ていきましょう。

どんな場面で使うと効果的か?

「故郷へ錦を飾る」は、人生の節目にふさわしい言葉です。昇進や栄転の報告として地元に戻るとき、出張や講演などで久々に故郷を訪れる場面など、目に見える成果とともに帰るときに用いられます。

また、Uターン就職や地元メディアへの登場といった文脈でも使われることがあり、その人の歩みと地域との関係性が強く感じられる場面に馴染みます。

以下では、例文とともに解説を紹介していきましょう。

優勝トロフィー
(c)Adobe Stock

十年ぶりに社長となって地元へ帰った彼は、まさに故郷へ錦を飾ったといえる。

長年の努力の末に成功し、立派な姿で故郷に戻る様子を表す典型的な使い方。「錦」は立身出世や栄誉の象徴であり、「飾る」はその成果を示す比喩。現代でも「成功して地元に帰る」意味で使われます。

海外での研究成果が認められ、教授に就任して帰国した彼女は、まさしく故郷へ錦を飾った形だ。

海外など外の世界で実績を積み、それをもって故郷に戻る場面。語尾を「形だ」とすることで、柔らかく使えます。学問の世界でも自然に使える用例ですね。

彼は有名チームのレギュラーとなり、凱旋試合で地元球場に立った。観客の歓声の中、故郷へ錦を飾る瞬間だった。

スポーツ選手や芸能人など、故郷に帰って成果を見せる場面で使うことができます。「凱旋(がいせん)」との組み合わせで、より華やかな印象になりますね。

似た表現とどう違う?|誤用や混同を防ぐために

意味が似ている言葉と比べることで、「故郷へ錦を飾る」が持つ独自のニュアンスがより深く見えてきます。場面に合った使い分けの感覚をここで整理しておきましょう。

「出世する」や「成功する」との違い

「出世」や「成功」は、一定の成果や地位の向上を意味する言葉です。それに対して「故郷へ錦を飾る」は、そうした成果を得たうえで、「故郷入りする」「故郷へ帰る」という行動が伴う点に特徴があります。

つまり、この言葉には「成し遂げたことを、帰ることで示す」という含みがあるといえますね。どこで何を成し遂げたかだけでなく、それを誰に、どこで伝えたいか… その「帰る先」の存在が、この表現を特別なものにしています。

飛び跳ねる女性
(c)Adobe Stock

「凱旋」との違いに注意

「凱旋(がいせん)」は、戦いや競技などで勝利をおさめ、威風堂々と戻るという意味を持つ言葉です。もともとは軍事的な文脈で使われることが多く、勝利の成果そのものに重点が置かれています。

「凱旋」は勝利を誇る語。

最後に

POINT

  • 「故郷へ錦を飾る」は、立身出世して故郷へ帰ることを意味する言葉。
  • 中国の古典『史記』『漢書』『南史』などが語源。
  • 「出世」「成功」との違いは、「故郷入りする」「故郷へ帰る」という行動が伴う点。

「故郷へ錦を飾る」は、単なる成功体験を語る言葉ではありません。育ててもらった土地や人とのつながりを含んだ、感謝や誇りを表現する語です。どんな場面で、誰のために使うかによって、その印象は大きく変わるでしょう。言葉の持つ背景を理解し、自分らしい語彙として生かしてみてください。

TOP・アイキャッチ・吹き出し画像/(c) Adobe Stock

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Domani編集部

Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
https://domani.shogakukan.co.jp/

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