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偉そうに家事にダメ出しをしてくる夫に、イライラ…【桃山商事・清田隆之さんの男心のトリセツ】<お悩み>家庭にも仕事のようなクオリティを要求する夫。もっと優しくしてほしい!
夫は仕事ができる人だと尊敬していますが、家庭内にも仕事のような効率性・合理性・生産性を求めてきます。ときには、優しさのかけらもない発言に、傷つき、腹立つことも…。例えば、「そんなに掃除に時間をかける意味ある?」「家事が大変って言うけどもっと効率的にできないの?」etc.・・・。妻や子どもには、仕事とは違う姿勢で接してほしいと思うのはいけないことでしょうか?(36歳・会社員・既婚・2歳男児)
<お答え>見せかけの〝できる夫〟に騙されないで!
効率性・合理性・生産性を考えること自体は悪いことじゃないと思いますが、夫さんの言い方や態度はちょっとひどいですよね…。さらに問題なのは、「仕事のできる夫がダメ出しをしてくる。つまり、私は非効率でダメな人間なのだ」と、相談者さんが思いこんでしまっている可能性があるという点。夫のダメ出しを真に受けて自尊感情を低下させてしまっているとしたら、これはれっきとしたモラハラだと考えます。
また、もしも本当に効率性を重んじているだとしたら、妻へのダメ出しは生産性の低下を招きかねないという点で「非効率」的ですよね。それよりもむしろ、現状の課題を一緒にあぶり出し、どこをどうすれば改善されるのか、家事の分担や方法など具体的な提案をしながら考えていくほうがよほど効率的なはず。
そう考えると、夫さんは効率的でも合理的でもなく、単に相手を攻撃することが目的になっているのではないか疑惑が浮上してきます。これでもし夫さんが相応の家事分担を担っていなかったとしたら、結構な問題ですよね。
そもそも効率化という言葉の意味は、「プロセスから無駄なものを省き、よりスムーズに業務が遂行できるような状態にする」こと。つまり業務の全体量やひとつひとつのプロセスを把握していないと効率化の提案もできないわけです。夫さんがそれらを踏まえた上で、ダメ出しをしてきているのか、正直怪しいなというのが私の考えです。
家事や育児というのは想定外のハプニングの連続で、場当たり的に対応していくことが求められるものです。仕事のようにシステム化するのはなかなか難しく、マニュアル通りに進むと考えている人のほうが了見が狭いように感じます。それだけ大変なことを毎日やっているのだと、ぜひ自分を褒めてあげてください。
取材・文/島田七瀬(スタッフ・オン) 写真/黒石あみ
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「桃山商事」代表
清田隆之(KIYOTA TAKAYUKI)
1980年東京都生まれ。文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。早稲田大学第一文学部卒業。これまで1200人以上の恋バナを聞き集め、「恋愛とジェンダー」をテーマにコラムやラジオなどで発信し、幅広いメディアに寄稿。桃山商事としての著書に『生き抜くための恋愛相談』『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』(ともにイースト・プレス)、単著に『よかれと思ってやったのに──男たちの「失敗学」入門』(晶文社)など。