「わかりかねる」とは
ここでは、「わかりかねる」の言葉の意味から詳しく説明します。ビジネスシーンでよく使う言葉ですが、上司や顧客に対して使う言葉でもあるので、意味や使い方をきちんと理解しておきましょう。
■「わからない」と「かねる」にわけられる
「わかりかねる」は「わからない」と「かねる」にわけられます。「わからない」の漢字には、次の3つがあり、それぞれ微妙に意味が異なります。
「分からない」:物事の筋道がわからないこと、正しい情報が得られず理解できないこと
「解らない」:意味が理解できないこと
「判らない」:物事の白黒がはっきりと区別できないこと
「わかりかねる」の漢字は「分かりかねる」で、上述した3つの意味を含みます。そのため「わかりかねる」は、「物事の筋道が分からない」「理解できない」「はっきりしない」といった意味を表すのです。
「かねる」には3つの意味がある
「わかりかねる」の「かねる」は、動詞といっしょに使う場合、次の3つの意味を持ちます。
「〜できない」という不可能
「〜することは難しい」という困難
「決められない」という躊躇
「申しかねる」は「申し上げることが不可能」という意味であり、「答えかねる」は「答えることが困難」という意味。このように動詞に「かねる」がつくと、遠回しに否定の意味を表します。「分かりかねる」の場合も、「わかる」を遠回しに否定しているのです。
■丁寧語は「わかりかねます」
「わかりかねる」の丁寧語は「わかりかねます」。丁寧語にあたるので、上司や目上の人、顧客に使っても良い言葉です。
上司に何か問われて分からない場合には「わかりかねます」と答える人が多いでしょう。また、顧客に何か質問をされて分からないときも「申し訳ございません。わかりかねます」というのが一般的です。
■「わかりません」より柔らかい表現方法
「わかりかねます」は「わかりません」より柔かい表現方法です。何か聞かれて「わかりません」と単刀直入に返答すると、言われたほうは不愉快に感じることもあるでしょう。そのため「わかりかねます」とワンクッション置いた表現を使うのです。
■「わかりかねる」を使った例文
「わかりかねる」より「わかりかねます」のほうがよく使われるので、こちらをご紹介しましょう。
・大変申し訳ございません。こちらではわかりかねますので、後ほど、担当の部署からご連絡させていただきます。
・現状では、原因がはっきりとはわかりかねますので、確認した後に改めてご説明させていただきます。
・検査結果は個人差が大きく、結果が正確かどうかはわかりかねます。
・政府から確かな情報が発表されていないため、被害状況はわかりかねます。
「わかりかねる」の類語は
「わかりかねる」は、丁寧語の「わかりかねます」で使うことが多いですが、場合によっては「わかりかねます」を使うにはそぐわないことがあります。たとえば、顧客からクレームが入ったような場面です。このようなときに、正直に「わかりかねます」と言うと、相手は感情を昂らせてしまうこともあるため注意が必要です。
このような場合で、代わりに使える類語をいくつかご紹介します。
確認ができかねる
「確認ができかねる」や「確認ができかねます」は、「わかりかねます」よりも「時間をかけて確認しましたが、はっきりとはわかりませんでした」といったニュアンスが含まれます。「わかりかねます」は、何らかの努力した結果というよりも、単に「わかりませんでした」といった意味に受け取れますが、「確認ができかねます」は「わかろう」とした努力が感じられます。
次に、「確認ができかねます」を使った例文を紹介しましょう。
・お問い合わせの件につきましてお調べいたしましたが、確認ができかねます。
・原因を調査中ですが、現在のところ、原因は確認できかねます。
答えかねる
「答えかねる」や「答えかねます」も「わかりかねます」の代わりに使うことができる言葉です。「わかりかねます」は本当にわからない場合と、わかってはいても答えられないといった場合の2つの状況で使われます。「答えかねます」は、後者の場合に使うことができる言葉です。 問い合わせの件について、暗に「回答することができません」と伝えるときに使います。
より丁寧に「お答えいたしかねます」が、ビジネスシーンでは適しているでしょう。次の例文のように使います。
・お問い合わせいただき大変申し訳ございませんが、私どもではお答えいたしかねます。
・その件につきましたは確認中でございますので、お答えいたしかねます。
存じ上げない
「存じ上げない」や「存じ上げません」も「わかりかねます」と同じような意味です。ただし、「存じ上げません」は断定した否定を相手に伝えてしまうため、「存じ上げていないのですが」の次に代替案を示すなどの配慮が必要です。
・その件につきましては私のほうでは存じ上げていないのですが、担当の者が承知いたしております。
・詳しい内容は存じ上げていないのですが、情報を把握しましたらすぐにご連絡いたします。