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WORK 雑学

2025.11.19

「儚い」とはどういう意味?由来や言い換え表現も紹介

日本語の繊細で美しいニュアンスを表現する「儚い」ですが、何と読むのかわからないという人もいるかもしれません。本記事では「儚い」の読み方や意味を、例文を交えつつ解説します。言葉の由来や日本文化との関係を知ると理解が深まり、会話の幅もより広がりますよ。

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「儚い」とはどういう意味か?

たんぽぽの綿毛が飛んでいっている写真
(c)Adobe Stock

「儚い」には、ネガティブな意味とポジティブな意味があります。まずは読み方や使い方、日本で昔から使われてきた「たとえ」を紹介します。

「儚い」の意味

「儚い」の読み方は「はかない」です。もともとの意味は「あっけなく消えていくさま」「頼りにならないさま」といった、ネガティブなニュアンスを持つ言葉といえるでしょう。

【例文】
・大金を投じた事業の成功は儚い夢に終わり、多額の負債を抱えた
・子供のころの儚い願いはかなわず、厳しい現実だけが目の前に広がった

「儚い(はかない)」の由来ですが、「はか」は計や量と同じ語源で「一定の量や単位」「目当てやよりどころ」を意味するという説があります。儚いは「はか」がない、よりどころがないというところから「頼りにならない、むなしい様子」を表すようになったと言われているそうです。

はか‐な・い【▽果無い/果=敢無い/×儚い】
[形][文]はかな・し[ク]
1 束の間であっけないさま。むなしく消えていくさま。
2 不確実であったり見込みがなかったりして、頼りにならないさま。
3 めどがつかない。見通しがはっきりしない。
4 甲斐がない。無駄である。
5 取り立てていうほどではない。取るに足りない。
6 思慮分別が足りない。未熟である。また、愚かである。
7 粗末である。みすぼらしい。
小学館『デジタル大辞泉』より引用

派生したポジティブな「儚い」の意味

現在では、「儚い」を「(消えそうなほど)淡く透明感がある」「(すぐに壊れてしまいそうなほど)繊細で美しい」などのポジティブな意味でも使います。

【例文】
・儚げなガラス細工は、光を浴びて美しい輝きを放っている
・満開の桜の儚い美しさは、多くの人の心を強く惹きつける
・彼は命の儚さと尊さを知っているからこそ、今を大切にする

これは他国の言葉ではあまり見られない用法で、儚いものに美を見出す日本独自の感性に由来すると考えられるでしょう。

日本文化に見る儚さのたとえ

日本文化には、身近なたとえで「儚さ」を表した語句が見られます。以下の言葉はすべて、消えやすく儚いものを意味するものです。

・石の火(いしのひ):火打ち石をこすったときに出る火花のこと
・夕電(せきでん):夕方に見られる稲光のこと
・水沫(みなわ):水の泡のこと
・風口の蝋燭(かざぐちのろうそく):風の当たる場所に置かれたろうそくのこと
・言葉の露(ことばのつゆ):言葉の美しさ、はかなさを露にたとえたもの

これらの比喩表現からも、背景にある日本人の自然観や美意識がうかがえます。

「儚い」の言い換え表現

夕暮れにシャボン玉を吹いている女性の写真
(c)Adobe Stock

「儚い」と似たような意味を持つ言葉は、「無常」「一炊の夢」「うたかた」などです。それぞれの言葉の背景やニュアンスを押さえておき、ふさわしいシーンで使えば相手に一目置かれるかもしれません。

「儚い」の言い換え表現
  1. 無常
  2. 一炊の夢
  3. うたかた

無常

無常は仏教用語から来た言葉で、この世の物事はすべて生まれては滅び、常に移り変わっていくことをいいます。特に、人生の儚さを表現するときによく使われ、「諸行無常」などといいます。

【例文】
・人の世の無常を嘆いても、時間の流れを止めることは誰にもできない
・諸行無常の理(ことわり)は、平家物語の冒頭にも記されている

日本では、四季による自然や生活の移り変わりが身近であり、地震・台風などの災害も多いことから独自の無常観が発展しました。

桜が散る姿に風情を感じるように、物事の変わりゆく姿に美しさを見る感性が「儚さ」にポジティブなニュアンスを与えたと考えられます。

一炊の夢

「一炊(いっすい)の夢」は、唐の時代に書かれた中国小説『沈中記(ちんちゅうき)』に由来することわざです。

小説では、ある青年が旅の途中、邯鄲(かんたん)という町の近くで宿を取り昼寝をします。彼は夢の中で大出世し、子や孫も増えて老人になるのです。

ところが目覚めてみると、黄粱(きび)が炊き上がらないくらいの短い時間しか経っていませんでした。つまり「一炊(いっすい)の夢」は、栄枯盛衰は夢のように儚いものであることをたとえています。

【例文】
・華やかな成功も、時が経てば一炊の夢のように忘れられるだろう
・彼は巨万の富を得たが、一炊の夢と消え、すべてを失ってしまった

正式には「黄粱(こうりょう)一炊の夢」といい、「邯鄲の夢」「黄粱の夢」とも呼ばれます。

うたかた

「うたかた」とは水面に浮かんだ泡のことで、そこから泡のように儚く消えやすい様子を指します。

【例文】
・彼はうたかたの栄華をつかんだが、それをすぐに失い、人生の儚さを知った
・この世の苦しみも喜びも、すべてはうたかたの出来事として受け入れよう
・青春の輝かしい日々はうたかたのように過ぎ去り、今となっては遠い記憶となった

うたかたは「泡沫」とも書きます。泡沫は中国から来た言葉で、泡も沫も「あわ」のことです。ちょうど同じ意味なので「うたかた」の漢字に当てられました。

「儚い」の反対の意味を持つ言葉

惑星と宇宙のイメージ画像
(c)Adobe Stock

「儚い」と反対のニュアンスを持つ言葉、「永遠」「したたか」もチェックしておきましょう。それぞれどのような意味や使い方があるのか、例文とあわせて見ていきます。

「儚い」の反対表現
  1. 永遠
  2. したたか

永遠

「儚い」が短い時間で消えてしまう様子ですので、その反対語は「永遠」です。永遠とは「いつまでも果てしなく続くこと」「時間を超えて存在すること」をいいます。

【例文】
・恋人たちは愛の誓いを交わし、この気持ちが永遠に続くことを願った
・名作とは、時代を超えて人々の心を打ち、永遠に価値を持ち続ける作品をいう
・雄大な大自然を前にして、永遠の時の流れと人間の小ささを感じた

永遠は、宇宙や時間のように延々と続くもののほか、愛や絆といった関係性や芸術・文化の価値を表現するときによく使われます。

したたか

「儚い」には頼りなさという意味もあり、その場合の反対語は「したたか」です。したたかとは「しっかりしているさま」「確かなさま」「簡単には屈しないさま」といった意味です。

【例文】
・激しい競争社会を生き抜くには、冷静でしたたかな戦略を練る能力が必要だ
・彼は、難しい局面でも決してあきらめず、したたかな交渉術で有利な契約を勝ち取った

「したたか」には「たくましい」といったポジティブなニュアンスと、「ずる賢い」というネガティブなニュアンスがあります。会話や文章では、どちらの意味で使われているのか注意が必要です。

まとめ

  1. 「儚い」は「すぐ消えて頼りにならない様子」を表す

  2. 日本的な使い方として、繊細で美しいというニュアンスにもなる

  3. 言い換え表現には「無常」「うたかた」などがある

日本文化では、「物事はすべて移り変わるもの」という世界観が強く意識されてきました。花は咲いてもやがて枯れ、誰もがいつかは死んでしまう…そんな物事の見方が根付いているのです。このような世界観から、「儚さ」に美を見出す日本独自の感性が生まれたといえるでしょう。

メイン・アイキャッチ画像/(c)Adobe Stock

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Domani編集部

Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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