阿豆佐味天(あずさみてん)神社の境内社にあるもうひとつの神社
通称「猫返し神社」があるのが、東京都立川市にある阿豆佐味天(あずさみてん)神社。ここは立川市と合併する前の砂川町の鎮守さまとして地域の発展を見守ってきた神社で、医薬・健康・知恵の神「少彦名命」と、神事を司り文化芸術を成す神「天児屋根命」の2柱。境内社には安産・子授けの神様として崇められている立川水天宮がある。
境内社にもうひとつあるのが、蚕影神社(別名・猫返し神社)。
砂川地域は幕末以来桑苗生産と養蚕業が盛んだったため、1860年に筑波山麓から「蚕影神社」を境内に勧請し、養蚕の守り神として養蚕農家の信仰を集めてきた。1960年代から養蚕業は衰退したものの、1980年代に思わぬところで脚光を浴びることに。それは、近くに住むジャズピアニストの山下洋輔さんの愛猫がいなくなったときにこの神社にお参りに来たところ、猫が帰ってきたという出来事。山下さんが「猫返し神社」としてエッセイに紹介したことがきっかけで、全国の愛猫家から様々な願いが寄せられるようになったのだとか。さらに、猫は、養蚕の大敵であるねずみを退治することからもご利益があるとされているそう。
人気の絵馬は振り返る三毛猫ちゃんがモチーフ!
▲絵馬初穂料 ¥800
1992年頃より頒布。デザインは阿豆佐味天神社の禰宜さんの手によるもので、愛猫が無事に帰ってくるようにという願いが込められている。再度お参りに来たかたが「おかげさまで猫が戻ってきました」と報告してくれたり、お礼の手紙をいただくこともあるそう。猫の安否を心配する飼い主さんの気持ちに寄り添うよう、神社のかたも努めているのだとか。
「鳥居、遠くない?」(byぐ。)
鳥居を目指して帰ってきている途中の猫ちゃんなのかもね。
【DATA】
阿豆佐味天神社/立川水天宮
東京都立川市砂川町4-1-1
撮影/黒石あみ 構成/斉藤裕子