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EDUCATION 教育現場より

2021.06.09

実録!公立中学の不透明な「内申」と高校受験|「中学受験」がコロナ禍でも増えている納得理由

 

ほかにも公立中ならではの、親世代からすると“特殊”と思ってしまうエピソードが多数あり、生徒たちがいかに苦労して内申点を得ているかがわかった。

3年の2学期の内申点が悪いと、公立・私立にかかわらず、志望する高校の受験資格を事実上得られない。志望校に合格するには、中学校3年の2学期までは、ひたすら内申点をとる勉強のみならず、先生のお眼鏡にかなう生活態度をとることが大切なのだ。

内申点を上げるために「生徒会」の役員に

都立の超名門公立高校に通う女子生徒は、「大切なのは、提出物を全部出すことと、積極的に授業で発言すること。得意教科の係になって先生に顔を覚えてもらうこと。あとは、10日以上連続の欠席をしない、先生に反抗しない、ふざけない、あいさつをする……ということでしょうか。校則を守って普通に生活すればいいのですが、これが結構難しいんです」と中学時代を振り返る。ちなみに、先生に顔を売っても、公立中学校は異動がある。努力が水泡に帰すこともあるのだ。

(C)Shutterstock.com

彼女は内申点を上げるために、内申点に加算される漢字検定、英語検定に合格。さらに無遅刻無欠席、生徒会の役員にもなった。

「集団行動が苦手なので、部活をやっておらず、内申がつかない。だから生徒会をやることにしました。あとはウチの親がPTA役員をやって、“あの先生はこういう性格だ”と教えてくれていましたので、親子で先生の性格を考えながら、ぶっちゃけ“媚び”を売っていました」

ただ、現在の彼女は、高校に入って早くも授業を脱落しかけている。周囲の生徒たちの学力が高いからだ。

「私はオール5近い内申で入ったけれど、オール4程度の内申で、入試の点数のほうで高得点をマークして入ってきた子とは、学力に雲泥の差があると感じました。あれってわかるんですよ。このままでは、最下位になるので、今度は実力をつけるために勉強をしています」

私立・公立問わず、高校受験における実際の勉強方法について聞くと、第一志望に合格した生徒たちは、中学3年生の夏休みあたりから、志望校の過去問を解いていく訓練を行っていた。

つまり、中学校3年の2学期は、内申点をとるための学校の勉強と受験の勉強という、別の性質の努力を詰まなければならないのだ。

中学受験も過酷だが、高校受験のほうが、攻略すべきことが多いという面もある。しかもその労力の多くが、内申点の確保……先生のご機嫌取りともいえる部分に費やされるケースも多かった。それを知った人は、我が子を中学受験に向かわせる。「上の子は公立、下の子は私立」という家庭も増えつつある。

つまり、公立中学校で学ぶ要素のひとつは、「長いものに巻かれ、上には逆らわない」ことだといえるだろう。これは日本社会で生き残るために大切な要素のひとつであるが、グローバル社会では必要なのか……疑問が残る。

Writer&Editor

沢木 文(さわき あや)

1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。

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東洋経済オンライン

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