未就学児は心配なし。でも小学生以上はケアが必要!
乳児や幼児がクタクタになったぬいぐるみを持って歩いてる姿は、とても微笑ましく感じます。しかし、それが小学生以上になると、親としてはちょっと心配になるのではないでしょうか。スクールカウンセラーとしても活動している、臨床心理士・吉田美智子さんにお話を伺いました。
小さな子どもは、成長の証のひとつ
ないと不安になってしまうぬいぐるみやタオルを【移行対象】と言います。生まれたばかりの赤ちゃんは、自分とお母さんの区別がつかなくて、いつも一体で守られている感覚でいます。成長するに従って、自分とお母さんは別々の人だということが理解できるように。すると、〝自立の楽しさ〟と〝母から離れる不安〟の両方を感じるようになるのですね。母から離れる不安を和らげる、支えるのが『移行対象』です。この時期は成長のひとつとして考えて大丈夫だと思います。
小学生になると、途端に心配になる行為
未就学児までは寛容に見てた移行対象も、小学生になると〝うちの子は甘えん坊なのかしら?〟〝ひとりで行動できないのかも?〟と途端に不安になるかもしれません。ここで確認しておきたいことが2つあります。
1.自立の年齢は十人十色
小学生になったからといって、突然成長が進むわけでも、ガラッと気持ちが変わるわけでもありませんよね。ぬいぐるみやタオルを抱きしめているからといって、不安になることはありません。例えば、「親離れ」も長い年月をかけて徐々に親から自立していきます。不安を支える『移行対象』も、同じように時間がかかると思いましょう。決して、取り上げることはしないでくださいね。
2.中学年〜高学年の前思春期は情緒不安定
園や低学年の間、活発に過ごしてきた子どもでも、前思春期になると精神的に親離れをする時期となり、急に情緒不安的になる子どももいます。ぬいぐるみを引っ張り出し、一緒に寝ていたとしてもからかったりせず、暖かい目で見守ってあげましょう。
どちらも健康な成長の範囲内なので心配不要ですが、不安や緊張をやわらげられるようにスキンシップや温かめの対応をしてあげられるとよいですね。
もし学校へ持っていくほどになってしまったら?
移行対象グッズがないと学校に行けないくらい不安が強い場合は、学校の不安や緊張を和らげる施策が必要と感じます。特定の問題がある場合もありますし、理由はないけれど学校が怖いと感じている場合も。親がひとりで悩まず、先生やスクールカウンセラーなどに手助けをしてもらうと、問題がクリアになることもあります。無理せず頼ってみてくださいね。
画像/(C)Shutterstock.com
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
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