薬をつける
身体の外側に貼り付ける薬を使う際も「貼付」すると表現できます。具体的には、湿布薬やパッチ剤のようにシート状になったものを皮膚に貼るのをイメージするといいでしょう。
また、身体の外側につける薬には、軟膏やクリームがあります。これらは貼るのではなく塗って薬をつけるため、呼び方は「塗布」です。近しい言葉ですが、薬をどのようにつけるかで変わってくるため、正しく使い分けてみてください。具体的な例文は、以下の通りです。
・痛めた肩に湿布を【貼付】する。
・パッチ剤を【貼付】したところが徐々に治ってきた。
・処方した湿布剤を【貼付】して、1週間後に再度受診してください。
「貼布」と書くことも
「貼付」のほかにも、「貼布」と書くこともあります。「貼布」の読み方は「ちょうふ」で、使用する場面は「貼付」とほぼ同じです。しかし、「貼布」は主に医療用語として使用されることが多く、特に薬を皮膚に貼る行為を指します。
「貼付」のほかにも「貼布」と書くこともありますよ。
「貼付」の3つの類義語
「貼付」の類義語として、次の3つが挙げられます。いずれも、貼り付けたりくっつけたりする意味を持ち、日常的に聞く言葉といえます。そのため、正しく使い分けるにはしっかりと意味を理解する必要があります。
ここでは、「貼付」との違いも理解した上で、それぞれの例文を見ながら、意味と活用法をみていきましょう。
粘着(ねんちゃく)
「粘着」は、貼り付けるものを使ってぴったりくっつけることです。粘り気があり、くっつける様子が当てはまるため、のりやボンドを使うシーンを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
「貼付」との違いは、使えるシーンの広さです。「貼付」は書類に使われることが多く、ビジネスシーンが対象になりやすいといえます。
一方、「粘着」は生活の中でも慣れ親しまれている言葉です。具体的な例文は、以下の通りです。
・のりを使ったときの【粘着】跡が取れない。
・【粘着】テープで固定したほうが安心だ。
・【粘着】面に手がくっついてしまった。
接着(せっちゃく)
「接着」の意味は、もの同士がぴったりくっつくことです。「粘着」と同様に、日常生活の中でよく耳にする言葉といえます。
くっつけるという意味では「貼付」と同じですが、話の中でどのように使うかが若干異なります。「貼付」を使うのは「○○を貼付する」というように、対象物を貼り付けるときです。
一方、「接着」の場合は接着するものを使用する場合に使用します。具体的な例文は、以下の通りです。
・木材をボンドで【接着】する。
・特殊な粘着剤で割れたタイルを【接着】した。
・【接着】に必要な材料を買ってください。
固着(こちゃく)
「固着」は、もの同士が固くくっつくことを指します。前述の「接着」も、もの同士をくっつける意味を持ちます。また「貼付」もくっつけるという意味においては同じです。
しかし、「固着」は漢字に使われている「固まる」という意味が含まれており、「固くくっつける」や「固くくっついた状態」を表現する際に使われます。「貼付」は、書類等を貼り付ける場面での使用が多く、固くくっつけるシーンでは使いません。具体的な例文は、以下の通りです。
・地面に【固着】したテープを剥がしたいが、うまくいかない。
・【固着】させるために強力な接着剤を使用する。
・作品が机に【固着】しないよう、あらかじめ立てかけておく。
「貼付」の英語表現
「貼付」の英語表現は、「attach」「affix」「apply」などがあります。「attach」は履歴書に写真を付ける場合や、メールにファイルを添付する際に使います。また「affix」は、領収書を報告書に貼り付けるときに使われますね。「apply」は医療でパッチを患部に貼る際に適しています。文脈に応じて適切な表現を選んでみてくださいね。
(例文)
・Attach the photo to your resume. (履歴書に写真を貼付する)
・Please affix the receipt to the expense report. (領収書を精算書に貼付してください)
・Apply the patch to the affected area. (患部にパッチを貼付してください)
最後に
「貼付(ちょうふ)」は漢字の通り、貼り付けるという意味を持つ言葉です。しかし、日常生活であまり使用されないため「貼り付け(はりつけ)」というように使っている人も少なくありません。
「貼付」は書類でやりとりをするシーンでも活用でき、便利な言葉といえます。ただし、近しい意味を持つ「添付」や「接着」といった言葉と混同しやすく、使い分けが必要です。本記事を参考にして、日々の生活の中で「貼付」という言葉を正しく使ってみてください。
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