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LIFESTYLE インタビュー

2020.12.19

田中理恵さん「元気に生きられたら、それがいちばん。人と協力して助け合う気持ちを大切に」【女の時間割】

女には3つの顔、3つの時間がある…。元体操日本代表選手で、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事、日本体操協会理事として活躍しながら子どもを育てる田中理恵さんの3つの時間についてうかがいました。

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2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事、日本体操協会理事、元体操日本代表選手・33歳 
田中理恵さん

「女」時間

最近では体操協会の会議も体操がらみのイベントもオンラインが増えています。新しいやり方に奮闘しています 

「今、スポーツイベントや体操教室はどうしてもこれまでと同じようには開催しづらい状況です。それがオンラインで実現できるのは喜ばしいことですよね。子どもたちと直接触れ合える日まではこの形でがんばってみます」 

 

「妻」時間

つくりおきはしない主義なんです。夫が早く帰れる日や休日に新鮮な食材を買って好物の和食をつくったり 

「うちのご飯は基本、和食。焼き魚や肉じゃがなど簡単なものが多いです。夫の帰宅時間がまちまちなので、家で食べる日を前もって聞いておき、それに合わせて買いに行きます。食材を毎日こまめに買うのも好きなんです」 

 

「母」時間

娘は朝からとても元気なので一緒にお散歩に行ってありあまるパワーを発散してもらっています(笑) 

「今2歳の娘は起きたときから元気いっぱい。休日はパパと遊びたくて起こしにいってしまうので、娘を朝の散歩に連れて行くことを思いついて実行してます。家の周りを歩くだけですが、母娘ふたりだけの楽しい習慣です」 

“現役復帰”というチャレンジで自分の大切な軸を見つめ直せました

アスリートの規則正しいルーティンな生活は、心身のコンディションを良好に保つことに適している。元体操日本代表選手の田中理恵さんの1日は、平日は朝6時、休日は朝7時にスタートして、夜は22時には早々と就寝をしてしまう。特徴的なのは毎朝必ず、家事を一気に片づける習慣をもっていること。

「現役時代は寮生活をしていたので、リズムのある生活が自然と体に馴染んでいるんです。子どもが出かけてぐちゃぐちゃになった部屋の片付けは、朝を逃したら絶対やる気が落ちますよね。だからこそ気合いを入れて片付けて、掃除や洗濯まで一気にすませてしまうんです。夜も見たい番組は録画しておき、撮ったものは朝食準備をしながらキッチンでラジオのように流し聞きをしています(笑)。 

選手時代は時間自分のために使っていました。でも今は娘のために使いたい。仕事やプライベートな用事はすべて幼稚園に行っている間に終わらせると決めて、すきま時間があればうまくリフレッシュもしています」

そんな規則正しい日々の賜物か、“ 7年ぶりの現役復帰”というテレビ企画でのチャレンジを、わずか1か月の準備で実現させた。「正直なところ、30代にしてママのモードから体操選手にシフトするのは、精神的にも体力的にもものすごく大変なことだらけでした。

でも、練習を重ねる中で少しずつ蘇ってくる感覚や研ぎすまされていく集中力、好きなことにはこんなにもどっぷりゾッコンになれる自分を、再確認することができました。諦めないで続けていくことの大切さを実感したりと、振り返ればプラスの経験のほうが大きかったですね。だから、終わった後に燃え尽きるというよりも、“この体をキープしたい。動ける田中理恵っていいな”と、自分の中のぶれない軸を見つめ直した思いでした。

最初にお話をいただいたときは不安で周囲に相談したのですが、最終的に夫が“これはやるべきだよ”と背中を押してくれて、踏み切ることができました(笑)」 

元気に生きられたら、それがいちばん。人と協力して助け合う気持ちを大切に 

気づいたのは体操への情熱だけではなかった。夫との関係性にも新しい視点が開けた。

「実はこれまで、仕事をしながらの家事や育児は自力でがんばってきたんです。でも、あの準備期間は周囲のサポートが本当にありがたくて。近くに住む義母はもともと、かゆいところに手が届くようにケアしてくれていて、夫も、私が大変なときにはさりげなく外食に誘い出してくれる、察する力をもっている人。 

だけどこれまでは“夫たるもの、仕事がメイン。家事や育児は妻の私が。大好きな夫のために孤軍奮闘してしまおう ”というマインドのほうが強かったのです。父を大切に立ててきた母の影響もあると思います。でも、ときには思いきって頼ってもいいんだとわかりました。負けず嫌いな一面もあるので、この先も頼るかどうかはわかりませんが(笑)。

思えば、2020年は考えさせられること‌‌ばかりでした。まずは元気でいること、生きていることが大切ですよね。20年間の体操競技生活やチーム戦の経験から教わったことは、今、ひとりの働く女性として人生を送るときにも、役立つことがたくさんあるのを感じています。人と支え合うことや、我慢をし合うこと。オンオフの明確な切り替えや、万全な準備の大切さ。最後の最後まで諦めない精神などなど、語り出せばきりがありません。こうしたことをみなさんに伝える役目を、どこかで果たしていけたらうれしいですね」

Domani 2020年12/1月号 『第12回 女の時間割』より
撮影/眞板由起  スタイリスト/亀恭子  ヘア&メーク/杉野加奈  構成/谷畑まゆみ  再構成/WebDomani編集部 

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田中理恵

たなか・りえ/1987年、和歌山県生まれ。6歳から競技を始め、23歳で初めて世界体操競技選手権大会に出場、日本女子初の「ロンジン・エレガンス賞」に輝く。2012年のロ ンドンオリンピックでは団体8位入賞。26歳で現役引退。29歳で結婚、30歳で第一子を出産。2020年の日本テレビ系 『24時間テレビ43』では7年ぶりに演技を披露。現在はスポーツを軸に多方面で活躍中。YouTubeやインスタグラムなど、 SNSのアクティブな投稿も注目を集めている。 

テキスト

谷畑まゆみ

フリーエディター・ライター。『Domani』連載「女の時間割。」、日本財団パラリンピックサポートセンターWEBマガジン連載「パラアスリートを支える女性たち」等、働く女性のライフストーリー・インタビュー企画を担当しています。

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