【目次】
・「不徳」は徳が不足することを意味する
・「不徳の致すところ」の主な3つの使い方
・「不徳の致すところ」を使った例文
・「不徳の致すところ」の類語3つをご紹介
・「不徳の致すところ」の英語表現をシーン別にご紹介
・「不徳の致すところ」で謝罪の場面を乗り切ろう!
【目次】
「不徳」は徳が不足することを意味する
「不徳」は「周囲に良い影響を与えない行為」を意味する言葉です。そのほか「背徳」「不道徳」「人道に反すること」という意味も含みます。つまり、人から尊敬されない行いや無価値な言動などをまとめて表す言葉です。

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「不徳」は「自分に非があったこと」を意味するため、自分が引き起こしたことを謝罪する場面でよく用いられます。
■「不徳の致すところ」は謝る場面で使用する慣用句
「不徳の致すところ」の意味は「自身の不適切な振る舞いによって不都合や失敗が起こったこと」です。主に謝罪会見といった場面で使われます。芸能人のスキャンダルや政治家の不祥事が話題になったときに、ニュース番組などで見聞きした経験がある人は多いでしょう。
「不徳の致すところ」は謝罪に加えて反省の気持ちも含みます。つまり「良くない状況を引き起こしたのは自分である」と認め、反省の意思を持っていることを相手に伝えられます。
「致すところ」は自分が引き起こしたことを意味する
「致す」と「ところ」を組み合わせた言葉が「致すところ」です。「致す」は「ある原因によって良くない結果をもたらす・引き起こす」という意味の動詞です。
「ところ」は事柄を表す言葉で「内容」「場面」といった意味を持ちます。例えば「思うところ」「たずねたところ」といった表現と同質です。
2つを合わせて考えると「致すところ」の意味は「自分のせいで起こった事柄」です。「不徳」の後に続けることで「不徳によって引き起こしたこと」と表現できます。
「不徳の致すところ」の主な3つの使い方
「不徳の致すところ」は失敗や過ちに対する謝罪、メールや書面の謝罪文、謝罪会見といった3つの場面で使われます。著名人などの謝罪会見で使用されるイメージがありますが、ビジネスシーンでも使われる表現です。

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仕事をするうえでは、自分のミスによって謝罪が必要になる場面があるでしょう。「不徳の致すところ」の使い方を知っておくと、謝罪や反省の意思とともに誠意を伝えたいときに役立ちます。「不徳の致すところ」の使い方を3つのシーン別に見ていきましょう。
1. 失敗や過ちに対して謝罪をする場面
「不徳の致すところ」は、自分が引き起こした失敗や過ちに対して謝罪する際に使います。書き言葉としてメールや手紙に含めるのはもちろん、口語でも使用可能です。
ただし「不徳の致すところ」だけでは謝罪の気持ちは伝わりません。なぜなら「不徳の致すところ」は謝罪そのものを意味する表現ではないからです。「申し訳ございません」「ご迷惑をおかけしました」のように謝罪を示す表現を組み合わせるのが基本です。
2. メールや書面による謝罪文としても利用
「不徳の致すところ」は文語としても使えるため、メールや書面での謝罪にも用いられます。ビジネスメールや始末書にも使用できるのでぜひ覚えておきましょう。なお「不徳の致すところ」は自分よりも立場が上の人に謝罪をする際にも使える、かしこまった表現です。
しかし「不徳の致すところ」は謝罪表現の中でも重みのある言葉なので、使い方には注意しなくてはなりません。かしこまった場面や重大なミスに対しては使えますが、些細なミスに対して使うと大袈裟な印象を与えます。「不徳の致すところ」の誤った使い方は違和感や失礼な印象を与えるため、ミスの程度に合わせて正しい表現を選びましょう。
3. 政治家などが謝罪会見で頻繁に利用
政治家や芸能人などの謝罪会見も「不徳の致すところ」が使われる場面の1つです。ビジネスシーン以外の公の場でも多用されることから「不徳の致すところ」の汎用性がわかるでしょう。
謝罪会見の場合もビジネスシーンと同じく、自分の過ちを認める際に使用されます。しかし「不徳の致すところ」は、単なる謝罪や反省の意味ではないことがあります。というのも、政治家や芸能人は不祥事の詳細を曖昧にするために「不徳の致すところ」を使って内容をまとめ、明言を避けることがあるからです。
「不徳の致すところ」を使った例文
「不徳の致すところ」は、謝罪の際に口頭と文章の両方で使用できます。以下に例文をご紹介します。

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・本当に申し訳ございません。調査の結果、我々の不徳の致すところにより発生したミスでございました。
・今回のミスは弊社の不徳の致すところだと認識しています。今後は信頼回復に努める所存です。
失敗や過ちが起こった経緯を明らかにし、「不徳の致すところ」を使って謝罪するのが基本です。ただし前述のとおり、謝罪文に用いる際は、謝罪の言葉を加える必要があります。併せて、信頼回復に向けて努力する意思を示すのもポイントです。
「不徳の致すところ」の類語3つをご紹介
「不徳の致すところ」には3つの類語があります。「不徳の致すところ」は謝罪の際に活用できる言葉ですが、同じ表現ばかりを繰り返して使うと、逆に謝罪の気持ちが相手に伝わらないこともあります。時には他の言葉を使うことも大切です。

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「不徳の致すところ」の類語をご紹介するので、謝罪の気持ちを相手に伝えるときの参考にしてください。
■日常的な会話なら「私の所為で」
日常的な会話で使える「不徳の致すところ」の類語として、「私の所為(せい)で」が挙げられます。「所為」が意味するものは「行いやしわざ、ある結果が生じた理由」です。つまり「私の所為で」は「私が引き起こした行いで」という意味です。
便利に使えるものの、フランクな印象もあるためビジネスシーンには向きません。「私の所為で」は、日常的な会話の中での謝罪に適しています。
■より反省の意を強くする「不徳の極み」
「不徳の致すところ」は「不徳の極み」に言い換えることも可能です。「極み」には「物事の行きつく先」「きわまるところ」という意味があります。「究極」「極限」といった言葉をイメージすると理解しやすいでしょう。
「極み」を「不徳」に付け加えると、言葉自体の意味が強くなるため、「不徳の極み」を使うことで反省の意思を強調できます。
■ビジネスシーンでも利用可能「私の責任で」
「私の責任で」は「自分が引き起こしたことに対して責任がある」というニュアンスを持つ表現です。「不徳の致すところ」と同じく「自分に非があると認めること」「反省していること」の両方を伝えられます。
「不徳の致すところ」ほど大袈裟な表現ではないため、日常的にもビジネスシーンにも使用できます。謝罪が必要な場面で表現に迷ったときは「私の責任で」を使うとよいでしょう。
「不徳の致すところ」の英語表現をシーン別にご紹介
「不徳の致すところ」を英語表現するときは、「fault」「apologize」「sorry」を使います。ビジネスで英語を使う機会が多い人は、謝罪の気持ちを英語で伝えなければいけない場面もあるでしょう。ここでは「不徳の致すところ」の英語表現をシーン別にご紹介します。

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きちんとした謝罪ができるように、日常生活とビジネスシーンで使える英語表現を習得するきっかけにしてください。
1.「不徳の致すところ」日常での英語表現
「不徳の致すところ」は、日本語特有の表現です。そのため英訳すると不自然になりやすく、日本語が持つニュアンスをそのまま伝えることはできません。
英語で謝罪する際は「不徳の致すところ」にこだわらず「自分に非があること」を伝えましょう。日常生活で使える謝罪の例文は以下の通りです。
・It’s my fault.(私の責任です)
2.「不徳の致すところ」ビジネスでの英語表現
ビジネスシーンにおいて英語で謝罪する際は「apologize」や「sorry」で謝罪の気持ちを表します。どちらも「反省しています」「心からお詫び申し上げます」と伝える際に使えます。
謝罪を意味する英単語「apologize」「sorry」を使った例文を確認しましょう。
・It’s all my fault this time. I deeply apologize.
(今回は全て私の責任です。深く謝罪させていただきます)
・I’m truly sorry.
(心から申し訳ないと思っています)
「不徳の致すところ」で謝罪の場面を乗り切ろう!
「不徳の致すところ」は、自分が起こしたミスや失敗について謝罪する際に使える慣用句です。主にビジネスシーンや謝罪会見などで用いられますが、重々しい印象があるため、重大な事態が起きたときに使うのが基本です。適切な場面で「不徳の致すところ」を使うことができれば、謝罪の意を強調したり、誠意を見せたりすることができるでしょう。
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