「ご入用」は必要なこと、必要なもの、必要な費用を意味します。
Summary
- 「ご入用」(ごいりよう)とは、必要なもの・必要なこと、必要な費用を意味する
- 顧客や取引先、上司に使う言葉で、必要なものがないかどうかを尋ねる際に使われる
- 言い換え表現には「ご所望」「ご要望」「ご必要」などがある
Contents
「ご入用」の意味や読み方
「ご入用」は「ある用事に必要なもの・必要なこと」を意味する言葉で、読み方は「ごいりよう」と発音をします。「スプーンはご入用ですか」などと使われるのが一般的です。正しく使えるようになるように、まずは言葉の意味や読み方、漢字表記の仕方を詳しく解説します。

「必要なこと、もの」を意味する
「ご入用」は「ある用事に必要なこと・もの」を意味します。ほかには「大切なこと」「費用」も言い表せる言葉です。丁寧な物言いで、相手に必要なものがないかどうかを尋ねる際に使われます。たとえば上司に手持ちのお金がないのかもしれない、と感じたときに「もしご入用でしたら、代わりにお支払いいたします」と伝えるなど、オブラートに包んだ言い方も可能です。
ビジネスの場では「なにか必要ですか?」と直接尋ねると、ぶしつけに聞こえて失礼になる可能性もあるので注意。ぜひ、本記事を参考に「ご入用」をうまく活用できるようになりましょう。
なお「ご入用」は丁寧で堅めのイメージを持たれる言葉です。そのため、部下や同等の立場の相手ではなく、顧客や取引先、上司に対して使うといいでしょう。

「ご入用」の読み方は「ごいりよう」
「ご入用」の発音には、「ごいりよう」と「ごにゅうよう」という二通りの読み方があります。また、「ご」の部分を漢字表記して「御入用」と書くことも。この表記の場合には「ごいりよう」のほかに「おいりよう」との読み方も可能で、場合によっては、ひらがなで「お入用」と表記することもあります。
このように、書き方やシーンによってさまざまな読み方がされる言葉です。パソコンやスマートフォンなどで入力した文字を日本語変換ソフトを使って変換した場合、「ごいりよう」と「おいりよう」はどちらとも正しく変換ができます。ただし、「ごいりよう」の読み方がもっとも一般的ですので、こちらを覚えておけば問題ないでしょう。
正しくは「お入用」?
敬語のルールには、訓読みをする言葉には「お」を、音読みをする言葉には「ご」を付ける、との原則があります。このルールを適用すると、「いりよう」との発音の仕方をする場合は訓読み。そのため、「お」を付けて「お入用」とするのが正しいのではないか、との意見もあるようです。しかし、「ご入用」と発音するほうが世の中に浸透しているため、例外として認められています。

「ご入用」の一般的な読み方は「ごいりよう」ですが、さまざまな読み方をされる言葉だと覚えておきましょう。
「ご入り用」とも書くが「ご要り用」はNG
「ごいりよう・おいりよう」の漢字表記は、「ご入用」「ご入り用」「御入用」「お入用」。漢字での書き方がたくさんあり、このうちのどれを選んでも正しいです。基本的には、一般的な書き方として広まっている「ご入用」で覚えておくことをおすすめします。
なお、「ご要用」や「ご要り用」「ご要りよう」というように書かれることもあるものの、これは誤りです。「要る」にも「ご入用」と同じく「必要」との意味があるため、この漢字表記が広まってしまったものと考えられます。間違わないように気を付けましょう。
「にゅうよう」との言い方も可能なことを頭に入れておけば、「要」の字を選ばずに済むはずです。漢字変換の際に心配になってしまう人は、2つの読み方を両方とも覚えておいてくださいね。
「ご入用」の使い方の注意点と例文
「ご入用」は店舗やビジネスの場などでよく使われる言葉です。直接的に「なにが必要?」「これ要りますか?」と尋ねることは、目上の人へは失礼にあたります。そんなとき「ご入用」を上手に使えば、品よく相手が欲することも確認できるのです。それでは、「ご入用」を実際に使う際の例や、その際に注意するべきポイントを押さえましょう。

「ご入用」の使用シーン
先述のとおり、「ご入用」とは目上の相手へ必要なものの確認をする際に使う言葉。「ご入用でしたら~」「ご入用であれば~」は、「もし必要なら~」との内容を丁寧に表現可能です。取引先への営業活動でもよく選択される表現であり、「ご入用でしたら、こちらからお使いください」「なにかご入用でしたら、お気軽にご連絡ください」と使われます。
「ご入用の際は~」だと「必要となったときは~」を意味します。これも営業活動でよく使われる表現です。「ご入用の際には、すぐに駆けつけます」などの表現がされます。
「ご入用ですか?」が使えるのは用意がある場合
「ご入用」は「あなたの為に、なにかできますか」との親切な意味が含まれる言葉です。そのため、好感を持ってもらいたい取引先や顧客へよく使用されます。注意すべきなのは、基本的に「ご入用ですか?」と聞けるのは、必要になりそうなものへの用意がある場合であることです。
たとえば「スプーンはご入用ですか?」と確認した場合を見ましょう。問いに対して相手が「はい」と望んだのに「ただいま在庫をきらしております」といって渡せないようでは、逆に不快に思われてしまいますよね。
用意がないなら「ご希望」を選択
相手の望みを確認したいけれど用意がない場合や、用意があるものを望まれるかわからない場合は、「ご入用」ではなく「ご希望」と表現しましょう。「なにかご希望のものはありますか?」「こちらはいつまでの納品をご希望されますか?」のように使います。「ご希望」は目に映らないような内容への望み、とのニュアンスがある言葉。そのため、望むことへの強さのレベルが少し低く感じ、不快に思われにくいようです。
「ご入用」は目上の人へ使う
「ご入用」とは、自分よりも目上の人への尊敬の意を込めた言葉。自分自身の立場を下げた表現で相手への敬意を表す謙譲語のひとつです。目下や同等の相手へ「ご入用」を用いるのは正しくないので、気を付けましょう。
自分のことなら「入用」を選択
「ご入用」は目上の相手への敬意を含む言葉のため、自分が必要だと思うものや経費に対しては使えません。自分が欲しいものを表したいときには、尊敬の意味を持つ「ご」をなくし「入用」を使いましょう。欲しいものを直接的に「必要だ」と伝えるのは、相手に対してのプレッシャーになることも。
しかし、オブラートに包んだ表現である「入用」を用いることでやわらかい表現にできるのです。たとえば「〇〇が入用となったのですが、経費での購入は可能でしょうか?」のように使いましょう。
「ご入用」の例文
「ご入用」の使い方について例文をご紹介します。ビジネスシーンでも頻出する表現ですので、覚えておきましょう。
【例文】
・領収書はご入用でしょうか
・製品サンプルがご入用の際は、お声がけください
・筆記具がご入用でしたらこちらをお使いください
・本日の会議で使用したデータを添付しておりますので、ご入用でしたらご参照ください
・次回ご入用の際は、お早めにお申し付け下さい
・最近、何かと入用で
「ご入用」のビジネスメール例
【例文】
件名:〇〇(製品名/サービス名)に関する資料のご案内
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△でございます。
先日は、〇〇(製品名/サービス名)についてお問い合わせいただき、誠にありがとうございました。
つきましては、〇〇(製品名/サービス名)の詳細についてご確認いただける資料を添付いたしました。
ご不明な点や、さらに詳しい情報がご入用でしたら、お気軽にお申し付けください。
改めて、オンラインでのご説明の機会も設定させていただきます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
署名
【Domani編集部の体験談】ビジネスシーンでの適切な使い方
実際のビジネスシーンで「ご入用」を使用する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。Domaniの編集者たちの「ご入用」にまつわる成功・失敗談を踏まえつつ、使用法を見ていきましょう。
【episode1】積極的に手伝おうとする姿勢が伝わる表現
Domani編集部 T氏(30)
若手時代、お客様への提案後に上司が「他に何かご入用な資料はございますか?」と尋ねる姿を見て感銘を受けました。私はいつも「他にご質問は?」と聞いていましたが、上司の言葉からはu003cstrongu003e「何かお手伝いできることはありませんか」という積極的な気配りが感じられたのです。u003c/strongu003e以来、お客様へのサービス提供において、先回りして「ご入用」を使い、きめ細やかなサポートを心がけるようになりました。
【episode2】情報提供の呼びかけとしてはやや不自然
Domani編集部 T氏(36)
先日、部下がある商品の販促資料を作成する際、資料の最後に「商品に関する情報がご入用でしたら、ご連絡ください」と記載していました。私は「この場合は『商品に関する詳細情報が必要でしたら』や『ご興味がございましたら』の方が自然だよ。u003cstrongu003e『ご入用』はどちらかというと、物品や具体的なサービスに対する要求に使うことが多いu003c/strongu003eから、情報提供の呼びかけとしては少し不自然に聞こえるよ」と修正を促しました。
「ご入用」への返答のしかた
「ご入用ですか?」と聞かれた際の返答の仕方も確認しましょう。自分が返答する側であっても、丁寧な言葉使いが必要です。尋ねられたものが必要なら「はい、お願いします」、要らないならば「結構です、ありがとうございます」と伝えてください。
時には「なにかご入用ですか?」などの具体性のない問いをされることもあるかもしれません。その際、自分から必要なものを言う場合は「では、〇〇をお願いします」と、要ると思うものを具体的に伝えましょう。
「ご入用」の類義語
「ご入用」を言い替えしたいときに使える類義語は「ご所望」「ご要望」「ご必要」です。ただし、言い換えが可能とはいっても「ご入用」とまったく同じ意味の言葉ではないため、注意しましょう。

「ご所望」
「ご所望」は「あるものが欲しい」「このようにしてほしいと望むこと」を意味しており、「〇〇様ご所望の〜です」などの使われ方をします。その字が表しているとおり、望みについて伝えたいときに使う言葉です。「ご入用」は必要なもののことを伝えたいときに使う表現のため、少しニュアンスが異なります。言い換える際には気を付けましょう。
「ご所望」は相手が欲しいと思っていることを話す、尊敬の意を含めた言葉です。「ご」を外して「所望」だけにした表現の場合は、自分の望みを伝えるときに使います。一般的には「所望」だけで使われる頻度は低く、「ご所望」という表記で使われることが多いでしょう


